目次
1. ハサミの正しい数え方は「本」ではない?

自分が正しいと思っていたハサミの数え方は間違っているかもしれない。
正式には「丁」「挺」と数える
ハサミの正しい数え方は「1丁」「2丁」あるいは、「1挺」「2挺」だ。どちらも「ちょう」「てい」と読み、それぞれに意味がある。「丁」は、ペアになったものを数えるときに使う。ハサミは2本の「刃」が重なることによって切る道具のため、丁の字を使うのだ。「挺」は、細長い棒や手を使う道具のことを意味する。まさにハサミにピッタリの漢字だ。
「本」も誤りではない
ほかの文房具と同じようにハサミも1本、2本と数えることが多い。では、間違って使っているのかというと、そうでもない。言葉というのは、時代や世相などによっても変わっていくものだ。コミュニケーションの中でハサミの単位が「本」でわかり合えるのならば、それは決して誤りとはいえない。
ハサミの数え方を英語でいうと?
ハサミは英語で「scissors」と書き「シザーズ」と読む。末尾に「s」の字が付いて複数形になっていることに注目してほしい。2枚の刃を使った道具だということを英語でも表現しているのだ。そのため、英語で1丁のハサミは「A pair of scissors」と表現される。
2. 「丁」「挺」という数え方をするハサミ以外のもの

「丁」「挺」を単位として使うのは、ハサミだけではない。
手に持つものを数えるときに使うことが多い
「丁」「挺」は、もともと真っ直ぐな棒をあらわす言葉だった。それがいつしか、手に持つ道具の単位、数え方になったとされている。「鍬(くわ)」「鋤(すき)」といった農具の数え方も「丁」「挺」だ。また、「刃物」「銃」も同じ数え方をする。楽器の中でもバイオリンを数えるときには「丁」「挺」を使うようだ。
3. ハサミにまつわる数え方以外のちょっとした豆知識

ハサミは、私たちの身近にある便利な道具だが、まだまだ知らないことがたくさんある。
ハサミは大きく2種類ある
ハサミの形状には、大きく分けて2種類あることをご存じだろうか。「ローマ型」と「ギリシャ型」だ。私たちが子どもの頃から使い慣れているのは「ローマ型」で、2枚の刃をX状にして切る。裁縫では「洋バサミ」と呼ばれているものだ。ギリシャ型は、裁縫箱で見たことがあるのではないだろうか。U字型に曲がっていて、刃と刃をかみ合わせて切る。裁縫では「和バサミ」と呼ばれている。
持ち歩くと銃刀法違反になることも
ハサミは、文房具やキッチンバサミとして、あるいは園芸用品としてなど、家の中のいろいろな場所で使う道具だ。ところが、基本的に持ち歩くのは銃刀法違反という犯罪になる可能性があるので注意してほしい。
銃刀法違反になるハサミは、刃わたり8cm以上のものだ。少し大きめの裁ちばさみなどは、すぐに違反となってしまうだろう。それだけ、ハサミは人を傷つけてしまう凶器になりうるということだ。とはいっても、仕事に使う場合や学校で使う場合など、正当な目的で使用するための持ち歩きは可能だ。あくまでもハサミで人を傷つけようとした場合や、脅そうとした場合などに当てはまる法律といっていいだろう。
4. ハサミの数え方を覚えておこう

最近は世界がグローバル化していて、横文字が氾濫している。グローバル化はいいことではあるが、ナショナリズムも忘れてはいけない。日本に住む私たちには、昔から受け継がれてきた単位というものがある。それには深い意味が込められており、また美しい響きでもある。ハサミを1本、2本と数えることは間違いではない。しかし1丁、2挺と数えることを知ることは、日本の文化を守ることにもなるだろう。
結論
ハサミの本来の数え方は「丁」「挺」だ。「本」でも決して間違いとはいえないが、正しい数え方を覚えておこう。「丁」「挺」には意味があり、手に持つ道具として農具や刃物、楽器の数え方にも使われている。ハサミの正しい数え方を覚えることで、改めて日本語の美しさが実感できるだろう。