目次
1. 発泡スチロールとは?

発泡スチロールはもともと、冷凍や冷蔵に使うコルクの代用品としてドイツで開発された。現在は生鮮食品の容器をはじめ、緩衝材や住宅用の建材などに幅広く活躍している。ここではまず、発泡スチロールとはどのようなものなのか詳しく見ていこう。
発泡スチロールの原材料はポリスチレン
発泡スチロールは、石油製品からできたポリスチレンのビーズと呼ばれる粒を原料にしている。発泡スチロールはこのビーズを型に入れ、高温の蒸気を当てて作る。蒸気を浴びたビーズは約50倍に膨らみ、互いにくっついて成型されるのだ。
発泡スチロールの特徴
発泡スチロールは軽量で頑丈なのが特徴だ。発泡スチロールは体積の約98%が空気で、原料のポリスチレンはわずか約2%しかない。非常に軽く、空気によりクッション性があるため衝撃を吸収できる。
発泡スチロールは、断熱性にも優れている。1つ1つのビーズが空気を含むため、熱が伝わりにくい。断熱材として食品の保冷や住宅の建材に使われることが多い。
2. 発泡スチロールは再利用できる?

発泡スチロールは生活のあらゆるシーンで見かける。近年は、環境問題からプラスチック削減の意識が高まっている。発泡スチロールは再利用できるのだろうか?
リサイクル率は85%以上
発泡スチロール協会(※1)によると、発泡スチロールは2009年から85%以上がリサイクルされているという。2021年の数値は92%と、リサイクル率の高さがうかがえる。発泡スチロールはその優れた特性により、幅広い用途で再利用できるのがポイントだ。
リサイクルの3つの種類
発泡スチロールの再利用方法には、マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクル・サーマルリサイクルの3種類がある。マテリアルリサイクルはプラスチック製品として再商品化したり、包装材や建材として使ったりする方法だ。ケミカルリサイクルは工場で燃料にするなどの方法、サーマルリサイクルは熱エネルギーとして発電などに再利用する方法を指す。このように使用済みの発泡スチロールは、生活の中で再びいろいろな役に立っている。
3. 個人でもできる発泡スチロールの再利用方法

個人でもできる発泡スチロールの再利用方法はいろいろある。家に多くある発泡スチロールを再利用したい人は、以下のアイデアを参考にしてみよう。
用土の代わりにする
発泡スチロールは、植物を育てるための用土の代わりになる。用土を減らして発泡スチロールを入れることで水はけがよくなり、根腐れを抑えられるのがメリットだ。また、鉢の重量を減らすのにも役立つだろう。
簡易クーラーボックスを作る
発泡スチロールの断熱性を生かし、簡易的なクーラーボックスとして再利用するのもおすすめだ。発泡スチロールの中に保冷剤を3つほど入れれば、食品を2~3時間ほど保冷できる。長時間の保存には向かない。しかし、軽いのでキャンプや引っ越しの際にも持ち運びやすい。
バナナを保存する
意外に役立つ再利用方法は、バナナの保存が挙げられる。バナナを置いておくと短期間で黒くなってしまう。しかし、発泡スチロールに入れることで黒ずみを防ぎながら保存できる。バナナを新聞紙で包んで発泡スチロールの箱に入れておけば、6日前後は変色を抑えられるだろう。1日に1回は箱の空気を入れ替え、新聞紙が湿ってきたら取り替えるのがポイントだ。
パンやピザの生地を発酵させる
発泡スチロールにパンやピザの生地を入れると、発酵の時間を短縮できる。発泡スチロールは熱を逃がしにくく、お湯を入れたコップを生地と一緒に保管することで、内部をほどよい暖かさに保てる。発酵に時間がかかりがちな寒い時期にはぜひ試してみてほしい。
窓の断熱材にする
窓に貼ることで断熱材として再利用できるのもうれしい。夏は暑い外気を遮断し、冬は室内の暖かい空気が逃げるのを防ぐ。板状の発泡スチロールが余っている場合は活用してみよう。
緩衝材にする
クッション性を生かし、緩衝材にする方法もある。ダンボールにものを入れて発送するときや、壊したくない電子機器をしまっておくときなどに、発泡スチロールを詰めれば衝撃を吸収できるだろう。
結論
いろいろなシーンで使われるため家にたまりがちな発泡スチロールだが、紹介した方法で便利に再利用できる。クーラーボックスにして保冷する、窓に貼って断熱する、ダンボールに入れて緩衝材にするなどの方法で、発泡スチロールを有効活用しよう。
(参考文献)
※1出典:発泡スチロール協会「リサイクル実績」