目次
1. 睡眠を妨げるほどの騒音とは?

騒音は睡眠の天敵である。睡眠が浅くなることや、睡眠時間が短くなることもあり私たちの身体に大きく影響する。耳栓をして少しでも睡眠時間を確保したいところだが、危険があるとはどういうことなのか。
騒音とは、自分たちが生活している環境で生じるさまざまな音の中で、人にとって不快な音のことをいう。音の大きさは「dB(デシベル)」で表す。睡眠時の騒音は個人によって感じ方の違いもあるが、一般的に夜間の室内許容数値は40dB以下ならOKとされている。(※1)音の大きさの例でいうと、小さなささやき声程度は30dB、洗濯機の音は60~70dB、救急車のサイレンは80dBといった感じだ。40dBは図書館内の静かさと同等と考えていいだろう。
騒音の中で耳栓をしてよい睡眠をとろうとすることは間違いではないが、危険性を伴うことを次で解説しよう。
2. 耳栓を装着したまま睡眠をとる危険性

では、具体的に耳栓を装着したまま睡眠をとると、どういった危険性があるのだろうか。以下で見てみよう。
炎症や感染症の原因になる
一晩中耳栓を装着して睡眠をとると、長い時間耳の穴がふさがった状態になり、耳の中が蒸れて感染症を起こしやすくなる。痛みやかゆみなどといった違和感があれば、すぐに耳鼻咽喉科を受診しよう。毎日使用するものなので、耳栓を清潔に保つことも大切だ。
耳栓なしでは落ち着かなくなる
耳栓を装着しながら寝ると、寝るためのスイッチが入り、入眠の助けになることもある。しかし、逆をいうと耳栓なしでは睡眠導入できなくなる危険性もある。とくに繊細な人ほど、はまりやすいので要注意である。
耳あかが奥にたまりやすくなる
繰り返し耳栓を使用し睡眠をとることで、耳鳴りや音が聞こえにくくなる危険性も。原因は耳栓で耳あかを奥の方へ押し込んでいることが考えられる。気になるときは耳鼻咽喉科を受診しよう。
3. 睡眠時におすすめの耳栓の選び方

耳栓を装着して睡眠をとることの危険性が理解できただろうか。しかし、どうしても音が気になって耳栓をしないと眠れない人に、睡眠時でも危険が少なくなる、耳栓の選び方をご紹介しよう。
遮音性
耳栓をする目的は騒音を遮断することによって、上質な睡眠をとるためだろう。耳栓を選ぶ場合は、遮音性の高さを重視して選ぶことがポイントだ。そのために覚えておきたいのが「NRR(騒音減衰指数)」という数値である。例えば、洗濯機の音のレベルを70dBとし、NRR30dBの耳栓を使用する場合、70dB-30dBで騒音レベルを40dBまで抑えられるといえる。購入時にはNRRの数値をチェックしてみよう。
耳栓のタイプ
耳栓といっても形や素材によってタイプもさまざまだ。一般的な耳栓であるフォームタイプは装着時に小さく押しつぶし、耳穴にいれると膨らんでフィットする。密着度が高く、遮音性もよい。フランジタイプは水洗いできる素材で繰り返し使えることが特徴だ。耳栓とイヤホンが一緒になったデジタルタイプもある。自分に合わない耳栓を睡眠時に装着し続けると、耳の炎症など危険が及ぶ原因になるので慎重に選びたい。
4. 耳栓を装着したまま睡眠をとる際の注意点

実際に耳栓を装着して睡眠をとる際はどのようなことに気をつけると危険を回避できるのか。注意点と耳栓の素材選びのポイントを押さえておこう。
耳栓を常に清潔にしておく
耳栓をして睡眠をとる危険性の1つとしてあげた炎症や感染症の原因となるため、耳栓は清潔にしておく必要がある。耳栓の種類によってメンテナンス方法が違うので、製品に書かれている方法を確認しておこう。
目的に合った素材の耳栓を使う
自分の目的に合った素材を選ぶことが耳栓選びのポイントだ。耳栓の素材は、低反発素材やシリコンなどがある。中でもシリコンは粘土のように自分で自由に形を作れる特徴を持つ。柔らかい素材で耳にフィットし、心地よい装着感を提供する。長時間耳栓をして睡眠をとる際に、よくある痛みや脱着などの危険が少ない。遮音性はやや劣るが、その分遮音性が高すぎて朝の目覚まし時計が聞こえず寝坊してしまう人や、緊急時のサイレンなどの音を聞き逃したくない人には安心だ。耳の奥に入りにくいため、耳栓による密着感が苦手な人にもおすすめといえる。
結論
騒音が気になって眠れない人にとって耳栓は、毎日の睡眠を助ける便利アイテムだ。しかし、耳栓を日常的に装着し続けることは、睡眠はもとより自分の耳に危険が及ぶことが分かった。正しい使用方法を守り、心地よい睡眠のために上手に耳栓とつきあっていきたい。
(参考文献)
※1出典:環境省「騒音に係る環境基準について」