目次
1. 法要や法事で着用する喪服の種類

実は、喪服には種類があることはご存知だろうか。ここでは、3種類の喪服の種類を挙げ、それぞれ解説していく。
3種類の喪服
喪服は通夜や葬儀、年忌法要など執り行われる儀式によって、着用する服装の格式が異なる。また、自分が喪主側なのか、参列者側なのかによってもふさわしい服装は変わってくる。
格式は大きくわけて3種類。一般的には、故人が亡くなってすぐの葬儀では、濃い黒が望ましく、法要を重ねるごとにグレーなど段々と服の色が薄くなっていく傾向にある。葬儀をはじめ、法事や法要での喪服の服装マナーについて、把握しておこう。
【正喪服】
正喪服は喪服のなかで最上位の格式高い服装だ。着用するのは主に喪主や遺族であり、参列者は着用しない。男性の場合、洋装ではモーニングスーツを着用し、和装では黒地に5つの紋が入った羽織に、袴を着用する。
ただし、昨今では喪主であっても正喪服を着用せず、準喪服を着用するケースが増えている。
【準喪服】
正喪服に次いで格式の高い喪服が準喪服。準喪服は、多くの方がイメージする喪服のスタイルで、着用機会が最も多い喪服である。準喪服は一般弔問客をはじめ、昨今では喪主や遺族も着用する。男性はブラックスーツを選択しよう。
【略喪服】
略喪服は、平服(へいふく)とも呼ばれ、喪服のなかで最も格式の低い服装となる。平服には「普段着」という意味もあるが、法事や法要における平服は単なる普段着とは違い、紺色やグレーなどの華美ではない色の服装を指している。
2. 法要や法事における服装マナー

喪服の種類がわかったところで、葬儀から各法要、法事で気をつけるべき服装マナーにはどのようなものがあるのか、以下で説明していく。
シーン別の服装マナー
通夜や葬儀から始まり、忌日法要や年忌法要など弔事や法要には多くのシーンがある。法要や法事などにより服装マナーもさまざまだ。それぞれのシーンにふさわしい服装マナーを確認していこう。
【葬儀や通夜の服装マナー】
通夜や葬儀では準喪服の着用が一般的だ。男性はブラックスーツが基本。女性はブラックのフォーマルスーツが望ましい。喪主や遺族は正式には正喪服を着用するが、葬儀自体が簡略化の風潮にあるため、喪主や遺族も準喪服が主流となっている。
また、通夜に関しては略喪服でも問題ない。これは「訃報を聞き急いで駆けつけた」という気持ちの表れにもなるからだ。ただし、葬儀には参列できず、通夜のみの参列になる場合は、準喪服を着て故人や遺族に弔意を表すほうがよいだろう。
【初七日の服装マナー】
初七日は故人の没日を含め7日目にあたる日に行われる忌日法要だ。昨今では参列者が再々集う負担を考慮し、葬儀と同時に初七日を行うケースが増えている。したがって、初七日では葬儀と同様に準喪服の着用が適切だ。
【四十九日の服装マナー】
各家庭により異なるが、四十九日法要は遺族や親しい人が集い読経を挙げてもらい、その後に会食を行う場合が多い。四十九日法要の服装マナーは、喪主は正喪服か準喪服を着用し、参列者は準喪服の着用となる。
【百箇日の服装マナー】
百箇日法要は四十九日忌法要から程なくして訪れるため、昨今では省略するケースが多い。百箇日法要が営まれる場合には、準喪服の着用が無難だが、ごく内輪で執り行われる場合には略喪服でもよいだろう。
【一周忌の服装マナー】
故人が亡くなって1年後に行う一周忌法要の服装マナーは、準喪服での参列が基本。遺族をはじめ、親しい知人や友人が参列することもある。
【三回忌の服装マナー】
三回忌でも準喪服の着用が無難だ。親族以外は略喪服で参列しても構わないが、各家庭や地域によっても異なるため確認するとよいだろう。
【七回忌以降の服装マナー】
七回忌法要になると、当初ほど厳格な服装マナーではなくなる。参列者はもちろん、喪主や親族も略喪服の着用が主流だ。ただし、喪主側では準喪服を着る方も。参列者の立場なら、喪主よりも格上にならないように注意しよう。
3. 男女別に見る法要の服装マナー

