目次
1. ユスリカとは

まずはユスリカの基礎知識を解説する。見た目や発生場所、発生時期などの特徴や、人体への害について紹介しよう。
蚊に非常によく似た虫
ユスリカは蚊によく似た姿をした姿をした1~10mmくらいの虫だ。日本では2,000種ほど確認されており、幼虫が水の中で体をゆする様子から名前がつけられている。水の中に産卵して成虫まで育つため、池や河川、水たまり、側溝など流れが少ない水域に発生。成虫は初夏から秋の時期に発生のピークをむかえる。
人体への害は?
蚊と似た姿をしたユスリカだが、人を刺したり血を吸ったりすることはない。ユスリカの成虫はエサを食べられず、数日ほどで死んでしまう。しかし、直接的な害はない一方で、死骸がアレルギーの原因になることがある。洗濯物にチリになって飛散した死骸が付着することもあるため、注意してほしい。
2. ユスリカがもたらす被害

基本的に害はないユスリカだが、大量発生などの被害には注意したい。知っておきたい3つの被害をぜひチェックしてほしい。
蚊柱を作る
蚊柱とは数十匹から数百匹のユスリカが集まった大群のことだ。オスの成虫が集まったもので、メスがこの中に飛び込んで交尾をする。1匹だと小さな虫でも、大群になれば羽音が大きくなり不快感も増す。高い場所や白いものなど目立つところに集まって蚊柱を作るので、注意が必要だ。
大量発生する
種類によって異なるが、ユスリカは一度に500~2000個の卵を産む。繁殖に適した水場があれば、大量発生する恐れがあるので注意が必要だ。大群になったユスリカが照明に集まったり、洗濯物に付着したりすることもある。高さがある人の頭に集団で集まることは多く、直接的な被害はなくても不快感は強いだろう。
食品などへの混入被害も
ユスリカは明かりに集まる習性があるので、店舗や家の照明に引き寄せられて入り込むことがある。食べ物への異物混入のリスクがあるだろう。店舗に大量発生したユスリカが入り込めば、不潔な印象を与える可能性がある。
3. ユスリカに効果的な対策と駆除方法

ユスリカの対策と駆除方法を幼虫と成虫に分けて解説しよう。ユスリカの大量発生に備えることが大事だ。
ユスリカの幼虫対策・駆除方法
ユスリカは水がたまった場所で繁殖する。水たまりや植木鉢の受け皿、バケツには水をためないようにしよう。水の中にたまった汚泥をエサとするので、側溝や水路は定期的に掃除してほしい。また、ユスリカの駆除には脱皮を阻害する「脱皮阻害剤」が有効だ。水を捨てたり掃除ができなかったりする場合は、使用を検討してほしい。
ユスリカの成虫対策・駆除方法
ユスリカは照明が発する紫外線に集まるため対策が必要だ。遮光カーテンを使用したり、紫外線をほとんど発しないLED照明に交換したりすれば、ユスリカが家に寄り付きにくくなる。紫外線をカットできる防虫グッズを活用してもよいだろう。ユスリカに効く忌避剤もあるのでぜひ活用してほしい。
ユスリカの成虫を駆除するならスプレータイプの殺虫剤が有効だ。吹きかけるだけで駆除できるので、ユスリカが発生する時期は用意しておくとよい。なお、蚊柱が頭上に集まってしまった場合は、自分の頭と同じかより高いものに移動させる。しゃがんで体を低くしながら高いものに近づくのがポイントだ。
自治体で対応してもらえることも
車に集まって視界が悪くなる、大量の死骸を踏んでスリップするなど、ユスリカは事故の原因になる恐れがある。一部の自治体ではユスリカ対策に対応しているので、大量発生したときは相談してみよう。自治体で対応してもらえない場合は、専門業者への依頼を検討してほしい。
4. ユスリカには「益虫」としての側面もある

ユスリカの幼虫は、水が汚れる原因になる有機物を食べて成長する。水質浄化に役立つため益虫として重要な役割があるのだ。さらに幼虫は魚の、成虫は鳥やクモのエサになる。環境の浄化や自然循環のために、かかせない虫といえるだろう。害虫としてのユスリカだけではなく、益虫としての側面にも注目してほしい。
結論
ユスリカは刺したりかんだりしないため、直接的には害はない。一方で死骸がアレルギーの原因になる、人の頭や車に集まるなどの被害があるので注意が必要だ。水をためないようにする、側溝や水路を掃除するといった対策で幼虫の発生は予防できる。成虫は遮光カーテンや忌避剤で対策をしつつ、殺虫剤で駆除しよう。ユスリカが大量発生している場合は自治体で対応してもらえるケースがあるので、まずは相談してほしい。