1. 乾電池の液漏れとは?
乾電池の液漏れとは水溶液(電解液)が漏れ出すことだ。内部の化学反応によって生じた水素ガスを逃がす構造によって発生する。
乾電池の液漏れは危険
アルカリ乾電池の水溶液は水酸化カリウムが主成分の強アルカリ性で、触ると化学火傷になる可能性がある。目に入れば失明することもあるので注意が必要だ。
マンガン乾電池の水溶液は主成分が塩化亜鉛の弱酸性なので刺激はやや弱いが、目に入ると危険である。液漏れしている場合は、乾電池の種類に関係なく素手で触らないように気をつけよう。
2. 乾電池から液漏れする原因
乾電池が液漏れする原因を解説する。乾電池が使用中の場合と未使用の場合に分けて紹介するので、参考にしてほしい。
使用中の乾電池が液漏れする原因
使用中の乾電池が液漏れする主な原因は過放電だ。スイッチを切り忘れた機器や長時間使用しない機器に入れっぱなしにすると、作動できる電圧まで過剰に放電する。これによって内部の圧力が高まり、ガスと一緒に水溶液が放出されるわけだ。
そのほかに、乾電池の逆挿入も液漏れの原因になるので注意しよう。また、プラスとマイナスを金属でつなぐと、ショートして液漏れすることがある。コインなどの金属と一緒に保管するのが主な原因だ。
未使用の乾電池が液漏れする原因
未使用の乾電池の場合、落下やショート、高温多湿等で発生したサビなどによる液漏れが考えられる。輸送中の衝撃や保管状況の悪さが主な原因だ。また、購入から時間がたった未使用の乾電池の場合は、メーカー使用推奨期限を超えたことによる液漏れの可能性もある。
3. 液漏れした乾電池の掃除方法
乾電池から液漏れをしたときは、素早く対処してほしい。5つのケース別に正しい掃除方法を解説しよう。
リモコンの場合
まずは防水用のゴム手袋と保護メガネ、マスクを着用する。外したリモコンのカバーは、水洗いをしてから乾拭きしよう。乾電池を取り出したあと、水溶液を多めのティッシュで拭き取ってから水拭きする。細かい部分の掃除には綿棒を使用して、最後に乾拭きをして水気を取ればOKだ。
ただし、水溶液が落としきれなかったり、基盤にまで入り込んでいたりするとリモコンは使えない。メーカーに相談するか処分するしかないだろう。
おもちゃの場合
おもちゃの場合、お子さんが触ったり口に入れたりする可能性がある。安全のために、遊ばせるのは避けたほうがいいだろう。掃除をするよりも、メーカーに修理を依頼するか処分するのがおすすめだ。
液が付いた服の場合
液漏れの水溶液が服に付いたら肌に触れないよう慎重に脱ぐ。触らないように注意しながら、大量の水でしっかりと洗い流そう。あとは通常通りに洗濯してOKだ。ただし、衣服の素材によっては劣化や変色が発生することがある。
液が付いた家具や床の場合
ゴム手袋で手を保護したあと、ティッシュペーパーやウェットティッシュで水溶液を拭き取ろう。それから、濡らした雑巾やティッシュペーパーで繰り返し水拭きをしてほしい。なお、家具や床の材質によっては変色する可能性がある。
乾電池から液漏れした液体に触った場合は?
乾電池から液漏れした水溶液が手や皮膚についた場合は、大量の水ですぐに洗い流す。異常が発生したら医師に相談しよう。目に入った場合は、こすらずすぐに洗い流して、なるべく早く医師の診断を受けてほしい。
4. 液漏れした乾電池の捨て方
液漏れした乾電池は使用できないので、正しい方法で処分したい。自治体によって分別や捨て方のルールは異なるので、公式ホームページや問い合わせで確認してから処分しよう。ショートの危険性があるため、処分する際はプラスとマイナスの電極にテープを貼って絶縁する。
5. 乾電池の液漏れを防止する方法
乾電池の液漏れは対策をすれば防止できる。4つの方法を紹介するので、ぜひ実践してほしい。
長期間使用しない場合は電池を抜く
エアコンのリモコンなど、長期間使用しない機器の電池は抜いておく。液漏れだけでなく、乾電池の摩耗の原因にもなるので入れっぱなしはNGだ。未使用の乾電池と混ざらないように、わかりやすく分けて保管しておこう。
アルカリとマンガンを使い分ける
機器に適した乾電池を使い分けてほしい。アルカリ乾電池はパワーがあり容量も大きいため、消費電力が多い機器に向いている。マンガン電池は消費電力が多い機器には不向きだが、休ませると電圧が回復するのが特徴だ。
消費電力が多い携帯ラジオやデジタルカメラにはアルカリ乾電池、微弱な電力で動きスイッチのオン・オフが多いリモコンやキッチンタイマーにはマンガン電池が向いている。なお、混ぜるのはNGなので同じ種類で揃えてほしい。
新品と使いかけの乾電池を一緒に使わない
新品と使いかけの乾電池は電池容量が違い、一緒に使用すると少ないほうが過放電の状態になる。液漏れの原因になるので、混ぜて使用してはいけない。なお、メーカーや銘柄が異なる場合でも同じ現象が発生する可能性があるため、揃えたほうがよいだろう。
乾電池を正しくセットする
電池をセットするときや入れ替えるときは、プラスとマイナスの向きを十分に確認することが重要だ。3個以上使用する機器だと1個だけ逆向きのケースがあるので、間違えないように注意してほしい。
6. 乾電池の安全な保管方法
乾電池は直射日光や高温多湿の環境を避けて保管しよう。温度は10~25度が適切で、35度を超えないようにする。結露でサビが発生するので冷蔵庫の中もNGだ。ショートの原因になるため金属類とは分けて保管する。
また、使用推奨期限を超えると液漏れしやすくなるので、古いものから使ってほしい。使用期限が古い順番で並べるなどの工夫が必要だ。定期的にチェックして、使用推奨期限が過ぎている乾電池は処分したほうがよいだろう。
結論
乾電池が液漏れしている場合は触ってはいけない。手についた場合はすぐに洗い流し、機器に付着した水溶液は触らないようにティッシュなどで拭き取る。液漏れした乾電池は使用できないため、テープで絶縁処理をしてから処分しよう。液漏れを防ぐ方法や安全な保管方法も解説したので、ぜひ参考にしてほしい。