目次
1. ポリエステル素材の特徴

まずはポリエステルがどういった素材なのかについて、簡単におさらいしておこう。
メリット:耐久性・速乾性に優れた合成繊維
いわゆる合成繊維のひとつがポリエステルだ。耐久性や速乾性に優れていることから、下着からワイシャツ、スーツまで幅広く使われている。
メリット:熱に強くシワにもなりにくい
ポリエステルは合成繊維の中でもアクリルやナイロンなどと比べて熱に強いほうだ。加えてシワになりにくいことから、洗濯したあとのアイロンがけの手間もほとんどかからない。
デメリット:汚れが溜まり黒ずみになりやすい
さまざまなメリットがある一方でこうしたデメリットもある。ワイシャツの襟の黒ずみ汚れが目立つという場合、素材を確認してみよう。ポリエステルであることが多いはずだ。
デメリット:静電気が発生しやすく毛玉もできやすい
ポリエステルのTシャツなどはとくに毛玉ができやすい。また冬場などに着ようと思ったらパチパチと静電気が発生した、という場合もポリエステルであることが多い。
2. 洗濯できるポリエステルの見分け方

ポリエステルは基本的に洗濯OKだが、形状や薄さ、そのほかの繊維との兼ね合いなどによっては手洗いまたはクリーニングのほうが適している場合もある。
水洗いOKかクリーニングかの見分け方
まずは洗濯表示を確認しよう。洗濯または手洗いOKのマークがあればご家庭で水洗いできるポリエステルだ。バツが付いていたり、ドライクリーニングのマークあるいは文字があれば念のためクリーニングに出すことをおすすめする。
洗濯機で洗うか手洗いするかの判断基準
洗濯機のマーク、あるいは洗濯桶のマークがあれば洗濯機で洗えるポリエステルという意味になる。「手洗イ」という文字がある、あるいは「洗濯桶に手」のマークだった場合は手洗いをしよう。洗濯表示については新旧があるため、混在している可能性がある。消費者庁のサイトに詳しく書かれているので、この機会に一度見ておくとよいだろう(※1・※2)。
3. ポリエステルを洗濯機する前の準備

水洗いできるポリエステルであれば、洗濯する前に次の準備をしておこう。
色落ちチェックをする
色柄物のポリエステルだった場合、洗濯することで色落ちするかもしれない。念のため色落ちの有無を確認しておこう。洗濯に使う液体洗剤の原液を目立たない部分に含ませ、2〜3分ほど待ってからティッシュまたは白い布を押し当てる。これで色が移らなければOKだ。移った場合はクリーニングに出すなどしよう。
シミがあれば前処理をする
汚れに液体の洗濯洗剤の原液を含ませ、軽く揉み込んでおく。これだけで汚れが落ちやすくなるので、襟や袖など汚れが気になる部分があれば前処理をしておこう。
4. ポリエステルを洗濯機で洗う方法

ご家庭で水洗いできるポリエステルだったときの、洗濯方法を解説していく。まずは洗濯機で洗う方法から見ていこう。
用意するもの
- オシャレ着用中性洗剤
- 普段お使いの柔軟剤
- 洗濯ネット
オシャレ着用中性洗剤としたが、なければ普段お使いの弱アルカリ性でもよい。また洗濯ネットは「必要」ではないが、大事な衣類や装飾品が付いている衣類を洗うのであれば用意したほうがよいだろう。
洗濯方法
- 衣類を洗濯機に入れる(必要に応じて洗濯ネットに入れる)
- 洗剤と柔軟剤をセットする
- 標準コースで洗濯する
なんのことはない。いわゆる普通の洗濯だ。大事な衣類は標準ではなく「ドライ」や「手洗い」など弱水流コースで洗うとよいだろう。
5. ポリエステルを手洗い洗濯する方法

続いてポリエステルを手洗いする方法を説明する。
用意するもの
- 液体のオシャレ着用中性洗剤
- 普段お使いの柔軟剤
- 洗濯桶(洗面器、シンクなどでもOK)
- 洗濯ネット
手洗いするほどの衣類であれば、より繊維に優しいオシャレ着用中性洗剤を使おう。また洗濯ネットは洗濯機で脱水する際に使用する。
洗濯方法
- 洗濯桶に30℃程度の水をはり、洗剤を適量溶かす
- 衣類をたたんだ状態で洗濯液に浸す
- 手で優しく押し洗いをする、または振り洗いをする
- たたんだ状態のまま洗濯ネットに入れる
- 洗濯機で10秒ほど脱水したらネットから取り出す
- 洗濯桶の水を入れ換えながら、泡立たなくなるまで何度かすすぐ
- 柔軟剤を含ませ、洗濯ネットに入れる
- 洗濯機で10秒ほど脱水をする
洗濯機で洗うときと比べると手順が増えるが、これだけ丁寧にできれば大きなダメージを受けることはないだろう。洗うときにこすると傷むおそれがあるため、押し洗いまたは振り洗いをすると覚えておこう。
6. 洗濯したポリエステルの乾かし方

