1. 火花が散ったら要注意!

全国消費生活ネットワークシステム(PIO-NET)には2011~2015年の間に毎年50~70件のドライヤーに関する危害・危険に関する相談が寄せられていた。そのうち約8~9割が、ドライヤーからの発煙・発火・火花に関するものであった。ここではドライヤーの使用中に火花等が発生する主な箇所と原因について解説する。
電源コードの断線による火花
PIO-NETに寄せられたドライヤーの発煙・発火・火花に関する問い合わせの中から事象が発生する箇所をまとめてみると、「コード部分」が52%、「本体」が27%、「不明」が21%であった。このことから主な発生箇所は「コード部分」であることがわかる。
ドライヤーの取扱説明書には『断線の可能性があるため、コードを本体に巻き付けないように』との注意書きが記載されている。しかし独立行政法人国民生活センターが調査した結果、取扱説明書のコードの注意書きを知らなかった人の割合は61%、また、実際にドライヤー本体の周りにコードを巻き付けている人の割合は約33%であった。
このことからユーザーがコード部分を不適切に取り扱ったためコードが断線し、故障の原因となった可能性も指摘できる。
ドライヤーの取扱説明書には『断線の可能性があるため、コードを本体に巻き付けないように』との注意書きが記載されている。しかし独立行政法人国民生活センターが調査した結果、取扱説明書のコードの注意書きを知らなかった人の割合は61%、また、実際にドライヤー本体の周りにコードを巻き付けている人の割合は約33%であった。
このことからユーザーがコード部分を不適切に取り扱ったためコードが断線し、故障の原因となった可能性も指摘できる。
電源コード以外での火花の原因
電源コードの断線以外にも、火花が発生する原因として下記のようなケースがある。
- マイナスイオンを発生させるドライヤーの、イオンを発生させる電極が異常放電していたケース
- 温風で使用中、ドライヤーの保護装置であるサーモスイッチが作動し、内部に火花が見えるケース
電源コード以外の箇所で火花が確認された際は、まずドライヤーの使用を中止し、製造元のメーカーへ相談するとよいだろう。
2. 焦げ臭い原因は『ほこり』の可能性あり!

ドライヤー内部はほこりが溜まりやすい構造となっている。ここでは、ほこりとドライヤーの寿命の関係について解説する。
ドライヤーの構造とほこりによる故障
ドライヤーはモーターによってファンを回転させ、吸い込み口から空気を取り入れヒーターを通して吹き出し、口から温風もしくは冷風を吹き出す構造となっている。空気を取り入れる構造から、ドライヤー内部にほこりが侵入しやすくなっているため、吸い込み口にはほこりが侵入しないよう網状のカバーをつけている製品が多い。
吸い込み口のほこりによる故障
吸い込み口のカバーにほこりが溜まったままになると、空気の循環が悪くなりモーターに負荷がかかってしまう。モーターへの負荷はドライヤーの故障の原因となりえる。さらに、一時的に強い負荷がモーターにかかるとドライヤー内部が高温になり、こちらも故障の原因となりえる。
本体内部のほこりによる故障
吸い込み口のカバーを掃除していても、細かなほこりはカバーをすり抜けドライヤー本体内部に少しずつ溜まっていく。溜まったほこりがヒーター部分で熱せられると焦げ臭いが発生し、本体内部の異常を検知してモーターが停止するので、ドライヤーが使用できなくなる。
3. ドライヤーの寿命を延ばすコツ『こまめな掃除』『保管場所』『扱い方』

ドライヤーは2年程度で故障してしまう場合もあるが、10年以上使用できる場合もある。この差は使用頻度によるところもあるが、こまめに掃除をして取り扱い方法や置き場所に気を配ることでドライヤーの寿命を延ばすことも可能だ。ここではドライヤーの寿命を延ばすコツについて解説する。
ドライヤーについたほこりはこまめに掃除する
吸い込み口にべったりと付いたほこりは部品に負荷をかけるため、部品劣化の原因となる。取扱説明書に吹き出し口方向からの掃除の手順が記載されている場合があるので、取扱説明書を確認し掃除可能な箇所はこまめに掃除することを心がけよう。
ドライヤーはほこりの少ない場所に置く
ドライヤーを脱衣所にある洗面台で使用する家庭も多いだろうが、脱衣所はタオルや着替えなどがあり、非常にほこりの出やすい環境である。ドライヤーにとってほこりは大敵であるため、使用していない時は棚の中にしまうなどしてほこりがかからないよう工夫しよう。ほこりがドライヤーの内部に侵入する機会を減らすことが、結果的にドライヤーの寿命を延ばすことにつながる。
ドライヤーは湿気の少ない場所に置く
ドライヤーは電気機器であるため、湿気によって部品が劣化する。しかし、ドライヤーは洗面台や脱衣所など湿気の多い場所に置かれるケースが多く、部品の劣化を早めてしまいがちである。劣化を遅らせ寿命を延ばすために、ドライヤーはなるべく湿気の少ない場所に保管するとよい。
ドライヤーのコードは折り曲げず丁寧に扱う
ドライヤーを片付ける際、ついコードを本体に巻き付けて保管する。髪を乾かす際にドライヤーを頻繁に動かして、本体とコードのつなぎ目に負荷をかけてしまう。どちらもコードの断線を引き起こす可能性がある行為だ。ドライヤーのコードは極力折り曲げず、乾かす際もドライヤーを丁寧に扱うよう注意することで、コードの断線を防ぎドライヤーの寿命を延ばすことができる。
結論
ドライヤーはほぼ毎日使用する家電であるため、日々の使用の積み重ねによって劣化を早めたり、故障の原因を作ったりしてしまう。使用方法によっては発火や発煙などの危険を引き起こす可能性もある。しかしドライヤーの取り扱いに十分注意し、こまめなお手入れと丁寧な使用を続けることで、ドライヤーの寿命を延ばすことも可能と言える。