目次
1. 胃下垂とは?

胃下垂という言葉は聞いたことがあっても、具体的にどういった状態を指すのかわからない方も多いのではないだろうか。ここではまず、胃下垂とはどういうものなのか見ていこう。
正常な位置より胃が下がっている
胃下垂とは、胃が正常な位置から下がっている状態を指す。胃そのものの位置が下にあるというよりは、胃が垂れ下がって骨盤のあたりにまで落ちているというほうが正しい。胃下垂はとくに、女性ややせている方に多くみられる。
胃下垂が引き起こす症状
胃下垂は基本的に無症状だが、場合によっては胃腸や骨盤臓器に症状が出ることがある。胃が骨盤の位置まで下がることで胃腸の機能が低下したり、直腸・膀胱・子宮などを圧迫したりするケースも見られる。それによって胃痛・胃潰瘍・便秘・下痢のほか、頻尿・尿漏れなどの症状が出やすくなるとされている。
2. 胃下垂の見分け方

上で紹介したような症状があり、自分が胃下垂かもしれないと感じている方は、次の見分け方でチェックするのがおすすめだ。
みぞおちが凹んでいる
簡単な見分け方としては、肋骨のすぐ下にあるみぞおちを触る方法が有効だ。胃下垂の方はみぞおちが凹んでいる傾向がある。胃下垂が長期間続くと、まわりが圧迫されてほかの内臓も下垂を起こしやすい。本来ならみぞおち周辺にある内臓が、胃下垂により位置が下がることで、みぞおちが凹んで下腹部が出た体型になるのだ。
食後に下腹部がぽっこりと出ている
食後に下腹部がぽっこりと出る方も、胃下垂の可能性がある。食後に仰向けで寝転んで、胃の位置を確認する見分け方をチェックしてみよう。みぞおちのあたりに胃のふくらみを確認できれば正常といえる。しかしへそや骨盤のまわりで胃のふくらみを感じる場合は、胃下垂かもしれない。さらに胃もたれやげっぷなどの症状がある方は、可能性がより高くなるだろう。
3. 胃下垂の改善方法

胃下垂を改善するには、自分で食生活や食習慣を見直すか、病院で治療するなどの選択肢がある。胃下垂が気になる程度であれば自分で気をつけるのもよいが、胃腸などの不調を感じている場合は病院を受診しよう。
なお、上で紹介した見分け方はあくまで簡易的なものなので、胃下垂かどうか不安な場合も一度病院で調べてもらうことをおすすめする。自分では胃下垂だと思っていても、実は別の原因によって胃腸の調子が悪い場合もある。病院なら胃のX線検査による見分け方が採用されているため、胃の位置をしっかりと把握できるだろう。
自分でできる改善方法
胃に優しい食材を食べる
胃下垂を悪化させる原因の1つに、食事による胃腸への負担が挙げられる。胃腸にかかる負担を減らすためには、野菜や果物などの胃に優しい食材を食べることが大切だ。一方、脂肪分の多い食事は胃酸の分泌量を増やしたり、消化に時間がかかったりする点で負担になりやすいので注意してほしい。
よく噛んで食べる
消化を助けるためには、よく噛むことも意識してほしい。しっかり噛んで食べ物を小さく砕くことで、胃での消化にかかる負担を減らせる。また食べ物を胃で撹拌する際にも、少ない力で済むのが利点だ。
水分を十分に摂取する
胃腸の働きをよくするためには、水分を十分に摂取することも欠かせない。男性は1日あたり2~2.5リットル、女性は1.5~2リットル程度の水を飲むとよい。なお、コーヒーや紅茶でも水分を摂れるように思えるが、カフェインの利尿作用により体内の水分を減らすことにもつながる。水分補給のためには、コーヒーや紅茶ではなく水などを飲もう。
病院で行う治療方法
薬物療法
病院で行う治療方法の1つに薬物療法がある。胃下垂による胃痛の場合は制酸剤、吐き気や胸焼けの場合は制吐剤などの薬が処方される。また、胃腸の不調には自律神経の乱れやストレスなどが関わっているケースもみられるため、自律神経調整剤や抗不安薬が出されることもある。
理学療法
病院によっては理学療法で生活習慣などを指導し、胃下垂を改善させるところもある。たとえば胃腸は右側に出口があるため、食後に体の右側を下にして寝るよう指導するなどだ。また、腹筋を鍛えるための筋トレやストレッチをはじめ、やせている方には脂肪をつける方法を教えるなど、その方に合わせた改善方法がレクチャーされる。
4. 胃下垂になる原因と予防法

胃下垂を予防するためには次のポイントを意識しよう。ここでは胃下垂になる原因もあわせて紹介するので、発症しないように普段から気をつけてほしい。
正しい姿勢を心がける
胃下垂になる原因の1つに猫背がある。猫背になると上半身が前に傾く分、胃が上から圧迫されやすく、胃下垂を引き起こしやすい。猫背を改善するには、肩甲骨を広げるストレッチが向いている。気がついたときに肩甲骨を動かすなどし、日常生活にストレッチを取り入れてみよう。
プランクで腹横筋を鍛える
お腹にある腹横筋が弱いとお腹を引き締められずに内臓が下がり、胃下垂を起こす場合もある。胃下垂を予防するためにも、腹横筋を鍛えよう。おすすめのトレーニング方法はプランクだ。床に肘を直角につけてうつ伏せになり、上半身を起こして体勢をキープしよう。続けていくうちに腹横筋が鍛えられてくるはずだ。
結論
胃下垂による症状がとくになければ放っておいてもよいが、胃腸の調子が悪いと感じている場合は対策するのが望ましい。胃に優しい食材や水分をしっかり摂る、よく噛むなどの方法で改善を目指すか、症状が気になる場合は病院を受診してほしい。紹介した見分け方も参考に、自分が胃下垂かどうかチェックしてみよう。