洗濯したポリエステルは次の方法で乾かそう。
基本は自然乾燥
ポリエステルは速乾性に優れた素材であるため、自然乾燥が基本だ。日光には比較的強いので、オシャレ着や色あせの心配がある衣類でなければ天日干しをしてもよい。洗濯機から取り出したら、手でシワを伸ばしつつ風通しのよい場所に干そう。
乾燥機の使用はNG?
ポリエステルはほかの合成繊維と比べて熱に強いほうであるとお伝えしたが、高温の熱風で乾かす乾燥機の使用はできれば避けたほうがよいだろう。縮むなどしてシワになってしまうおそれがあるためだ。
7. 洗濯したポリエステルのシワの伸ばし方

ポリエステルはシワになりにくいとはいえ、まったくできないというわけではない。シワができてしまったときの対処方法も知っておこう。
シワはアイロンをかけて伸ばせる
ポリエステルの衣類が乾いたあとであれば、アイロンをかけてシワを伸ばせる。事前に洗濯表示でアイロンOKであることを確認しておこう。注意点としてはテカリを防ぐため「当て布」をすることと「低温」でかけ始めることだ。低温でシワが取れないときは「中温」に上げる。「高温」は控えたほうがよい。また長時間当てるとテカリや傷みなどのリスクが生じるため短時間で仕上げよう。アイロンをかけたあとは、冷めるまで風通しのよい場所に干してから取り込もう。
8. ポリエステルを洗濯する際の注意点

ポリエステルの洗濯は難しいことはないが、いくつか覚えておきたい注意点があるのでお伝えしておく。
逆汚染に気をつける
ポリエステルは汚れを吸収しやすい。しかもいったん定着すると落としにくいという特徴がある。そのため、汚れがひどい衣類と一緒に洗濯すると「逆汚染」されることがある。これを防ぐには、汚れがひどい衣類と一緒に洗わないこと、そして洗濯液が十分行き渡るよう、洗濯機にギュウギュウに詰めて洗わないことなどが挙げられる。
天日干しはほどほどにする
たしかにほかの合成繊維よりは日光などの熱に強いかもしれない。だがそうはいっても直射日光に当てる時間が長くなれば退色のリスクが生じる。白などであれば天日干しでもよいかもしれないが、色がある衣類は「風通しのよい場所での陰干し」を基本にするとよいだろう。
9. ポリエステルのネクタイも洗濯できる

ここからはポリエステルのネクタイの洗濯について解説していこう。
洗濯表示を確認する
衣類と同様に、ポリエステルのネクタイを洗濯する際も洗濯表示を確認しよう。同じネクタイでもシルクは毛羽立ちやすく、たとえ丁寧に手洗いをしても生地が伸びるなどして戻らなくなるおそれがあるため洗濯はNGだ。そのほか柄物や刺繍が入ったネクタイなどもご家庭での洗濯は控えたほうがよいだろう。洗濯NGのネクタイを洗いたいときは、クリーニングに出すのが基本だ。
10. ポリエステルのネクタイの洗濯に必要なもの

ポリエステルには「耐久性が高い」「シワになりにくい」「乾きが早い」などのメリットがあり洗濯でも失敗しにくい。とはいえネクタイ生地は一般的に、伸縮性を出すため「バイアス裁断」というカットがされており、強い力がかかると伸びやすい。そのため洗濯機よりは手洗いがベターである。
用意するもの
- オシャレ着用中性洗剤
- 洗濯桶(洗面器、シンクなどでもOK)
- 大判のバスタオル
衣類と同じく素材に優しいオシャレ着用中性洗剤が望ましい。大きめの洗濯桶と、水気を取るためのタオルも必須だ。
11. ポリエステルのネクタイの洗濯方法

ポリエステルのネクタイを洗濯する方法を見ていこう。基本的には手洗いを推奨するが、中には洗濯機OKのものもあるのであわせてお伝えする。
手洗いの手順
- 洗濯桶に30℃程度の水をはり、洗剤を適量溶かす
- ネクタイをたたんで洗濯液に浸す
- ゆっくりと揺するように振り洗いをして汚れを落とす
- キレイな水に入れ換えながら、泡立たなくなるまですすぐ
- バスタオルでタオルドライをして水気を吸い取る
- ハンガーにかけて風通しのよい場所で陰干しする
ポリエステルとはいえゴシゴシこすったり力を入れすぎたりすると傷む。型崩れの原因にもなるので軽く振り洗いをする程度に留めよう。汚れがひどいときは5分ほど浸け置きをしてから洗うとよい。また干すときは直射日光を避け、風通しのよい場所で陰干ししよう。
洗濯機で洗う場合は弱水流コースで
手洗いを推奨するが、ネクタイの洗濯表示に洗濯機OKの表示があれば洗濯機でも洗える。洗濯ネットに入れ、オシャレ着用中性洗剤を使って「ドライ」「手洗い」などの弱水流コースで洗おう。標準コースに比べて素材が傷みにくい。とはいえ機械で洗うため手洗いと比べればそれなりにダメージはある。できる限り手洗いすることが望ましいが、洗濯機を使う場合は必ず洗濯ネットに入れて弱水流コースを選ぼう。
12. ポリエステルのネクタイのアイロンがけ