もちろん喪服は男性と女性でスタイルが異なるが、法要の場面ではどちらも共通して「華美にならない服装」を心がけることが大切だ。法要の場に適した服装マナーとして、準喪服を例に男女別の着こなし方をお伝えしていこう。
男性の喪服の着こなし方
男性の場合、ブラックスーツを選択しよう。ブラックスーツだからといって、黒いビジネススーツの着用は御法度だ。光沢素材でないブラックフォーマルを用意しよう。上着はシングルとダブルのどちらでもよいが、パンツの裾に関してはシングルを選ぼう。
ワイシャツは白無地で、襟はレギュラーカラーが基本。白以外の色や、柄入りのシャツは避けよう。ボタンダウンもカジュアルな印象になるのでふさわしくない。
ネクタイは黒無地かつ光沢のないタイプを選ぶ。弔事や法要の場面では結び目にディンプルというくぼみを作らないのがマナーだ。
そのほか、ベルトは黒無地で大きなバックルなどのないシンプルなものを。靴は黒の革靴で、内羽根のストレートチップがよい。靴下も黒無地がベストだ。
女性の喪服の着こなし方
女性はジャケットとワンピースのアンサンブルがおすすめだ。露出を控えたデザインを意識し、袖丈は長袖から5分丈まで、スカートの丈は膝とふくらはぎの間がよい。
アクセサリーはパールが基本で、一連のタイプを選ぶ。二連以上のものは「不幸が重なる」ことを連想するため避けるようにしよう。バッグの色は黒で、光沢や派手な飾りのないものがふさわしい。荷物が多い場合は黒のサブバッグを用意しよう。
ストッキングは黒の薄手を着用するのがマナー。パンプスもシンプルなもので、エナメルなど光沢のある素材は避け、革か布素材が好ましい。つま先が見えるもの、高いヒールのものも履かないように注意しよう。
4. 法要や法事における子どもの服装マナー

子どもが法要や法事に参列する場合、服装に悩む方も多いだろう。法要や法事での子どもの服装マナーについて、年代ごとに見ていこう。
学生の場合
中学生や高校生の場合、遺族と参列側ともに学生服の着用が基本だ。靴や靴下は黒に限らず、紺や白でもよい。スニーカーを履いても構わない。
諸事情により、学生服が着用できない場合は、男子なら黒または紺かグレーの上下に、白いシャツを合わせる。女子も同じく黒または紺かグレーのジャケットにスカートを合わせるか、ワンピースでもよいだろう。ブラウスは白を選択しよう。
小学生も、学校の制服があれば着用する。制服が着られない事情がある場合や、もともと制服がない場合も、中高生の服装マナーを参考に同様にすればよい。
幼児の場合
制服がある幼稚園児の場合は、園の制服を着るとよい。制服がない場合や、未就園児の場合は白の服装でも構わない。準備できればグレーなどモノトーン系の服を着用しよう。
キャラクター柄や華美な飾りは避けるのがマナーだ。
結論
法要や法事などの服装マナーは、行事の内容により異なる。基本的には、葬儀から年数が経つにつれ服装は簡略化していく。また、喪主や遺族側なのか、参列者側なのかにより服装マナーは変わる。喪主側が格上となるため、喪主や遺族は参列者に失礼のない格式高い服装を意識しよう。逆に、参列者側は喪主側より格上にならない喪服選びをする必要がある。故人を偲び、弔意を表す気持ちのもと、服装のマナーを意識していこう。