1. パントリーとは?
そもそもパントリーとはどういった意味があるのだろうか?まずは基本から押さえておこう。
パントリーの意味
キッチンに近接して設けられた食品や調理器具、食器を収納するスペースのことを、英語でパントリー(pantry)という。食品貯蔵庫としてだけではなく、机を設けて家計簿をつけたりアイロンをかけたりするプライベートルームとしてなど、使い方は自由である。
パントリーの種類
パントリーは大きく3種類ある。まずは英語で「歩いて入る」という意味があり、出入口がひとつしかない小部屋の収納庫「ウォークイン型」、次にキッチンの壁に設置する「壁面収納型」、もうひとつが英語で「通り抜けできる」という意味で出入口が2つある「ウォークスルー型」だ。
パントリーの歴史
中世ヨーロッパの貴族の館や城には食料品を保管する部屋が複数あった。肉を保管するのは「ラーダー」酒を保管するのは「バッタリー」、そしてパンを保管するのが「パントリー」というが、語源は古フランス語の「paneterie」である。その後、パントリーは城や大きな屋敷で銀器や陶磁器を保管する場所として執事が管理していたが、やがて中流家庭にも設置されるようになった。20世紀に入ると、各家庭で主婦が食品や食器を保管する部屋として利用するようになった。
2. ホテルや飲食店におけるパントリーとは?
お伝えしたように、パントリーは食品や食器などを収納するスペースのことをいうが、ホテルや飲食店ではやや意味合いが異なる。
ホテルや飲食店では「配膳室」のこと
ホテルや飲食店では、キッチンとホールの間にあって水を用意したり、料理を盛りつけたりする配膳室のことをパントリーと呼んでいる。店によっては食器を洗うスペースも含めたり、下ごしらえをするバックヤードをパントリーと呼んだりする。
またホテルや飲食店では、料理をホールに出す提供口(デシャップ:ディッシュアップの略語)もあるため、パントリーではなくデシャップと呼ぶ場合もある。そのほかホテルや飲食店のアルバイト募集などでは、盛り付け・食器洗い・配膳などをする仕事をパントリー業務という。
またホテルや飲食店では、料理をホールに出す提供口(デシャップ:ディッシュアップの略語)もあるため、パントリーではなくデシャップと呼ぶ場合もある。そのほかホテルや飲食店のアルバイト募集などでは、盛り付け・食器洗い・配膳などをする仕事をパントリー業務という。
3. Amazonパントリーとは?
ところで世界的なECサイトAmazonにもパントリーというサービスがあるが、こちらはどういうものなのだろうか?余談かもしれないがせっかくなので解説しよう。
Amazonパントリーは「おまとめボックス」
Amazonパントリーは、複数の商品を1箱にまとめて受け取れるサービスである。たとえば食品や飲料、ペット用品に掃除用品などを、その都度1つずつ購入するのは手間だし時間がかかる。個別に配送されてくることでゴミも増えるなど、あまりメリットはない。そんなときAmazonパントリーを利用すると、1箱、つまり1回ですべて受け取ることができる。日々忙しい方にとっては買い物の手間もゴミも減り、時間にゆとりが持てるといううれしいサービスだ。
Amazonパントリーの使い方
詳細ページなどに「パントリー」と書かれている商品が対象だ。「カートに入れる」を選べば自動的にパントリーに入る仕組みになっており「1Box | 1商品 | 使用率:5%」といったように、状況確認もひと目でできる。商品を入れ終えたらレジに進み、注文完了まで済ませればあとはパントリーに入れた商品がまとめて届く。パントリー対象商品はまとめることができないので気をつけよう。仕組みとしてはとくに難しいことはないので、1度使えば勝手が分かるはずだ。
Amazonパントリーの利用には手数料が必要
Amazonパントリーは1箱につき390円の手数料がかかる(2021年8月17日時点)。これは送料無料のプライム会員でも同様だ。ただし商品そのものの値段が30%OFFなどキャンペーンも多く実施されているため「高い」と感じるかどうかは人によるだろう。
4. パントリーのメリットとは?
