目次
1. アブラムシとは?

アブラムシはカメムシやセミの仲間で、カメムシ目アブラムシ上科に属する虫の総称を指す。植物にびっしりと湧きやすく、家庭菜園や農業に深刻な被害を与える害虫としても知られている。以下ではアブラムシの詳しい特徴や、被害の例を紹介するので参考にしてほしい。
アブラムシの特徴
アブラムシは体長1~4mm程度と小さく、体色は緑・赤・黒などさまざまだ。群生する習性があり、花・野菜・果物などの植物に大量に付着する様子がよく見られる。アブラムシの種類は非常に多く、日本だけでも700種類ほどいる。日本ではとくに「モモアカアブラムシ」や「ワタアブラムシ」が多く見られる。
アブラムシによる被害
アブラムシは口の先が細いストロー状になっていて、植物の養分を吸う。そのため葉や茎にアブラムシが湧くと、植物が栄養不足になって病気になるおそれがある。さらにウイルスを媒介して、「モザイク病」などをもたらす危険性も考えられる。
また、アブラムシの排せつ物も厄介だ。粘着性のある密状の排せつ物により、「すす病」を招いたりアリを引き寄せたりする被害も見られるので注意しよう。
2. アブラムシはどこから来るのか?

いつの間にか大量に湧いているアブラムシは、一体どこから来るのだろうか。アブラムシは風に乗って遠くからやって来ることもあるが、実はもっと身近なところから発生しているケースもある。
世代交代の中で羽のあるアブラムシが産まれる
アブラムシには羽のない個体が多いが、世代によっては羽のあるアブラムシが産まれることもある。それは1つの植物に密集していると養分が足りなくなるため、ほかの植物に移れるようにするためだ。こうして羽のあるアブラムシは、もといた作物から違う作物へと移動して増えていく。
作物を求めて畑から畑へと移動する
アブラムシが畑で大量発生していたら、ほかの作物から飛来してやって来た可能性が高いだろう。アブラムシは冬場、キャベツや白菜などに付着して越冬する。このときは数が少ないが、春を迎えるとほかの植物に移って急激に繁殖し始める。つまりアブラムシは、同じ畑や庭の中で発生していろいろな植物を回っていく。大量発生していると急にどこから来たのかと思いがちだが、そのとき生育している植物に発生し続けるため、畑や庭中のアブラムシを根こそぎ駆除する対策が必要だ。
3. アブラムシが湧いてくる原因とは?

しっかりと対策するには、アブラムシが湧いてくる原因を押さえておくことが肝心だ。ここではアブラムシが発生する主な原因を2つ見ていこう。
窒素成分を多く含んだ肥料を与えすぎている
アブラムシは植物で作られるアミノ酸を好む。アミノ酸は窒素成分の多い肥料を与えすぎることで大量に生成される。アミノ酸が多く作られるとアブラムシが寄ってきやすくなるので、肥料の窒素成分を減らすことがポイントとなる。
株間が狭く風通しが悪い
アブラムシは風通しがよくない環境で湧きやすい。植物どうしの間隔が狭いと風通しが悪く、日が当たりにくくなる。アブラムシを大量発生させないためには、株間を広くとって風通しをよくし、植物全体に日が当たるようにしよう。
4. アブラムシが発生した場合の駆除方法

もし育てている植物にアブラムシが発生してしまったら、以下の4つの方法で駆除するとよい。数が少ない場合や大量に発生した場合など、状況に応じて駆除方法を使い分けよう。
手で取り除く
アブラムシの数が少ないなら、手で1匹ずつ取り除くのが確実といえる。粘着テープにくっつけて取ったり、歯ブラシでこすって容器に落としてから捨てたりするのも手だ。
窒息死させる
牛乳や石けんを使ったスプレーを吹きかけ、アブラムシを窒息死させる方法もある。最後に植物をよく洗い流し、牛乳や石けんを残さないようにするのがポイントだ。ただし大量発生したアブラムシを全滅させるには手間がかかるので、数が少量のときに向いている。
テントウムシに捕食してもらう
大量発生したアブラムシを農薬や殺虫剤を使わず駆除したい場合には、テントウムシに捕食してもらうのがおすすめだ。テントウムシはアブラムシの天敵で、成虫1匹で1日に100匹以上のアブラムシを捕食できる。とくに「ナミテントウムシ」は飛行能力が低く、家の庭でも扱いやすいだろう。
市販の殺虫剤を使う
アブラムシがたくさん湧いてしまったときは、市販の殺虫剤を使うのが手っ取り早い。殺虫剤にはスプレータイプや顆粒タイプなどの種類があるので、その中からアブラムシに効果があるものを選ぼう。大量のアブラムシでも効率よく駆除できるのがメリットだ。
5. アブラムシを寄せ付けない予防対策

アブラムシを駆除したら、再び寄せ付けないよう予防することも重要だ。効果的な予防策には忌避剤を使う方法と、反射光を利用する方法がある。
忌避剤を使う
アブラムシを寄せ付けないためには忌避剤を活用しよう。木炭を作る際に出る煙を冷却して液体にした「木酢液(もくさくえき)」や、インド原産の樹木から採れる「ニームオイル」などが使える。いずれもホームセンターなどに売っているので、希釈して植物に吹きかけるとよい。
反射光を利用する
アブラムシは反射光を嫌うため、銀色のフィルムやネットを張るのも効果的だ。銀色の部分が光を反射して、アブラムシを寄せ付けにくくなる。植物の根元にアルミホイルを敷きつめる方法もおすすめだ。
結論
大量のアブラムシがどこから来ているのか、疑問に思っていた方も多いのではないか。アブラムシには羽が生えることがあり、栄養分のある植物を求めて畑や庭内を移動している。ガーデニングや家庭菜園で育てている植物を守るためにも、紹介した方法でアブラムシを駆除・予防しよう。