目次
1. 明晰夢とは?

「明晰夢は危険だ」といわれても、そもそも明晰夢はどのようなもので、なぜ危険なのか知らない人も多いだろう。明晰夢を詳しく紹介するのに加えて、どういった危険性が潜んでいるのか見ていこう。
夢の中で夢だと気づくこと
明晰夢とは、夢の中で「自分は夢の中にいる」と気づく夢のことを指す。ポイントは、夢を見ているのが先で、気づくのが後だということだ。ただ映像が流れるだけの夢とは違い、明晰夢は夢の中で自由に動けたり、明晰夢を見るのに慣れてくれば夢すら自分の思うままに操作したりもできる。
現実世界のようなリアルさがある
夢といえばどんなイメージを思い浮かべるだろうか?詳しく覚えておらず、ふわふわしたイメージが強い。せっかく楽しい夢を見ても目が覚めてから「あれ、なんだったっけ?」となる人がほとんどだろう。だが明晰夢は、まるで現実世界にいるかのようなリアルな感覚で、夢の内容を明確に覚えているのだ。五感による感じ方も、現実世界で過ごしているときと変わらない。
2. 明晰夢が危険だといわれる理由

明晰夢が危険だといわれる理由は何なのだろう。明晰夢について聞くと「自分で夢をコントロールできるなんて楽しそう」だと思う人もいるかもしれない。だが、明晰夢を見るのは危険が伴う場合もあるのだ。明晰夢のデメリットである危険性を説明する。
睡眠が浅くなる
明晰夢は眠りが浅くなったときに見やすい。睡眠中は本来脳を休ませる時間だが、明晰夢を見ると脳が覚醒してしまい、結果的に十分に睡眠を取れなくなる。明晰夢をかなりの頻度で見ることは、睡眠中でもしっかり脳が休めておらず、寝てはいるが身体も脳も疲れが取れない悪循環に陥ってしまうのである。
金縛りのような状態になる
明晰夢を見ているときに、金縛りと似た状態になることがある。これは身体が眠っているのに脳が覚醒している状態だ。中途半端な睡眠によって、金縛りのように「意識はあるのに身体が動かない」と怖い思いをすることがある。
睡眠障害に陥る危険性がある
普通の夢とは違い、明晰夢は非常にリアルな感覚で見ることが多いため、自分でコントロールできない恐ろしい夢を見てしまうことがある。下手をすれば、それがきっかけで夢を見ることに恐怖心をもってしまい、睡眠障害を抱える危険性もある。楽しい夢だろうが恐ろしい夢だろうが、明晰夢はすべてリアルに感じ取ってしまうので注意しよう。
現実世界に嫌気がさす
現実の世界で嫌なことがあると、「自分の思い通りになる明晰夢の中の方がいい」と明晰夢に頼ってしまう癖がつく可能性がある。そうなると現実世界に嫌気がさし、生活がままならないだろう。ただ、明晰夢はしばらく見続けられるわけではないのでリスクは低いだろう。
3. 明晰夢は危険なことばかりではない

明晰夢が危険だといわれる理由を紹介したが、危険なことばかりではない。明晰夢を安易に捉えず、危険が伴うと紹介したデメリットをしっかりと理解しておこう。次に明晰夢のメリットを3つ紹介しよう。
自分に自信を持てる
明晰夢を見ることに慣れてコントロールのコツを覚えれば、明晰夢の中でも自由に過ごせる。これは現実世界での苦手意識を克服できるきっかけにもなり得るのだ。
苦手なものを明晰夢の中で乗り越えてしまえば、現実世界でも「なんとかなるかも」と前向きな気持ちになるから。自分自身の弱い部分を見つめ直して、いいイメージを繰り返し見続けることは明晰夢のメリットである。
イメージトレーニングができる
明晰夢には、イメージトレーニング効果が期待できる。例えば、スポーツの大会や会社の大事なプレゼンを控えている時期に明晰夢を見れば、睡眠中もスキルアップのための効果的なイメージトレーニングができるのだ。うまくコントロールすれば、試験の暗記などにも活用できるかもしれない。
悪夢を見ないようになる
悪夢を見ないようにコントロールできるのも、明晰夢のメリットだろう。悪夢の最中に夢だと認識できれば、悪夢を自分の見たい夢に操れるからだ。
週に2回は悪夢を見ている人を対象にした実験も行われており、明晰夢の訓練とともにゲシュタルト療法を行った結果、対象者たちは悪夢を見なくなった研究結果もある。(※1)
4. コントロールしながら明晰夢を見る方法

コントロールさえできれば、明晰夢は危険なものではなくなり、逆にメリットが多い。しかし、そう簡単に明晰夢をコントロールできるようになるのか疑問に思う人も多いだろう。「明晰夢をコントロールできないと危険では?」という人に、コントロールしながら明晰夢を危険なく見る方法をお伝えしよう。
瞑想を習慣化する
普通の夢を見ている最中は脳波の一つであるシータ派が出るのに対して、明晰夢を見ている最中はガンマ派が出ている。ガンマ派とは強く集中しているときに出る脳波のことだ。記憶や集中における脳機能に深く関係しており、瞑想している人の脳でもガンマ派が高まっているため、明晰夢を見ている脳波と似た状態になる。つまり、瞑想を習慣化すれば、明晰夢を見やすい状態に近づくことだ。
夢か現実かを確認する
いま自分がいる世界が、現実なのか夢なのかを確認する癖をつけると、明晰夢を見やすくなる。頬をつねるなど動作で確認するのが有効だ。現実と夢を見分けるための判断方法を用意しておくといいだろう。
リラックスする
リラックスした状態であることは、睡眠を取るうえで肉体的にも精神的にも大切だ。リラックスした状態は夢を見やすくし、いい夢を見るのに欠かせない条件といえるだろう。心地いいと感じる音楽をかけたり、就寝前にハーブティーを飲んだりするのもおすすめだ。
夢日記を書く
夢で見たことを日記につけておくと、自分の見る夢の傾向が分かり、夢を夢だと認識しやすくなる。夢はすぐ忘れてしまいがちなので、起きてからすぐ書くようにしよう。
積極的にビタミンB6をとる
夢で見た内容を覚えておけない人を対象に、5日間ビタミンB6を摂取させたところ、実験が終了する頃には夢を覚えていられるようになった研究がある。(※2)明晰夢を見たいなら、見た夢をできる限りはっきりと覚えておく必要がある。明晰夢を見るために、ビタミンB6が有効な可能性は高い。
結論
明晰夢のメリット・デメリットなどを紹介した。夢をコントロールできるのはかなりメリットに感じられるが、危険な場合もあることをしっかり理解しておいてほしい。あくまでも身体に無理のない程度で、ストレス解消法など上手に明晰夢と付き合ってほしい。
(参考文献)
※1:National Library of Medicine
※2:SAGE journals