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除湿機を仕組みで選ぶべき理由とは?電気代や寿命を延ばすコツも解説

除湿機を仕組みで選ぶべき理由とは?電気代や寿命を延ばすコツも解説

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

鉛筆アイコン 2021年3月19日

除湿機の仕組みについて考えたことはあるだろうか?実は仕組みによって使用に適する季節や電気代などが変わってくる。本稿ではそうした除湿機の仕組みを詳しく解説するとともに、効果的に使うコツや電気代の目安、寿命を延ばすコツなどもお伝えする。

  

1. 除湿機とは?仕組みの前に基本をおさらい

仕組みについて解説する前に、まずは除湿機について簡単におさらいしておこう。

空気中の過剰な水分を除去する家電

「除湿」と名のつく通り、空気中の水分を取り除き快適な室内環境をもたらしてくれる家電だ。日本は多湿な気候であるうえ、近年の住宅は気密性が高く湿気が溜まりやすい。そんな背景もあり加湿器と並んで広く普及しているのが除湿機である。

除湿機の効果

湿度が高い状態が続くと不快感を覚える。梅雨の時期に誰もが経験することだろう。除湿機を使って室内の湿度をコントロールすることで、快適な住環境をキープできる。それだけではない。湿気は黒カビを発生させる原因にもなる。放置すれば壁紙や床が黒いシミのようになってしまうだけでなく、壁や床、天井などの建材にも悪影響をおよぼす。

商品によっては衣類乾燥機能が搭載されているものもある。部屋干しをしながら除湿機を使うことで、室内の湿度が高くなりすぎないようにコントロールしつつ、速乾を目指すことが可能となる。

除湿機の種類

除湿機の種類は仕組みで分けられる。現在の主流は「コンプレッサー式」と「デシカント式」そして両者の特徴を併せ持つ「ハイブリット式」だ。本稿ではこれ以降それらの仕組みを詳しく解説するとともに、効果的な使い方や気になる電気代の目安、寿命などについても解説する。

2. 除湿機の仕組み|コンプレッサー式

それでは、除湿機の仕組みについて解説する。まずはコンプレッサー式から見ていこう。

コンプレッサー式の除湿機の仕組み

コンプレッサー式の除湿機は基本的にエアコンと同じ構造である。エアコンの室内機と室外機が一体化したものとイメージすると分かりやすいだろう。水は、温度が高いと気化して空気中に多く含まれる。反対に温度が低くなると結露となる。

コンプレッサー式の除湿機はこの原理を応用したものだ。除湿機内に取り込んだ空気を冷やして結露させ、タンクに溜めていく。これにより空気中の過剰な水分が除去され、乾燥した空気が排出されるという仕組みである。

3. 除湿機の仕組み|デシカント式

続いて、デシカント式の除湿機の仕組みを見てみよう。

デシカント式の除湿機の仕組み

まず、除湿機内にある「ゼオライト(乾燥剤/除湿剤)」が空気中の水分を吸着する。次にヒーターで水分を含んだゼオライトを温めたのち、熱交換機を通る際に室温で冷やされ水滴となってタンクに溜まる、という仕組みだ。その結果、空気中の過剰な水分が取り除かれて乾燥した空気が排出される。

なお、ゼオライトはヒーターで乾燥させられることにより除湿機能が回復する。これが繰り返し行われているのがデシカント式の仕組みである。

4. 除湿機の仕組み|ハイブリッド式

コンプレッサー式とデシカント式、両方の仕組みを備えているのがハイブリッド式の除湿機である。

コンプレッサー式は除湿能力に優れ、比較的広めの室内でも使用できる。だが一方で除湿機内で冷却するという仕組みのため、気温が低い冬場などは性能をフルに発揮できない場合がある。一方ヒーターを用いるデシカント式は、室温を上昇させる。気温が高い夏場には不向きな仕組みの除湿機だ。

ハイブリッド式の除湿機であれば、温度も湿度も高くなる夏場はコンプレッサー式、湿度が高くなりがちな冬場はデシカント式といったように、環境に応じた駆動方式を選択できる。

5. 除湿機の仕組みを生かした効果的な使い方とは?

除湿機の基本的な使い方と、仕組み別に使い方のコツを見ていこう。

雨天時の室内の湿気対策

除湿機のごく基本的な使い方だ。雨の日はどうしても室内の湿度が上昇してしまうが、除湿機があれば快適な住環境を実現できるだろう。

冬季の窓の結露対策

暖房や加湿器を使うことの多い冬は、窓に結露が生じやすい。放置すれば黒カビの原因になったり、壁や床を傷めたりするおそれがある。除湿機を使って上手に湿気対策をしよう。

湿気が溜まりやすい場所のカビ対策

浴室や洗濯機置き場、洗面所といった湿度が上がりやすい場所に設置して、カビ対策を講じるといった使い方もある。

部屋干しの際の湿気対策

雨の日は部屋干しをするというご家庭も多いだろう。一気に室内の湿度が上昇するため注意が必要だ。梅雨の時期などはとくに、室内外の影響を受け湿度が急上昇しやすい。除湿機で上手に湿度をコントロールしよう。

