1. 洗濯機を設置する前の確認事項
洗濯機を設置するにあたり確認しておくべきことから解説しよう。
搬入は可能か
搬入経路の幅は洗濯機の寸法プラス10cmほどが必要とされている。エントランスやエレベーター、廊下などの幅を測っておこう。また外の非常階段などから搬入するケースが想定されるのであれば、階段に出入りするドアの幅や障害物の有無も確認しておくと安心だ。
スペースは十分か
ドラム式洗濯機や縦型全自動洗濯機、二層式洗濯機など種類もサイズもいろいろある。設置場所の形や広さもご家庭によりバラバラだ。初歩的なことだが、洗濯機が置けるかどうか確認しておこう。ドラム式の場合、扉が手前に開くため可動分のスペースも考慮しよう。
蛇口の形状は問題ないか
洗濯機置き場に取り付けてある蛇口は主に3種類ある。「万能ホーム水栓」「洗濯機用ワンタッチ水栓」「洗濯機用ストッパー付き水栓」だ。このうち万能ホーム水栓は、蛇口にニップルを付けてから給水ホースを取り付けるため、洗濯機とは別にニップルも購入しておこう。
防水パンはあるか
集合住宅に設置されていることが多い防水パンは、水漏れなどから床を守るためのものだ。なくても洗濯機は設置できるが、万が一漏水した場合フロアが水浸しになるだけでなく、下階に迷惑をかけるおそれがある。また振動を和らげる意味もあるため、少なくとも2階以上にお住まいであれば取り付けをおすすめする。
排水エルボはあるか
排水口に取り付けてあるL字型などのパーツが排水エルボだ。洗濯機から伸びる排水ホースを取り付けるもので、水漏れを防ぎスムーズに排水するためには欠かせない。賃貸住宅では、前の住人が間違えて持って出てしまうことがある。排水エルボがなければ管理会社などに連絡して手配してもらおう。自分で用意する場合はホームセンターや通販サイトでも購入可能だ。
排水口の位置はどうか
排水口が奥にあるなどした場合、排水ホースをうまくつなげらないおそれがある。かさ高のある防水パンを設置したり、かさ上げ台やレンガブロックなどを置いたりして対応しよう。
手伝ってくれる相手はいるか
小型なら自分1人で設置できるかもしれないが、大型のものやドラム式などとくに重量のある洗濯機は、1人では動かせなかったりバランスを崩して転倒したりするリスクがある。不安なときは無理に1人で作業せず、手伝ってくれる相手を見つけておこう。
2. 洗濯機を自分で設置する方法
洗濯機は、正しい方法で設置しないと水漏れや漏電につながるおそれがある。以下に洗濯機の設置方法を紹介するので参考にしてほしい。
1.排水ホースを取り付ける
最初に排水エルボを取り外しておくとやりやすい。次に、洗濯機と排水ホースをつなぎ所定の場所に設置する。続いて排水ホースと排水エルボを接続してから、最終的に排水エルボを排水口に取り付ける。接続が甘いと水漏れする場合があるので入念に確認しておこう。
2.アース線を取り付ける
電源プラグの部分にアース線(緑や黄色のカバーが付いた細い線)が付いている。水気のある場所で使用する家電は、漏電による感電を防ぐためアース線を取り付けて電気を逃すようにしているのだ。取り付け方は簡単で、コンセント側にあるアース端子のカバーをマイナスドライバーなどで開け、中のネジをゆるめてアース線の先端を差し込む。
あとは、ネジを締めてカバーを元に戻せば完了だ。軽く引いて抜けないことも確認しておこう。なお、コンセントへ電源プラグを差し込むのはアース線を取り付けたあとにしよう。今、この段階ではまだ電気を通す必要がないので、電源プラグは抜いたままでOKだ。
あとは、ネジを締めてカバーを元に戻せば完了だ。軽く引いて抜けないことも確認しておこう。なお、コンセントへ電源プラグを差し込むのはアース線を取り付けたあとにしよう。今、この段階ではまだ電気を通す必要がないので、電源プラグは抜いたままでOKだ。
3.給水ホースを取り付ける
給水ホース先端のロックレバーを下にスライドさせ、カチッと音がするまで蛇口に差し込む。軽く引いても外れないことを確認しよう。次に、洗濯機の給水口に給水ホースを差し込んで締めれば完了だ。給水ホースの長さに余裕がなければ、延長用のホースを付けるなどしよう。
4.試運転する
最後に電源プラグを差し込み、問題なく動くかどうか、水漏れしないかなど試しに洗濯をして確認しよう。ここまでが洗濯機を自分で設置する際の一般的な手順だ。ただし、防水パンや排水エルボの有無、ホースの種類や洗濯機置き場の形状などご家庭により異なるため、若干変わる可能性もある。洗濯機の取扱説明書を確認し、手順の指定や注意点があればそちらに従ってほしい。
3. 設置してある洗濯機の取り外し方
洗濯機を買い替える場合などは、古い洗濯機を取り外す作業も必要になる。セットで覚えておくとよいだろう。
古い洗濯機を取り外す手順
- 水抜きをする
- 電源プラグをコンセントから抜く
