目次
1. メンソレータムとメンタームの違いとは?

実際にメンソレータムとメンタームにはどのような違いがあるのだろうか。まずは、それぞれの製造会社と塗り薬に含まれるワセリンに着目してみていこう。
製造会社
製造会社の違いという点では、メンソレータムがロート製薬、メンタームが近江兄弟社で製造販売している、ということだ。話を1920年にまで遡って説明しよう。
当時、滋賀県で実業家として活躍していたヴォーリズという人物がいた。彼は、メンソレータムを日本で販売する権利を獲得すると同時に近江兄弟社を設立し、メンソレータムの輸入販売を開始した。その後は、メンソレータムを製造する権利も得て、製造販売を行うようになるが、1974年に経営が破綻し会社更生法を申請することになった。事実上倒産となったことで、メンソレータムの製造販売権はアメリカのメンソレータム社へ返還されてしまう。その後ロート製薬がメンソレータム社から日本での製造販売権を獲得し、再びメンソレータムの製造販売が行われる。
一方、近江兄弟社でも生き残りをかけてメンソレータムの製造販売で培った技術を生かし、メンタームを開発した。パッケージをメンソレータムと同じデザイナーに依頼した結果、皮肉にもデザインが酷似する商品となったのだ。
ワセリンの種類
メンソレータムとメンタームの成分のほとんどはワセリンが使われている。違いは、メンソレータムが黄色ワセリンのみが使われているのに対し、メンタームは黄色ワセリンと白ワセリンを混ぜたものを使用しているという点だ。黄色ワセリンと白ワセリンは精製純度が異なり、黄色ワセリンより白ワセリンは純度が高いため不純物が少なくなっている。このわずかな違いで、もしかすると使い心地や保湿効果に差を感じるかもしれない。
2. メンソレータムとメンタームの効果の違い

名前も見た目も似ているメンソレータムとメンタームに、効果の違いは存在するのだろうか。それぞれの軟膏の効果や効能について詳しくみていこう。
メンソレータムの効果
メンソレータム軟膏cは、ひびやあかぎれ、しもやけなどに効果を発揮するとされている。軟膏を塗ることで外からの刺激を和らげ、血液の巡りをよくしながら改善するというものだ。
メンタームの効果
一方、近江兄弟社メンタームはすり傷ややけどなどの外傷に加えて、手荒れや虫刺されにも効果があるとしている。鎮痛作用や清涼感による刺激作用があるため、傷による痛みや虫刺されによるかゆみを和らげる効果が期待できる。とくに男性には、カミソリ負けによる小さな切り傷にも効果的な点がおすすめだ。
3. メンソレータムとメンタームの主な成分

メンソレータムとメンタームの主な成分について掘り下げていこう。
主な成分はほぼ同じ
メンソレータムとメンタームの主な有効成分は、「dl-カンフル」「l-メントール」「ユーカリ油」の3つだ。両者とも3つの成分を柱とし、独自の割合で添加物を配合して製造している。3つの成分の働きについて解説していこう。
【dl-カンフル】
dl-カンフルのカンフルとは楠(クスノキ)から取れる成分で、日本では「樟脳(しょうのう)」とも呼ばれる。天然の防虫剤ともいわれており、独特な香りが特徴だ。dl-カンフルは鎮痛作用や局所血行促進作用などを持っている。
【l-メントール】
l-メントールは薄荷(はっか)やミントに多く含まれるスーッと鼻を通る、香りの成分だ。皮膚刺激によってかゆみを抑える作用や局所血管拡張作用がある。
【ユーカリ油】
ユーカリ油はアロマでも認知度の高いオイルだ。ユーカリの葉から抽出された精油成分で、消炎、鎮痛、解熱、殺菌作用を持っている。
結論
メンソレータムとメンタームは、製造会社や中に使われているワセリンの種類に違いがあることがわかった。効果や効能、それぞれに含まれる主な成分はほとんど似ているため、使い心地や好みのパッケージデザインなどで購入してもいいだろう。今度塗り薬が必要なときは、両社の違いを思い出しながら買い物を楽しんでほしい。