花粉対策や防犯対策にも生かせる

部屋干しはなにも雨天時のみ行うものではない。花粉やPM2.5、黄砂といった大気中の有害物質が気になるときや、一人暮らしの女性など防犯対策として部屋干しをすることも多い。そんなときも、除湿機を使うことで部屋の湿気対策が手軽にできる。

コンプレッサー式の除湿機を使いこなすコツ

コンプレッサー式の除湿機は、デシカント式と違ってヒーターを使わない仕組みのため電気代が安い。じめじめした梅雨の季節や、毎日除湿したい場合に経済的である。だがコンプレッサーを内蔵しているため重さがあり、動作音も大きい。昼の時間帯や固定した場所で使用するのに向いている。

なお気温が低いと能力が低下するため、冬場の結露対策には不向きだ。また昼間ずっとつけたまま使用するのであれば、タンク容量にも注意したい。

デシカント式の除湿機を使いこなすコツ

デシカント式の除湿機はヒーターを使用する仕組みのため、衣類を乾燥させたいときにも役立つ。重量が軽く動作音も静かである。また夜間など、窓の結露対策にも役立つ。コンプレッサー式の除湿機と異なり圧縮機を使用していないため、電気系統の故障も少ない。

しかしヒーターを使用するため、電気代はコンプレッサー式よりかかると思っておこう。一定の時間内で集中的に乾燥させたい場合に適しているが、一日中じめじめしている空間を除湿するのには不向きだろう。

6. 除湿機は仕組みで電気代が変わる?

仕組みや寿命以外に、除湿機で気になることといえば電気代ではないだろうか。仕組みによって違いがあるのか見てみよう。

電気代の計算方法

電気代は【消費電力(W)×使用時間(h)÷1000×1キロワットあたりの電気料金単価(円/kWh)】で求めることができる。ここでは単価を27円として計算する。

除湿機の電気代は仕組みで変わる?

メーカーや機種などによって異なるため単純比較はできないが、一般的にはコンプレッサー式よりもデシカント式のほうが電気代がやや高めの傾向にある。消費電力が大きいためだ。

コンプレッサー式の除湿機の電気代の目安

除湿能力「8L/日」消費電力「162W」の除湿機を1日6時間使用した場合の1カ月(30日とする)の電気代は【162W×6h×30日÷1000×27円/kWh=787.32円】である。

デシカント式の除湿機の電気代の目安

除湿能力「8L/日」消費電力「690W」の除湿機を同じ条件で使用した場合の電気代は【690W×6h×30日÷1000×27円/kWh=3353.4円】となる。

メーカーや機種によって異なるうえ上記はあくまで目安だが、このように除湿機は仕組みによって電気代が変わってくる。

7. 除湿機は仕組みで寿命が変わる?

続いて除湿機の寿命について見てみよう。「仕組みによって明らかに寿命が変わる」ということはないかもしれないが、仕組みに関わらず次のような症状が出たら、まずは運転を停止してコンセントを抜こう。取扱説明書を確認して解消できないときは、メーカーに問い合わせるなどしてほしい。

除湿機の寿命が近いときに見られる症状

  • 異音がする
  • 除湿能力が低下し水が溜まりにくくなる
  • エラー表示が頻繁に出る
  • ヒューズ・ブレーカーが頻繁に落ちる
  • 電源ボタンを押しても運転しない
  • 焦げ臭いにおいがする
  • 電源プラグ・電源コードが異常に熱くなる など
コンプレッサー式、デシカント式、ハイブリッド式などの仕組みに関係なく、こうした症状が現れたときは寿命が近づいているかもしれない。

補修用性能部品の保有期限も知っておこう

家電製品には「補修用性能部品の保有期限」が定められているものがある。除湿機の場合、それを6年もしくは8年としているメーカーが多い。つまり製造打ち切り後6~8年までは部品交換が可能ということだ。

逆に除湿機そのものはバリバリ元気でも、パーツの保有期間が終了したことによって修理ができず、実質的な寿命を迎えてしまうことがある。保有期限に関してはメーカーや商品によって違いがあるため確認しておくと安心だ。

8. 除湿機の仕組み別に寿命を延ばすコツを伝授

続いて、除湿機の仕組み別に寿命を延ばすための使い方のコツを解説する。

コンプレッサー式の除湿機の寿命を延ばすコツ

内部で空気を冷やす仕組みのコンプレッサー式の除湿機は、25℃を超えるとデシカント式よりも多く除湿するという結果もあるようだ。そんなコンプレッサー式の除湿機は、内部のコンプレッサーの故障が寿命の原因となりやすい。狭い場所での使用や、吸気口カバーまたフィルターにホコリが溜まると電気系統のショートが起こりやすくなるので気をつけよう。

