目次
1. 真珠の重さの単位は日本発祥で世界共通

真珠の数は、「粒」あるいは「個」と数えるのが一般的だ。では、真珠の重さは「グラム」なのだろうか。
真珠の重さは「匁(もんめ)」という単位で表す
実は、真珠の重さの単位は「匁」で表す。一文銭が流通していた時代、一文銭の重さは3.75グラムで重さの基準になっていた。一文銭の重さという意味で「文目(もんめ)」が使われるようになる。「匁」という漢字は「文」と「メ」が合体したものといわれている。
「momme」は世界共通の公式単位
真珠の重さの単位は「匁」だが、世界の国際共通単位は「momme」と表記される。そして発音記号をみると「モミ」と発音する。
【日本の単位が世界共通になった理由】
なぜ日本の重さの単位である匁が国際共通単位になったのだろう。それは、明治から昭和にかけて日本が世界でもトップクラスの真珠の産地だったからだ。それを可能にしたのが養殖技術だ。
現在のMIKIMOTOの創始者である御木本幸吉氏が真珠の養殖に成功した。天然の真珠よりも格段に安く海外へ輸出し始めるも、ヨーロッパの真珠業者の反発を買う。養殖真珠はまがい物だとし、不買運動を始めるのだ。しかし、御木本氏は民事裁判に訴え、学者らの鑑定をもとに勝訴する。養殖真珠が本物の真珠であることが公に認められた瞬間だ。
これ以降、日本の真珠は世界に向けて輸出され、販路を拡大していく。そのなかで、真珠の重さの単位が匁になったのだ。いかに、日本の真珠が多く流通していたかがわかる。
2. そもそも匁とはなにか?

そもそも匁という単位は、どのようなときに使われていたのだろう。
匁の用法は2つある
【尺貫法における質量の単位】
匁は尺貫法における質量の単位だ。現在では公式な単位として尺貫法は使われなくなったため、匁といわれてもピンとこないだろう。
しかし、私たちの身近には、建築、不動産などで今でも尺や坪が使われている。また食パンを一斤、日本酒の瓶を一升瓶といったりする。まだまだ、尺貫法が使われているシーンは多い。
【江戸時代の銀の通貨単位】
子ども時代にやったことがある方も多いであろう「花いちもんめ」。この遊び歌は漢字で書けば「花一匁」だ。匁は江戸時代の銀の通貨単位で、銀一匁相当の花を売り買いする様子を歌ったものだ。江戸時代の銀一匁は、現代では約1,250円くらいだと想定される。
1匁あたりの重さは何グラム?
1匁は、3.75グラムとして換算されている。では、実際の真珠はどれくらいの重さなのだろう。真珠の直径と匁を調べてみた。
4ミリ 0.024匁(0.09グラム)
5ミリ 0.048匁(0.18グラム)
6ミリ 0.083匁(0.31グラム)
7ミリ 0.13匁(0.49グラム)
3. 真珠以外の宝石や貴金属の単位

真珠の重さは、いまでも匁が踏襲されているが、そのほかの宝石や貴金属は、どうなっているのだろう。
ダイヤモンドの重さや金の純度を表す単位は「カラット」
ダイヤモンドの重さ、金の純度をあらわす単位として「カラット」が使われている。カラットはギリシャ語の「イナゴマメ」が語源となっている。イナゴマメ何粒分の重さかが基準となっていた。1907年に1カラット200ミリグラムに統一され、現在に至る。
金貨の重さを表す単位は「トロイオンス」
1トロイオンスは31.103 4768グラムと定められている。金貨の時だけ使用される単位で、金のインゴットではグラム表記になる。トロイオンスは、中世のヨーロッパで使われた共通単位で、フランスの街「トロワ(Troyes)」に由来する。ここでは大きなバザールが立ち、さまざまな地域から金貨や銀貨が流れ込んできたため共通単価が必要になり、トロイオンスが定められた。
4. 真珠など宝石や貴金属の重さの単位は正しく使おう

ものには必ず単位がある。何気なく使っている単位には歴史的背景があり、正しく使うことによって現在でも使われ続けている。グローバル化が進んだ現代でも、決められた共通単位があるからこそ、商取引もスムーズにいくのだ。真珠や宝石、貴金属の重さの単位も例外ではない。正しく使ってこそ世界がひとつのマーケットになる。
結論
真珠の重さをはかる単位は、日本の尺貫法で使われていた「匁」が世界共通になっている。匁は一文銭の重さである3.75グラムで、昔は質量の単位や銀の通貨単位にも使われていた。真珠以外にも貴金属は、さまざまな単位で世界中で取引されている。単位という共通ルールがあるからこそ、安心して商取引ができるといってもいいだろう。