目次
1. アブラムシとは?

アブラムシとは植物に寄生する1~4mmの害虫だ。種類が非常に多く、体の色は黄緑色や赤色、黄色、黒褐色までいろいろある。
アブラムシによる被害
アブラムシは、口針を刺して植物の養分を吸う。1匹ではあまり問題ないが、大量に寄生することで若い芽や葉が変形して生育が妨げられる。さらにウィルスを媒介することがあり、病気の原因になるので注意が必要だ。ほかにも肛門から出す甘い排泄物でアリが集まる、排泄物がすす病の原因になるといった被害がある。大事な植物を守るためにも、早めに駆除することが重要だ。
2. アブラムシが発生する原因

アブラムシが発生する原因を突き止めれば被害を軽減できる。駆除の基礎知識として、2つの理由をチェックしておこう。
窒素成分を多く含んだ肥料を使いすぎている
アブラムシはアミノ酸が大好物だ。窒素成分を多く含んだ肥料を使用すると、植物の中のアミノ酸が増える。アブラムシがつきやすくなり、さらに植物の実も育ちにくくなるため、肥料の使いすぎには注意が必要だ。
植物に日光が当たらず風通しが悪い
アブラムシは日光を避ける傾向があり、植物の密集している場所は格好の繁殖場所になる。そのため植物は、日当たりと風通しの良い場所で育てるのがポイントだ。植物同士の間隔は適度にあけて、定期的に選定するとよいだろう。
3. 無農薬でアブラムシを駆除する方法

野菜や果実についたアブラムシは、できれば農薬を使わず駆除したい。無農薬でできる簡単な駆除方法を解説する。
てんとう虫に捕食してもらう
てんとう虫はアブラムシの天敵だ。ナナホシテントウなど肉食性のてんとう虫は、1匹で10~100匹のアブラムシを捕食するとされる。てんとう虫が逃げにくいビニールハウスでの駆除におすすめだ。てんとう虫の幼虫は通販などで購入できる。
アリを排除する
アブラムシの甘い排泄物はアリのエサとなり、アリはアブラムシを天敵から守る。アリが植物の周りに発生している場合、アブラムシがいる可能性が高い。アブラムシと一緒にアリを排除しておくことが重要だ。
牛乳スプレーを吹きかける
牛乳スプレーを吹きかけると、アブラムシを窒息させることが可能だ。牛乳を水で薄めてスプレーボトルに入れたものを用意しよう。牛乳が残ると臭いやカビの原因になるので、駆除の後は念入りに洗い流すことが大事だ。なお、片栗粉もしくは砂糖を水と混ぜて使ってもよい。
粘着テープや歯ブラシで取り除く
アブラムシの数がまだ少ないなら、粘着テープや歯ブラシでも簡単に駆除できる。粘着テープを葉に貼り付けたあと、剥がすだけでOKだ。歯ブラシで擦って落とす場合は、落としたアブラムシを入れるための容器を用意してほしい。ただし、新芽や小さな植物は葉が破れる恐れがあるので、粘着テープや歯ブラシ以外の方法で駆除しよう。
木酢液や米酢を吹きかける
木酢液(もくさくえき)とは、木炭や竹炭を燃やしたときに発生する液体だ。水で薄めて吹きかけるとアブラムシの忌避剤となり、さらに植物の生育の助けになる。小まめに吹きかけることで予防になり、野菜や果樹も元気に育つだろう。
また、米酢でもアブラムシの忌避や予防に効果が期待できる。水500mlに小さじ1杯の米酢を混ぜたら、1週間に1~2回ほど吹きかけるのがおすすめだ。
油石鹸水を散布する
水:50、食器用洗剤:1、食用油:1の割合でよく混ぜてスプレーボトルに入れよう。アブラムシに吹きかけて10分ほど待てば、アブラムシは窒息する。ただし、野菜や果物に界面活性剤や油分が付着するので、収穫したあとはしっかりと洗おう。
重曹スプレーを使う
まずは重曹小さじ1と食用油20mlをよく混ぜる。さらに水500mlと食器用中性洗剤1~2滴を加えて、しっかりと混ぜ合わせよう。スプレーボトルに入れたあと、使用前によく振ってから吹きかけてほしい。ある程度乾いてアブラムシが死滅したあと、水でしっかり洗い流せば駆除は完了だ。
4. アブラムシを寄せ付けない予防対策

アブラムシを駆除したあとは、寄せ付けないことが重要だ。簡単な5つの予防方法を紹介するので、ぜひ実践してほしい。
コンパニオンプランツを活用する
コンパニオンプランツとは、近くに植えることでよい効果を得られる植物同士のことだ。たとえばセージやマリーゴールドには、アブラムシを忌避する効果がある。
カモミールは、天敵であるてんとう虫を引き付けることが可能だ。チャイブはアブラムシに好かれるハーブで、離れたところに植えることでおとりになる。
アルミホイルを利用する
アルミホイルで太陽光を反射させて、葉の裏側に光を当てよう。光を嫌うアブラムシが寄り付かなくなる効果が期待できる。植物の根元周辺にアルミホイルを敷き詰めればOKだ。
黄色に寄ってくる習性を利用する
黄色いものを使ってアブラムシを引き寄せる方法だ。黄色いテープを吊り下げてアブラムシを集めれば、植物を守ることができる。黄色い容器に水を入れて置いておき、飛ぶタイプのアブラムシを溺れさせるといった方法も有効だ。より高い効果を実感したいなら、市販の虫捕りシートを活用するとよいだろう。
防虫ネットを使う
防虫ネットですっぽりとおおうことで、アブラムシの付着や産卵を防げる。葉物野菜のような、被害が大きくなりやすい植物におすすめだ。
唐辛子スプレーを吹きかけておく
35度以上のアルコールに、唐辛子を1ヶ月ほど浸けたものを用意してほしい。あとは水で300倍に希釈して、スプレーボトルに入れよう。アブラムシは唐辛子の成分であるカプサイシンが苦手なので、1週間に1回の頻度で吹きかければ予防できる。
ただし、唐辛子スプレーは刺激が強いため、使い方には注意が必要だ。保護メガネや手袋を着用して、風上から風下に向かって吹きかけよう。
結論
アブラムシは無農薬でも簡単に駆除できる。牛乳スプレーや粘着テープ、木酢液を使用して、しっかりと取り除いてほしい。また、駆除したあとは寄せ付けないための対策が重要だ。コンパニオンプランツを植えたり、黄色のものを活用したりして、大事に育てている植物をアブラムシから守ろう。