寿命を延ばすには空気の循環が重要だ。スペースの確保や、吸気口カバーおよびフィルターの掃除をこまめにすることで少しでも寿命を延ばそう。

デシカント式の除湿機の寿命を延ばすコツ

ヒーターを使う仕組みのデシカント式除湿機は内部にゼオライト(乾燥剤/除湿剤)を使用しているのだが、その乾燥剤に寿命がある。水分の吸着量が減ってきたら、故障ではなく乾燥剤が劣化していることを疑おう。直ちに廃棄するのではなく、まずはメーカーへ相談するとよいだろう。

定期的に点検に出すのもおすすめ

除湿機はシーズンごと、あるいは数年に1回など定期的に点検を推奨しているメーカーもある。とくに気になる症状がなかったとしても、点検に出しておけば劣化しそうなパーツの早期交換につながるなど、寿命を延ばせる可能性が高くなる。

9. 除湿機の仕組みと上手な選び方

除湿機は仕組みによって適した季節や電気代が変わる。選ぶ際のポイントをまとめたので、ぜひ参考にしてほしい。

コンプレッサー式のメリット・デメリット

除湿力が強く、デシカント式よりも電気代を抑えられる。また室温の上昇は避けられないが、こちらもデシカント式よりはおだやかだ。とくに室温が高い時期の除湿力に優れている。一方、本体サイズが大きめで重量がある点、動作音(振動音)が気になることがある点、室温が低いときに能力が低下する点などはデメリットだろう。

デシカント式のメリット・デメリット

コンパクトかつ軽量な機種が多く、除湿能力が室温に影響を受けにくい点、コンプレッサー式と比べて運転音が静かな点などはメリットだろう。一方、ヒーターを使う仕組みによりコンプレッサー式よりも電気代がかかる点や、室温の上昇幅が大きくなる点などはデメリットになってくる。

選び方1:適用畳数

発生する湿度の量を把握することは困難だ。したがって、まずは適用畳数から絞り込むとよいだろう。

選び方2:除湿能力

気密性の高い鉄筋コンクリート造の場合、たとえば10畳であれば5.0L/日程度はほしい。一方、木造は気密性が低いため湿度の影響を受けやすい。同じ10畳であれば10.0L/日を目安にするとよいだろう。

選び方3:電気代

上述のように、電気代重視であればコンプレッサー式がおすすめだ。

選び方4:使用する季節

主に梅雨や夏場に使うのであればコンプレッサー式、冬場あるいは年間通して使うのであればデシカント式もしくはハイブリッド式がよい。

選び方5:付帯機能

衣類乾燥機能や冷風機能、空気清浄機能や自動停止機能など、メーカーや機種によって搭載されている機能が異なる。自分がほしい機能を搭載している除湿機を選ぶことが大切だ。

迷ったら通年使用できるハイブリッド式を選ぶ手もある

コンプレッサー式とデシカント式、両方の仕組みを備えたハイブリッド式の除湿機であれば、季節を問わず使いやすい。ただし多機能である分本体サイズが大きく重量もあるものが多い。また価格も高めの傾向にあるので覚えておこう。

10. 除湿機と相反する「加湿器」の仕組みも知っておこう

せっかくなので、除湿機とは真逆の働きをする加湿器の仕組みについても、最後に簡単に触れておこう。

加湿器の種類と仕組み

冬場の乾燥対策に重宝する加湿器は、除湿機と異なり空気を潤すための家電である。

従来、水を振動させて「微細な霧」に変えるという仕組みのハイブリッド式が人気であった。いわゆる、霧吹き噴霧するようなイメージだ。だが、水を煮沸しないことから雑菌が放出されるのではないかという心配が生まれるなどし、近年ではスチーム式といった仕組みを持つ加湿器の人気が復活している。

スチーム式はヒーターで水を沸騰させる。ちょうど、やかんなどでお湯を沸かすイメージに近い。煮沸されるため水に含まれる雑菌も死滅させられる。もうひとつ、気化式の加湿器もある。こちらは、加湿フィルターが吸収した水分に風を当て、気化(蒸発)させて放出するイメージだ。

除湿機と加湿器を上手に使い分けよう

快適な住環境を生み出し維持するためには、温度や湿度のバランスが大変重要である。除湿機だけでも叶わないし、加湿器だけでも叶わない。両方の仕組みや特徴を正しく理解し、うまく併用(使い分け)して快適な環境を作り上げよう。

結論

除湿機は部屋干しや梅雨時の湿気対策、カビ対策など用途が幅広い万能家電のひとつだ。仕組みによって特徴が異なるため、本稿を参考にぜひご家庭にピッタリの1台を選んでほしい。迷ったときは、やや価格は高いがコンプレッサー式とデシカント式、両方の仕組みが備わっているハイブリッド式を取り入れてみるのもおすすめだ。
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  • 公開日:

    2019年5月10日

  • 更新日:

    2021年3月19日

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