目次
1. ユスリカとは?

ユスリカとはハエ目・ユスリカ科に属する昆虫だ。日本では2,000種ほど確認されており、5~10mmくらいの大きさのものが多い。水中で育つ幼虫が体を揺するように動かすことから「ユスリカ」という名前がついた。
ユスリカと蚊の違い
ユスリカの大きさや見た目は蚊とよく似ている。しかし、蚊はハエ目のカ科で、ユスリカとはまったく違う昆虫だ。蚊と異なり口器が退化しているため、血を吸ったり人を刺したりすることはない。
ユスリカの生態
ユスリカは水中で500個もの卵を産み、2~4日ほどの期間で幼虫が孵化。それから15~20日かけて4回の脱皮をして蛹(さなぎ)になる。2日ほどで成虫になったあとの寿命は1週間くらいで、その間に交尾や産卵を繰り返す。
幼虫や成虫の主な生息場所は河川や湖などの水辺だ。成虫の発生時期は初夏から秋にかけてで、大量のユスリカが集まった「蚊柱(かばしら)」ができる。光や高いところに集まる習性があり、頭上やライトに寄ってくることが多い。
2. ユスリカの主な種類

日本でよく見られるユスリカの種類を紹介する。オオユスリカとアカムシユスリカの特徴を、それぞれ解説しよう。
オオユスリカ
体長が約11mmある最大級のユスリカだ。年に2回、4月と10月に成虫が発生する。冬や春は黒に近いが、気温が高い夏や秋は明黄褐色になる。
アカムシユスリカ
8~9.5mmほどのユスリカで、黒色や黒灰色をしている。年に1回、10~11月頃に発生するのが特徴だ。
3. ユスリカの幼虫とは?

種類によっても異なるが、幼虫は大きさは5~20mmくらいのものが多い。基礎知識や益虫としての意外な役割を紹介する。
幼虫は釣り餌で知られるアカムシ
オオユスリカやアカムシユスリカの幼虫は「アカムシ」と呼ばれる。ユスリカの幼虫を好む魚は多く、餌として使用されることが多い。釣りや熱帯魚、メダカの餌として広く活用されている。
水質浄化の役割も担っている
ユスリカの幼虫は水底泥や水中の有機物を好む。生物の死骸や微生物など、水を汚す原因を食べて成長するのが特徴だ。成虫になると水の中からでることで水質浄化になる。良質な水質と土壌を保つために必要な虫といえるだろう。
4. ユスリカの幼虫が発生する原因

ユスリカの幼虫が発生する2つの原因をまとめた。なぜ発生するのかわかれば、対策もたてやすい。
近くに水辺がある
ユスリカは水辺に卵を産み、幼虫も水の中で育つ。そのため、川や沼、湖が近くにあると発生しやすいといえる。とくに琵琶湖では大量発生が問題になっており、「びわこ虫」とも呼ばれている。側溝やドブ川、水たまりなど身近で発生するケースもあるので注意が必要だ。
プランクトンの発生が多い
ユスリカはプランクトンなどの有機物を餌としている。プランクトンの餌となる農業排水や家庭排水、産業排水が水中に流れ込むとプランクトンは増殖する。餌であるプランクトンが豊富になれば、ユスリカの幼虫も大量発生しやすくなる。
5. ユスリカの幼虫や成虫の駆除方法

直接的な害はないユスリカだが、洗濯物に付着したりアレルギー疾患の原因になったりすることがある。成虫と幼虫の駆除方法と予防法を、それぞれチェックしておこう。
幼虫の駆除方法
ユスリカの幼虫を駆除したい場合、原因から取り除くことが重要だ。水と泥がある場所に発生するので、溜めないように注意しよう。バケツや植木鉢などの水は捨てて、側溝や水路の泥は取り除くとよい。
定期的に水を捨てて清掃することで、幼虫の発生は予防できるだろう。泥の除去が難しいなら専用の殺虫剤を使用してほしい。庭などに水たまりができる場合は、傾斜をつけて水を外に排水するなどの対策が効果的だ。
成虫の駆除方法
ユスリカの成虫には殺虫剤を活用しよう。スプレータイプの駆除剤ならシュッと吹きかけるだけでOKだ。屋内への侵入を防ぎたいなら、忌避タイプの虫よけ剤を使用するとよい。網戸や窓の細かい隙間はスキマテープでふさいでおこう。
また、ユスリカは明かりによってくる性質がある。カーテンは遮光タイプを使用し、ガーデンライトは防虫用蛍光灯を選ぶか、紫外線をカットするシートを貼るとよい。洗濯物は夕方になるまえに取り込めば付着するのを防げる。
結論
ユスリカは水辺で発生する虫で、幼虫は水底泥の有機物を食べて成長する。幼虫を駆除したいなら、水や泥を取り除くことが重要だ。バケツや植木鉢の受け皿にたまった水は捨てて、側溝などにたまった泥は掃除しよう。成虫のユスリカには、スプレータイプの駆除剤を活用するとよい。家に近づけたくない場合は、忌避剤を使用したり、カーテンを遮光タイプにしたりといった方法が有効だ。