話を戻そう。パントリーにはメリットもデメリットもあるため、増設や新設を検討している方はその両方を把握しておくことが大切だ。まずはメリットから見ていこう。
パントリーのメリット
パントリーのメリットは、なんといっても収納スペースが増える点だろう。ごちゃごちゃしがちなキッチン周りも、パントリーに小物を収納できればスッキリするはずだ。スペース次第だが、まとめ買いをしたアイテムのストック置き場や、災害時の備蓄の保管場所としても活用できる。オープンなので掃除がしやすい点などもメリットといえるだろう。
5. パントリーのデメリットとは?
一方で、パントリーのデメリットを理解しておくことも大切だ。
パントリーのデメリット
どうしても一定以上のスペースが必要になる点がデメリットになる場合がある。せっかくパントリーを設置しても、キッチン全体に圧迫感が生まれ使いにくくなってしまうケースなどだ。そうならないようにと、キッチンから少し離れた場所などに設置してしまうと今度は調理の際に作業台とパントリーを行き来する手間などがかかってしまう。メリット・デメリットを天秤にかけ、じっくり検討することが大切だ。
6. パントリーを新設または増設する際の注意点
これからパントリーを設置しようと考えている方に向けて、知っておきたい注意点を解説する。
パントリーを新設・増設する際に知っておきたい注意点
一度設置すると撤去が容易ではない。パントリーを新設・増設する際は十分にスペースがあるか、本当に必要かどうかをじっくり検討することが大切だ。あわせて、収納するアイテムが十分入るスペースを確保できるかも重要になる。入り切らなければ結局キッチン周りがごちゃごちゃになり後悔しかねない。
また動線の邪魔にならないかをイメージしておくことも忘れないようにしよう。そのほか、ウォークイン型のパントリーを考えているのであれば、換気扇を設置するなどして通気性を確保しておくことも重要だ。
また動線の邪魔にならないかをイメージしておくことも忘れないようにしよう。そのほか、ウォークイン型のパントリーを考えているのであれば、換気扇を設置するなどして通気性を確保しておくことも重要だ。
7. オープン型?クローズ型?パントリーの選び方
パントリーには大きくオープン型とクローズ型がある。それぞれメリット・デメリットがあるのでお伝えしよう。選ぶ際の参考になれば幸いだ。
オープン型パントリー
扉などの仕切りがないタイプで、モノを出し入れしやすいなど使い勝手がよい。どこに何がどれくらい保管してあるかなどもすぐに分かるし、出し入れのたびに扉を開け閉めするといった手間もかからない。ただしいわゆる「丸見え」状態のため生活感が出すぎたり、整理整頓が苦手な方はごちゃごちゃ感が出てしまったりするかもしれない。
クローズ型パントリー
扉で仕切るタイプで、オープン型のデメリットであった生活感を排除したり、キッチン周りをスッキリ見せたりできる。雑多な感じが苦手な方はクローズ型が合うかもしれない。ただし出し入れのたびに扉を開け閉めする手間がかかるほか、扉を取り付ける費用がかかる。
8. パントリーを使いやすくする収納のコツ
パントリーはちょっとしたコツで使いやすくなる。間取りや理想のパントリーは各ご家庭によるため一概にはいえないが、次のようなポイントは知っておくと役に立つかもしれない。
パントリーを使いやすくするアイデア
- ボックスなどを使ってアイテムを分け、ラベリングしておくと見やすい
- 角に回転式の棚を取り付けるとより効果的にスペースが使える
- 棚板は可動式のものを取り付けると汎用性が高くなる
- カウンターを設けると作業の際やパントリーの整理の際に役立つ
- ドアを取り付けるなら引き戸が便利 など
一例だが、こうしたコツを知っているとパントリーがより使いやすいものになるはずだ。十分なスペースが確保できないときは、引き出し式のパントリーにしてしまう方法もあるので覚えておこう。
パントリーにあると便利な収納アイテム
- ファイルボックスなどの書類ケース
- 持ち手付きの収納ケース
- キャスター付きのワゴン
- キャスター付きの平面台車
- ラベリング用のシール など
何を収納するかにもよるが、スリムなファイルボックスや書類ケースなどはちょっとしたデッドスペースを有効活用するのにうってつけだ。また上の棚などにストックする際は、持ち手が付いている収納ケースを用いると引き出しやすい。そのほか、奥まったものを取り出す際などに便利なのがキャスター付きのワゴン、重いものの出し入れに便利なのがキャスター付きの平面台車などだろう。何が入っているかひと目で分かるラベリング用のシールもぜひ用意しておこう。
9. 使いやすいパントリーの間取りとは?
