目次
1. スーツにカビが発生する原因

スーツにカビが発生してしまうのには原因がある。主に湿度・温度・栄養分だ。詳しく見ていこう。
湿度
カビが発生する大きな要因は湿度だ。ホコリや汗、皮脂などが付着したままの状態で湿度管理されていないクローゼットに保管した場合、カビが生えやすくなる。除湿剤を置いていても、衣類が密着していると通気性が悪く湿度が上がりやすい。
温度
次に温度も重要である。20〜30℃前後はカビが発生しやすい温度とされているが、クローゼット内はほどよくこの温度に保たれていることが多い。スーツに付着した汚れに加え、カビが好む湿度と温度があれば発生しやすくなるのは自然なことだ。
栄養分
ウール素材のスーツは多いが、ウールはタンパク質の一種でカビのエサになるため増殖の原因となる。もちろんホコリや皮脂汚れ、汗ジミ、そして酸素などもカビの発生や増殖を招く栄養素だ。これらがそろっていないか、今一度確認しておこう。
2. スーツにカビが!まずは応急処置を

スーツのカビはとにかく緊急事態である。お湯と、アルコール除菌スプレーまたは消毒用エタノールを使った応急処置を紹介するので、ぜひ試してほしい。
お湯で応急処置
スーツを天日干しして乾燥させ、そのまま外でブラシをかける。これで目に見えるカビを落とそう。次に40℃くらいのお湯に浸けてギュッと絞ったタオルを用意し、スーツを軽く叩きながらカビを落としていく。擦ると胞子が生地の中へ入ってしまうため、軽く叩くのがポイントだ。目に見えなくなったら天日干しやドライヤーを当てるなどして、スーツをしっかり乾燥させよう。
アルコールやエタノールで応急処置
先にアルコール除菌スプレーあるいは消毒用エタノールをスーツの裏など目立たない部分につけて、色落ちしないか確認しておくことをおすすめする。天日干しして乾燥させたら、ブラシでカビを落とそう。ここまではお湯を使う方法と同じだ。次に、歯ブラシの毛先をアルコール除菌スプレーか消毒用エタノールに浸し、スーツを軽く叩くようにカビを落としていく。あとは天日干しやドライヤーでしっかり乾燥させればOKだ。
ただし黒カビは即クリーニングに出そう
上記の応急処置は白カビが生えてしまったときの方法だ。黒カビはスーツの繊維の奥深くに根を張るため、応急処置をして表面をキレイにできても再発のリスクが残る。残念だが、できるだけ早くクリーニングに出そう。
3. スーツのカビはクリーニングで落とすべし

スーツのカビを根こそぎ退治するにはクリーニングに出すしかない。店舗ごとに料金やコースが異なるため、あくまで目安だが知っておくとよいだろう。
コースは「クリーニング」と「シミ抜き」
スーツのカビ取りはシミ抜き扱いになるケースが多い。そのためメニューはクリーニングとシミ抜きになるのが一般的だ。単純にクリーニングしただけでは落とせないことがあるため、受付のときに必ずカビを取りたい旨を伝えよう。
料金と日数の目安
料金は2,000〜3,000円程度を見ておくとよい。また日数だが、一般的には1〜3日が目安となるものの、繁忙期などはもう少しかかる可能性がある。近々スーツを着る予定があり長期間待てないときは、念のため受付のときにどれくらいかかるか確認しておくと安心だ。
4. カビが心配な方はスーツの保管クリーニングもおすすめ

店舗によっては、保管クリーニングに対応しているところもある。自宅で保管するのに不安がある方は、ぜひこうしたサービスの利用も検討しよう。
保管クリーニングとは?
たとえば半年後や翌シーズンなど、指定したある時期までスーツを保管してくれるというサービスだ。店舗によって対応できるかどうか異なるため、まずは確認してみよう。
保管クリーニングの料金目安
店舗ごとに料金設定は変わるが、おおよその目安として5点以内であれば1万円以下というところが多い。コストはかかるが、カビ予防にもつながると考えれば許せる範囲ではないだろうか?
5. スーツのカビは自宅で取れる?

