1. ワイシャツのインナーの必要性
そもそもワイシャツのインナーとは「必要」なものなのだろうか?
ヨーロッパではワイシャツが「下着」だった?
実は、ヨーロッパにおいてワイシャツは下着と考えられている。したがってインナーは着用せず素肌の上に直接ワイシャツを着る、というのが一般的だ。ところが日本ではインナーを着用する慣習がある。
日本ではインナーを着用するのがマナー
ヨーロッパと比べて高温多湿な気候の日本では、素肌の上に直接ワイシャツを着ると汗ジミが目立ったり、汗をかいたあとに体が冷えてしまったりすることがある。満員電車に乗り、強い日差しの下を歩けば、職場に着くころには汗でビッショリということも多い。ワイシャツが汗で体に貼りつき、肌や体毛が透けてしまうと他人に不快感を与えることもある。ビジネスシーンでは清潔感のある身だしなみが求められるため、日本でインナーを着用することはマナーとされているのだ。
2. ワイシャツのインナーがもたらす効果とは?
では、ワイシャツのインナーを着用することでどういった効果が期待できるのだろうか?
ワイシャツを快適に着られる
インナーを着用することでワイシャツが「汗で直接肌に貼りつく」ことを防げる。見た目によいだけでなく、インナーが汗を吸ってくれるためワイシャツは一日中サラサラ状態をキープできるだろう。
イヤなにおいを防げる
ワイシャツを素肌の上に直接着た場合、汗をかいて乾いたあとにイヤなにおいが残ってしまうことがある。脇のにおいなどもそうだ。インナーを着用してさえいれば、そうしたにおいを防ぐことができる。
汗ジミや黄ばみを防げる
背中や脇などにかいた汗がワイシャツに移ると「黄ばみ」となることがある。これは皮脂汚れが繊維に移ったことに加え、汗に微量に含まれる色素が残ってしまうためだ。通常の洗濯では落ちないことも多く、クリーニングなどに持ち込まなければならない。インナーを着用することでそうした汗ジミも防ぐことが可能だ。
清潔感のある印象を与えられる
ワイシャツを素肌の上に直接着ると、肌や体毛、乳首などが透けて見え他人が不快感を覚えるおそれがある。汗をかいたときなどはなおさらだ。インナーを着用することで相手には清潔感がある印象を与えられるだろう。ワイシャツもサラサラ状態をキープできるため、見た目に好印象を与えるという点では非常に効果が大きい。
3. ワイシャツのインナーで「透けない色」とは?
日本ではワイシャツにインナーを着用するのがマナーとお伝えした。だがインナーは何でもOKというわけではない。とくに色が透けて見えるのはだらしない印象を与えてしまうおそれがある。スーツをスマートに着こなすためには、透けないワイシャツのインナー選びにも気を配ろう。
白のインナーは透ける?
ワイシャツの白に合わせてインナーも白を選ぶ方が多い。たしかに「ワイシャツとインナー」だけを見れば目立ちにくいかもしれないが、実はあまりおすすめできない(絶対NGという意味ではない)。というのも、白のインナーは肌との色の差が大きいため、境目がくっきり目立ってしまいがちだからだ。ではどういった色が透けにくいのだろうか?
