目次
1. お箸の間違った捨て方をすると災いが起こる?

昔は、お箸を間違った捨て方で処分すると、災いが起こると考えられていた。なぜ災いが起こるといわれているのか、詳しい理由を解説しよう。
災いを防止するために折って捨てていた
使用したお箸には人の霊が宿るとされている。昔は、山に入ったとき枝をお箸の代わりとして使用しており、そのまま山に捨てる習慣があった。しかし、霊が宿る箸をそのまま捨てると、獣が持ち帰って遊んでしまう。
その災いが自分に降りかかるのを防ぐために、折ってから捨てたとされている。お箸を折ることで、霊を自分の元に帰らせるという考え方だ。そのため現在でも、割り箸を折ってから捨てる風習が残っている。
2. 祝い箸の正しい捨て方とは?

祝い箸とは、お正月や結婚式などの晴れの日に使用するお箸だ。一般的に縁起がよいとされる柳を使用しており、中央が太く両端が細い形状になっている。祝い箸は縁起物なので、間違った捨て方で処分するのはNGだ。
祝い箸の処分方法
お正月に使用した祝い箸は、1月15日の「左義長(さぎちょう)」で正月飾りと一緒にお焚き上げをしよう。「どんど焼き」や「どんと祭」とも呼ばれる火祭りで、氏神神社などで行われる。
地域によって開かれる日にちが違うことがあるため、事前に確認しておこう。なお、ごみに混ぜて処分するのは、祝い箸が縁起物であることを考えると、間違った捨て方といえる。お焚き上げができない場合は塩やお酒でお清めして、新聞紙や白い布に包んでから家庭ごみとして出そう。
3. 知っておきたいお箸に関するマナー

お箸の基本的なマナーをまとめた。風習に則していない、間違った捨て方とあわせて、チェックしておこう。
お箸の正しい使い方
お箸は箸先から2/3の部分を持つ。上の箸を鉛筆のように持ち、下の箸は中指と薬指の間に通して固定しよう。中指と人さし指、親指で上の箸を動かして食べ物をつまむ(※1)。
先から1.3~3cmを使い、汚さないように食べるのがマナーの基本だ。持つときはまず右手で箸を取り、左手で下から受ける。右手を下から返して正しい持ち方で持てばOKだ。
マナー違反となるお箸の使い方
【拾い箸】
お箸とお箸で料理の受け渡しをする。葬儀のお骨拾いを連想させるのでNGだ。
【寄せ箸】
箸を使って食器を引き寄せることを寄せ箸という。
【渡し箸】
食事の途中でお箸を食器に渡すように置く、渡し箸は避ける。箸置きを使用し、ないときは箸袋を折りたたんで代用してほしい。
【持ち箸】
箸を持ったまま食器を持つことだ。マナー違反になるので、お箸を箸置きに置いてから食器を持とう。
【刺し箸】
お箸を料理に突き刺す刺し箸はマナー違反になる。大きい料理は一口大に切り分けて、挟んで食べるとよい。
【かき箸】
食器に直接口をつけてお箸でかきこむのは、下品な印象を与えるのでNGだ。
【移り箸】
一度お箸をつけたあと、取らずに他の料理に移るのはマナー違反とされる。
【重ね箸】
同じ料理ばかり食べ続けることを重ね箸という。バランスよくさまざまな料理を食べるのがポイントだ。
【ねぶり箸】
箸の先をなめたり口でくわえたりするのはNG。口でご飯粒などをもぎとる「もぎ箸」もマナー違反になるので、注意してほしい。
【迷い箸】
どの料理を食べようか迷い、上で箸をあちこち動かすことを迷い箸という。
結論
使用したお箸には人の霊が宿るという考え方がある。山に捨てると災いが自分に降りかかるとされており、折ってから捨てていたわけだ。現在はお箸を山に捨てることはないため、あまり気にする必要はないだろう。一方で祝い箸は縁起物なので、間違った捨て方をしないように注意が必要だ。お箸の基礎知識として、正しいマナーもあわせてチェックしてほしい。
(参考文献)
※1:農林水産省「きれいな「箸」の持ち方とマナー」