目次
1. 金継ぎとは?

金継ぎとは、かけたり割れたりした器を漆(うるし)で接着する日本の伝統技法だ。金繕い(きんづくろい)とも呼ばれ、継ぎ目に金や銀、白金の粉を蒔いて仕上げるのが特徴。漆は耐久性が高く、天然素材なので食べ物を入れる器にも安心して使用できる。
金継ぎでどんな器も修理できる?
金継ぎはもともと土・石もの器を修復する技術である。基本的に陶磁器であれば修理が可能だ。条件や職人によるが、ガラスや漆器、木器などの修理が可能なケースもある。
ただし、ワイングラスのステム(脚)など、細い部分を金継ぎすると折れやすい。漆の耐熱温度を超えてしまうため、土鍋のように直火や蒸気が当たるものもNGだ。金継ぎの部分は長時間水に浸しておけないので、花瓶などを修理するときは注意してほしい。
2. 金継ぎのメリットとデメリット

金継ぎのメリットとデメリットを紹介する。自分で金継ぎをしてみたい方は確認しておこう。
金継ぎのメリット
金継ぎをすれば、割れてしまった器が美しく生まれ変わる。かけたり割れたりした部分が魅力になり、アート作品のようなデザインが楽しめるだろう。さらに必要な技術や知識が比較的少なく、机の上で作業が可能。ワークショップや教室も開催しており、初心者でも手軽に挑戦ができるのが魅力だ。
金継ぎのデメリット
乾く前の漆を手で触るとかぶれる可能性がある。症状には個人差があるため、作業をするときにはゴム手袋をするなどの対策が必要だ。また、金継ぎは完成するまでに時間と手間がかかる。作業の途中で乾燥させる工程が何回かあり、そのたびに待つのが面倒だと感じる方は多いだろう。
3. 金継ぎのやり方

金継ぎの方法を4つの手順に分けて解説。金継ぎには複数の方法があるため、ここでは基本的なやり方を紹介する。
割れた器を接着する
小麦粉と水と漆を混ぜて練った麦漆を、ヘラで器の断面に塗ろう。あとは欠片を組み立てて接着する。麦漆は合成接着剤と違って乾くのが遅いので、1時間以内であればズレてもやり直しが可能だ。接着後はマスキングテープで固定して、2週間ほど乾燥させてほしい。
錆漆を付ける
砥粉(とのこ)と生漆(きうるし)を混ぜた錆漆(さびうるし)を、接着部分や欠けた部分に塗って溝を埋める。少しはみ出すくらいに塗るのがポイント。それから1日ほど乾燥させ、はみ出た部分を紙やすりで削って整えればOKだ。
漆を塗る
筆を使って錆漆を塗った部分に漆を塗ろう。1日乾かしたあと、耐水ペーパーでこすってまた漆を塗る。この作業を3層目になるまで繰り返してほしい。
粉を蒔いて乾燥させる
もう一度漆を塗って乾燥する前に金粉や銀粉を蒔く。時間をかけると表面がデコボコになるので、なるべく素早く蒔いてほしい。あとは乾燥するのを1日ほど待てば金継ぎが完成する。
4. 初心者には金継ぎキットがおすすめ

金継ぎにはさまざまな材料や道具が必要だ。「何を用意すればいいのかわからない」という方は多いだろう。金継ぎキットなら、材料や道具がすべて揃っている。漆や砥粉、ヘラ、筆などを一つずつ購入する必要がない。
使い方ややり方は説明書で確認できるので、初心者でも手軽に使えるのがメリットだ。本物の漆が入った本格的なものから、合成樹脂を使用する手軽なものまで、さまざまな商品がある。十分に比較して、自分に適した金継ぎキットを選ぼう。
結論
お気に入りの器が割れてしまっても、金継ぎをすれば美しく生まれ変わる。特別な道具や設備、長い修業が必要とされるほかの伝統工芸と比較すれば簡単なので、自分の手で修理することも可能だ。手間や時間はかかるが、基本的な工程を一つずつこなせば自分だけの作品が仕上がる。金継ぎキットには必要な材料や道具が揃っているので、初心者はぜひ活用してほしい。