- 吹き込んだ雨によるフローリングの色落ち
- 家具などを引きずったときにできた傷
- カーペット床材のシミやカビ
- 冷蔵庫の下に発生したサビ
- 手入れ不足によるキッチンの油汚れとスス
- 結露によるカビやシミ
- 壁や床への落書き
- 下地ボードの張替えが必要なくぎ穴やネジ穴
- ペットがつけた傷
- タバコのヤニ汚れやにおい
- 家具や家電の設置による床のヘコミ
- 日照によるフローリングや畳、壁の変色
- 貸主所有のエアコン設置による跡や穴
- 冷蔵庫やテレビ裏の電気ヤケ(黒ずみ)
- パッキンの自然な劣化
- 押しピンで空いた小さな穴
- 壁に貼ったポスターや絵画の跡
- 寿命による設備の故障
1. 敷金とは?
敷金とは、部屋を借りる際に貸主に預けるお金だ。部屋のほかに駐車場にかかることもある。家賃の滞納や原状回復がない場合は、退去のときに借主にすべて返金するのが義務だ。
礼金や仲介手数料との違い
礼金は貸主に感謝のために支払い、仲介手数料は仲介した不動産会社への報酬として支払う。退去のとき返還される敷金と違って、返ってくることがないお金だ。
2. 敷金はいつ・どれくらい返金される?
敷金が返金されるタイミングと金額を解説する。正しく返金されているか判断するために、正しい知識を確認しておこう。
敷金が返金される時期
敷金が返金される時期は、退去後2ヶ月以内が目安だ。しかし、明確な決まりはないため、退去後にすぐ戻ってくることもあれば、2ヶ月以上経過しても返金されないケースもある。2ヶ月以上待っても返金されないなら、契約書を確認したうえで貸主に問い合わせよう。
返金される敷金の金額
敷金の金額は、家賃の1~2ヶ月分が相場とされている。駐車場の敷金もだいたい1~2ヶ月分だ。退去時に家賃滞納や原状回復がないなら、預けたすべての金額が受け取れる。原状回復や滞納がある場合は、それを差し引いた金額が返金される仕組みだ。
3. 敷金返金に関する原状回復の例
経年劣化による汚れや故障は貸主負担になるため、原状回復の義務はない。貸主負担になる例と借主負担になる例を、それぞれチェックしておくと安心だ。
借主負担になるもの
このように、不注意や故意、手入れの不足による汚れや傷は借主の負担になる。返金される敷金から引かれてしまうので、日頃から注意しておこう。
貸主負担になるもの
通常の生活で発生する汚れや傷、故障は経年劣化なので貸主負担だ。原状回復の義務はないため、敷金の返金額が減る心配はない。
4. 敷金の返金トラブルを防ぐ方法
敷金の返金トラブルを避けるためには、十分な対策が必要だ。トラブルを防ぐ4つの方法を実践しよう。
契約書によく目を通す
賃貸の契約書にある敷金に関する項目に目を通してほしい。ハウスクリーニング特約事項をチェックしよう。退去時のクリーニング費用は基本的に貸主負担だが、敷金から差し引くと記載されているケースもある。契約後の内容変更は難しいため、サインする前に確認しておこう。
入居前の部屋の状態を記録する
入居時の傷や汚れ、設備不良を記録しておくと安心だ。内見時にスマホやデジカメで写真を撮影しておくといい。窓やドア、サッシの動きなど、写真だとわからない不具合がある場合は、動画で残しておくのがおすすめだ。
退去前に立ち会う
退去時の立ち会いに参加して、修繕が必要な部分がないか一緒に確認しよう。本当に借主負担になる例なのか、自分の目でチェックすることが重要だ。もし返金額に納得がいかないなら、その場でサインせずに見積もり書を請求するといい。
請求額の明細を確認する
借主負担の請求があった場合は、請求額の明細を確認して、どの修繕にいくらかかるのかを確認しよう。適切な金額なのか地域の相場と比較するといい。適切な請求額になっていると納得できたなら、敷金精算書や退去精算書にサインしよう。
5. 不当に敷金が返金されない場合の対処法
不当に敷金が返金されない場合、適切に対処する必要がある。基本的な対処法をまとめたので、ぜひ参考にしてほしい。
大家や管理会社に返金を要求する
まずは不当である根拠を示したうえで、大家や管理会社に返金を要求しよう。窓口が管理会社になっているなら、大家ではなく管理会社と交渉する。民法621条にそって返金を求めることを伝えてほしい。
内容証明郵便を送る
返金を請求しても対応がないなら「内容証明郵便」を送付する。法的な強制力はないが、送付したという証拠を残すことが可能だ。内容証明郵便の送付は訴訟につながるため、心理的な圧力になる。弁護士による送付ならより効果的だ。
少額訴訟を起こす
内容証明郵便を送付しても敷金が返金されない場合は、訴訟を検討しよう。訴訟には費用と時間がかかるため、返金額が60万円以下なら少額訴訟を起こすといい。訴状や証拠の用意が必要なので、法的事務の知識がないなら弁護士に依頼しよう。
結論
入居時に支払った敷金は退去のときに返金される。金額は原状回復や滞納の有無によって左右されるので、具体的な例を確認しておこう。故意や不注意による傷や汚れは借主負担、経年劣化なら貸主負担だ。さらに敷金トラブルを防ぐ対策や、敷金が返金されない場合の対処法も紹介したので、基本的な知識として覚えておくといい。