パントリーは、キッチンの動線が切れないような間取りを選んで設置すると、動きに無駄がなくなり使いやすい。
ウォークイン型のパントリーの場合
キッチンの横に作ると、キッチンからパントリーへ一直線に動くことができる。スペースに余裕がある場合はウォークスルー型の間取りにして、勝手口とつなげるなどすればより利便性が向上する。ゴミ出しや買い物の際など、勝手口まで一直線なので効率的でもある。
壁面収納型のパントリーの場合
キッチンの横もしくは背面に設置することが多い。キッチンが広い場合、背面に設置すると動線が長くなりすぎて動きに無駄がでることもある。キッチンの広さや形状、動線をよくイメージしたうえで動きやすい間取りにしよう。
10. パントリーのリフォーム費用の相場とは?
いまお住まいのご家庭にパントリーを増設するとしたら、費用はどれくらいかかるのだろうか?扉の有無やスペース、棚の数などさまざまな条件によって変わってくるが、ある程度の目安は知っておいたほうがよいだろう。
パントリーの設置費用の相場
たとえば扉なしで省スペースに設置する、あるいは可動式の棚を設置するといった程度のリフォームなら5〜10万円前後で済むケースもある。扉や壁、間仕切りなどを設置していわゆるクローゼットのようなタイプにしたいと思ったら、20〜50万円は見ておいたほうがよいだろう。照明を取り付けたり、ポータブル蓄電池など充電式のアイテムを保管したりするなら、コンセントが必要だ。その場合は別途電気工事が必要になるかもしれない。
いずれにせよ予算を明確にし、リフォーム会社とよく相談することが大切だ。
いずれにせよ予算を明確にし、リフォーム会社とよく相談することが大切だ。
11. パントリーはDIYできる?
ちょっとしたパントリーであればDIYできる。設置するほどではないがもう少し収納スペースがほしいという場合や、できる限り費用を抑えたいという場合はDIYにチャレンジしてみるのもよいだろう。
棚を取り付けるだけの簡単なDIY
壁の素材がコンクリートの場合は難しいが、木材などであれば棚柱と棚板、ブラケットとビス、そして電動ドライバーさえあれば、手軽に棚タイプのパントリーをDIYできる。まずは棚柱を壁に取り付け、棚板にブラケットをビス止めする。あとは棚柱に棚板を取り付ければ完成だ。棚板の高さを調節できるよう、可動式にするのがポイントである。
ディアウォールやラブリコなら賃貸でもパントリーを作れる
ディアウォールまたはラブリコを使って2×4材を固定し、棚受けと棚板を設置するだけで簡単に棚をDIYできる。壁に穴をあける必要がないため、賃貸物件にお住まいの方にもおすすめだ。なお棚受けは専用のものでもよいが、ガチャ柱や棚受けレールといったアイテムを使うと高さを変えられてより便利になる。
12. パントリーをうまく活用してキッチン周りをスッキリさせよう
パントリーは大幅な収納力アップを目指せる便利な設備だ。それなりのスペースが必要になるなどメリットとデメリットがあるため、上手に選ぶことが大切である。賃貸にお住まいで収納スペースにお困りの方は、ぜひディアウォールやラブリコなどを使ったDIYにもチャレンジしてみてほしい。
結論
パントリーは、英語で「キッチンに隣接する食料品や食器、調理道具を収納するスペース」を意味する。間取りは、動線が切れないようにキッチンの横もしくは背面に設置すると、無駄なく動くことができるのでおすすめだ。