透けない色はベージュかライトグレー
透けないインナーを選ぶポイントのひとつは「肌に近い色」だ。肌の色に近く透けにくいベージュは、ワイシャツのインナーとして最適な色といわれている。とはいえ「ババシャツ」などの言葉があるように、いかにも肌着という印象のを与えることから抵抗がある方もいるだろう。そんな方におすすめなのがライトグレーのインナーだ。意外に思えるかもしれないが、白よりも肌との色の差が少ないので、インナーの境目が透けにくい。
シームレスタイプならラインも透けない
襟や袖口に縫い目のない「シームレスタイプ」のインナーをセレクトすると、インナーのラインなどディテール(細部)も透けにくくなる。一般的なインナーは生地の端を折り返して縫ってあるので、襟や袖口にどうしても若干の厚みが出てしまう。ところが「切りっぱなし」のシームレスタイプは全体がフラットなので、そうした厚みがない。スマートにワイシャツを着こなしたい方にはピッタリなインナーだ。
4. ワイシャツのインナーの選び方
インナーを選ぶポイントは「色」だけではない。そのほかにも着目したいポイントをまとめたので、ぜひワイシャツのインナー選びの参考にしてほしい。
サイズ
プライベートなどで着用するカジュアルなTシャツなどは、ゆったり目を選ぶだろう。オーバーサイズをわざと着るオシャレもあるほどだ。だがワイシャツのインナーは逆である。タイトにフィットするサイズのものを選ぶのが基本なので覚えておこう。
着丈
意外と気にする方が少ないのが着丈である。両手を上げたりかがんだりといった動きをした際、パンツからずり上がってしまうとワイシャツの腰部分もモコッとしてしまい、だらしない印象を与えてしまう。いちいち入れ直すのも面倒だろう。十分な着丈があるものを選ぼう。
ネックライン
「丸首」「Vネック」「Uネック」がある。いずれを選んでもワイシャツのインナーとして問題はないが、Vネックかやや深めのUネックのほうが季節を選ばずに着られるだろう。たとえばクールビズ期間中、ネクタイをせずワイシャツの第1ボタンを開けることが多い。そんなとき丸首のインナーが襟元から見えてしまうのはスマートな着こなしとはいえない。ノーネクタイには見えにくいVまたはUネック、ネクタイを締めるシーンでは丸首などと使い分けるのもおすすめだ。
袖の長さ
「半袖」「長袖」「袖なし」がある。半袖は季節に関係なく着ることができるので、迷ったら選ぶとよいだろう。冬場は長袖でも構わないが、袖口からはみ出さない長さを選ぶ必要がある。なおタンクトップやノースリーブのインナーは脇に汗ジミができやすい。ビジネスシーンには適さないと思っておこう。
5. ビジネスシーンのワイシャツには多機能性インナーもおすすめ
近年、さまざまな機能を持ったインナーが販売されている。体質や季節、シーンなどによって上手く使い分ければ、より快適にワイシャツを着用できるだろう。主な機能を紹介しよう。
吸汗速乾機能
人よりも多く汗をかくという方は、汗をしっかり吸収して素早く乾く「吸汗速乾機能」のあるインナーがおすすめだ。湿気を逃してくれるのでシャツが肌に貼りつきにくくいうえ、エアコンで体が冷えるのを防ぐ効果も期待できる。
抗菌防臭・消臭機能
脇のにおいや加齢臭が気になる方におすすめなのが「抗菌・防臭機能」や「消臭機能」のあるインナーだ。着ているときのにおいだけでなく、部屋干しのにおいも抑制する効果がある。
冷感機能
夏におすすめなのが、着るとひんやり感じる「接触冷感機能」のついたインナーだ。さらっとした肌触りで、真夏の不快感を軽減することができるだろう。
6. ワイシャツにおすすめのブランド&インナー3選
最後に、ワイシャツにおすすめのインナーブランドや商品を紹介しよう。着心地を重視して選んでみたので、ぜひ参考にしてほしい。
GUNZE(グンゼ)「SEEK」
設計から縫製にいたるまで、すべて日本で行われているインナーだ。シームレスで目立ちにくいのも特徴だ。夏用の半袖、冬用の長袖などがある。
Wacoal(ワコール)「BROS」
シームレスではないが、見た目のスタイリッシュさと着心地のよさを両立させたインナーだ。Vネックで半袖・長袖などがある。
UNIQLO(ユニクロ)「AIRism」
一年中着られるのがエアリズムだ。伸縮性に優れ、軽やかかつ快適な着心地などワイシャツのインナーとして人気が高い。
結論
高温多湿の日本において、ワイシャツのインナーは重要な役割を担っている。これまでなんとなく選んできてしまった方、白がベストと思い込んでいた方などは、ぜひこれを機にインナー選びの基準を見直してみてほしい。インナーの選び方次第では、ワイシャツをかなり快適に着こなすことができるようになるはずだ。