続いてポリエステルのネクタイにアイロンをかける方法もお伝えしておこう。
アイロンがけの手順とコツ
- 手でネクタイのシワを伸ばす
- アイロンを低温〜中温で予熱しておく
- ネクタイをアイロン台に平置きする
- シワを優しく伸ばし、上から当て布をする
- アイロンを少し浮かせた状態で蒸気だけをたっぷりかけていく
当て布をすることと、ほんの少し(1〜2cmほど)浮かせながらスチームをかけていくのがコツだ。温度も高すぎないように注意しよう。
13. ポリエステルのネクタイを洗濯するときの注意点

丈夫で洗濯でも傷みにくいポリエステルのネクタイだが、基本的な注意点を守らなければ型崩れを起こし元に戻せなくなるおそれがある。
必ず洗濯表示を確認する
ネクタイの洗濯表示は洗う前に必ずチェックしよう。洗濯表示については消費者庁のサイトを参考にしていただきたい。なおポリエステルにシルクなどの天然素材が混紡されていると水洗いができない場合もある。「バツ」がついていればご家庭では洗濯できないため、クリーニングに出そう。
優しく洗う
丈夫なポリエステルでも、強くこすったりねじったりすれば型崩れしたり毛玉ができたりする。またネクタイの場合はとくに、中の芯地がずれて戻せなくなることもある。優しく手洗いするのが基本であるが、洗濯機を使う際も必ずドライなど弱水流コースを選ぼう。
念のため色落ちチェックをする
衣類と同様、色落ちチェックをしておくと安心だ。ネクタイの裏側の目立たない部分に洗剤の原液を少し垂らす。1〜2分ほど待ってから白い布で軽く揉んでみて、色が移らなければ色落ちのリスクは少ない。逆に移ってしまったときはクリーニングに出すことをおすすめする。
14. 洗濯以外にもある!ネクタイを長く使うためのコツ

お気に入りのネクタイはできるだけ長く使い続けたいところだ。洗濯以外にも、いくつかコツがあるので最後にそれをお伝えする。
帰宅後はハンガーにかけて陰干しする
帰宅したら毎回、ハンガーにかけて風通しのよい場所で陰干しする習慣を身につけよう。細かいことかもしれないが、こうして乾燥させるだけでも寿命が大きく変わってくる。シワがあるときは伸ばしておくとよいのだが、力を込めると生地がダメージを受けるおそれがあるため気をつけよう。
汚れはブラッシングで落としておく
陰干しとあわせて毎回実施したいのがブラッシングだ。洋服用など柔らかい毛のブラシで首元から丁寧にブラッシングをしよう。
複数のネクタイをローテーションさせる
当然だが毎日同じネクタイを着けていればそれだけ傷むのも早くなる。お気に入りを複数用意し、2〜3日ごとにローテーションするなどして寿命を延ばそう。
ゆっくり丁寧に解く
疲れて帰ってきたときや蒸し暑い夏場などは一気にネクタイを解きたくなるかもしれない。だが力を入れすぎないように気をつけよう。無理に引っ張ったり力をかけて解いたりすると、ダメージが少しずつ蓄積して寿命を縮めてしまう。
防水・撥水スプレーをかけておく
汚れを付着しにくくさせる、あるいは付着しても落としやすくするには防水スプレーまたは撥水スプレーをかけておくとよい。新品の状態でできればベストだが、そうでなくても洗濯したあとなどにシュッとひと吹きしておこう。
シミはその場で応急処置をする
外出先で液体をこぼしてしまったときの応急処置も覚えておこう。水性のシミ(醤油やコーヒーなど)は、水に濡らして絞ったハンカチでシミを軽くたたき、ハンカチに汚れを移す。その後は自然乾燥させればOKだ。油性のシミ(ソース、チョコなど)は水では落とせない。乾いたティッシュなどで軽くたたき、汚れを移しておこう。もちろん、帰宅後はできるだけ早く洗濯することだ。
ネクタイハンガーにかけて保管する
複数のネクタイをキレイに収納するなら専用のハンガーがおすすめだ。たたんで収納するとシワになってしまうが、ネクタイハンガーを使えばそうしたトラブルを回避できる。お手入れも楽になるはずだ。洗濯とあわせてこうしたコツも覚えて、大切なネクタイを長く使ってほしい。
結論
ポリエステルは比較的洗濯が簡単な素材だ。使い勝手もよく耐久性や速乾性にも優れている。「洗濯表示や色落ちの有無を確認する」「強い力を加えず洗う」などお伝えしてきたポイントを押さえておけば、何度も洗って使うことができるはずだ。ポリエステルの洗濯に関して正しい知識を身につけて、ぜひ今後に生かしていただきたい。
(参考文献)
- 1:消費者庁「洗濯表示(平成28年11月30日まで)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash.html - 2:消費者庁「洗濯表示(平成28年12月1日以降)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_01.html