- 給水ホースを取り外す
- アース線を取り外す
- 排水エルボから排水ホースを取り外す
設置してある洗濯機を取り外す手順は、おおまかにこの4ステップで完了する。なお「5」で排水ホースを取り外すのは、排水エルボからである。洗濯機側はそのままつなげておき、先端を布で覆うなどして養生テープで洗濯機の側面に固定しよう。「1」の水抜きはやや手間がかかるので、別途解説する。
洗濯機の水抜きのやり方
- 洗濯槽の中を空っぽにする
- 給水用の蛇口をしっかり閉め、洗濯機の電源を入れる
- ふたを閉めて標準コースで運転する
- 10〜15秒ほどしたら停止させて電源を切る
- 蛇口から給水ホースを外す
- 再度電源を入れ、いちばん短い時間で脱水する
- ふたを開けて洗濯槽内の水気をバスタオルなどで拭き取る
- 排水エルボから排水ホースを取り外す
- 洗濯機を少し傾けてホース内に残っている水を抜く
給水ホースと排水ホース、それぞれの水抜きのやり方をまとめて説明させていただいた。ホースを外した際は水が垂れるため、バスタオルやバケツを用意しておこう。なお手順はお使いの洗濯機によって異なる場合があるため、やはり事前に取扱説明書をチェックしておこう。
4. 洗濯機の設置を業者に任せた場合の費用
意外と簡単に設置できる洗濯機だが、正しく設置できていないと水漏れや漏電などの心配がある。また洗濯機は重量もサイズもあり、とくにドラム式となると1人で動かすのは困難だ。不安なときは無理をせず業者にお願いしよう。
費用の目安
業者や洗濯機、設置の難易度などにより変わるが、相場としては縦型全自動洗濯機で3,000円前後、ドラム式洗濯機で7,000〜9,000円程度が目安になる。
業者にお願いするメリット・デメリット
費用がかかる点はデメリットだが、メリットはそれを上回る。まず、正しく洗濯機を設置してもらえるため安心して使える。また水漏れが発生したとき、その場で原因を突き止め調整してもらえる。1人で設置して水漏れが起こったとき、すぐに原因が分かればよいが、そうでなければ業者を呼ぶなど時間がかかってしまう。少しでも不安があるなら業者にお願いするとよいだろう。ただし即日対応が難しい場合もあるため、事前に確認しておくとより安心だ。
5. 設置してあった洗濯機の処分方法
設置済みの洗濯機を取り外した場合、その洗濯機を処分することになる。洗濯機は家電リサイクル法により適切な処分が必要な家電だ。キレイな洗濯機ならフリマアプリやリサイクルショップなどで売却できる可能性があるが、そうでないときは正しい手順で処分しよう。
家電リサイクル法とは
エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機などから使える部品や材料を取り出し、リサイクルすることでゴミの量を減らす、資源を有効活用するといったことを目的にした法律だ。洗濯機・衣類乾燥機は2,484円〜(2020年12月3日時点・税込)で、別途収集と運搬にかかる費用が必要になる(※1)。
洗濯機の処分方法
買い替えるのであれば販売店に引き取りを依頼しよう。これがもっともスムーズかつ確実な方法だ。そのほか自治体の「指定引取場所」に持ち込む方法もある。郵便局でリサイクル料金を支払ってから持ち込むのだが、洗濯機は重量がある。運搬手段が確保できる場合に限るだろう。近所に家電量販店や電気店などがあれば引き取りを依頼するか、不用品回収業者に回収してもらう方法もある。
違法業者にはくれぐれもご注意
洗濯機の処分はいずれも有料だが、とくに気をつけたいのは不用品回収業者だ。自治体から委託を受けている業者および「一般廃棄物運搬業許可」を受けていない業者は、ご家庭から排出される廃棄物を回収できない。「産業廃棄物運搬業許可」「古物商」などで回収するのは違法になるため、思わぬトラブルに巻き込まれるのを防ぐためにも気をつけよう。詳しくは環境省の資料を確認してほしい(※2)。
結論
洗濯機の設置は、手順さえ分かれば意外と簡単にできる。ただし洗濯機も洗濯機置き場もいろいろなタイプがあり、別途部品が必要となる場合もあるなど、設置方法もワンパターンとはいかない。不安があるときは無理せず業者に依頼しよう。
(参考文献)
- 1:家電4品目の「正しい処分」早わかり!|家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)|経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/kaden_recycle/fukyu_special/index.html - 2:環境省_廃棄物の処分に「無許可」の回収業者を利用しないでください!
https://www.env.go.jp/recycle/kaden/tv-recycle/qa.html