自宅でできないことはないが、あくまで応急処置の範疇を出ない。スーツのカビをセルフケアで死滅させるのは困難だからだ。クリーニングに出す前の処置あるいはどうしても今すぐにクリーニングに出せないときの代替手段と認識しておこう。
ハッカ油と消毒用エタノールを使った取り方
スプレーボトルに水90mlを入れ、消毒用エタノール10mlとハッカ油10滴ほどを混ぜる。あとはスーツのカビに吹き付けてブラシで軽く叩けば、ある程度のカビは落とせるはずだ。
市販のカビ取り剤を使った取り方
カビホワイトなど、スーツにも使える市販のカビ取り剤も有用だ。カビに直接スプレーし、15分ほど置いてから水に濡らして絞ったタオルで軽く叩き、最後に乾燥させよう。
漂白剤の使用は注意
白カビよりも頑固な黒カビの場合、ワイドハイターなどの酸素系漂白剤を使った対処法も紹介されているが、スーツなどデリケートな素材の衣類へは使用をおすすめできない。お伝えしたように応急処置などもせず、乾燥させてクリーニング店に相談しよう。
6. クリーニングから返ってきたスーツの保管方法

クリーニングが済んだら、そのままクローゼットなどに保管しないように気をつけよう。
クリーニングから返ってきたスーツは包装を剥がす
親切にビニールなどで包装してくれるが、それによりスチームの湿気が閉じ込められていることがある。せっかくキレイにカビが取れたのに、湿気が溜まってしまうと再発するおそれがあるため気をつけよう。不織布など通気性のよいケースに移し替えることをおすすめする。
7. スーツをカビから守る普段のお手入れ

キレイになったスーツは、二度とカビを発生させないために予防策を打とう。カビ対策の基本は湿度・温度管理、そして汚れが付いた状態や濡れた状態をそのままにしないことだ。
クローゼットの湿度をコントロールする
スーツとスーツの間は適度に隙間をあけ、通気性を良くする。毎日ではなくてもよいが、クローゼットを開けっ放しにして空気を入れ替えるといったことも大切だ。もちろん、除湿剤の使用もおすすめする。
日々の軽い汚れはブラッシングで落とす
着たあとは毎回ブラッシングして、カビのエサとなる汚れを取り除いておこう。そのまますぐにクローゼットなどへ保管するのではなく、可能であれば風通しのよい日陰で数日干しておくとよい。
汗やにおいがついた日はスチームアイロンをかける
汗をかいた日や、食べ物または嗜好品などのにおいがついた日などは、面倒でもスチームアイロンを当てよう。その後、風通しのよい日陰に干すなどして完全に乾かしてから保管すればカビ予防になる。
雨に濡れたらきちんと乾かす
濡れたままクローゼットなどへ入れてしまうのはもちろんNGだ。まずは帰宅したらすぐにキレイな乾いたタオルで拭く。次に風通しのよい日陰に干して完全に乾いてからブラッシングをするなどして保管しよう。
ほかの衣類との隙間を確保する
ハンガーにかけてクローゼットなどに保管する際は、ほかの衣類との隙間をしっかり作るようにすることだ。密着していると湿気が溜まったり、ホコリなど汚れが移ったりしてカビの原因になってしまうおそれがある。少なくとも5cm、できれば拳1つ分の空間は確保したいところだ。
結論
スーツはこまめに手入れするだけでカビの発生を防げる。すでにカビが発生してしまった場合は、今回紹介した応急処置を施してできるだけ早くクリーニングに持ち込もう。クローゼットにしまいっぱなしのスーツがある方は、カビが発生していないかこの機に一度チェックしておくとよい。