目次
- 1. 陰干しとは?メリット・デメリットも解説
- 2. 陰干しの方法は大きく4つ
- 3. 陰干しした方がよい衣類かどうかは洗濯表示で分かる
- 4. 陰干しに失敗しないためのコツと注意点
- 5. 日陰がなくて陰干しできないときの対処方法
- 6. 陰干しによる生乾きのにおいが心配なときの対処方法
- 7. 陰干しに便利なアイテム3選
- 8. 大切な衣類は陰干しで長く使おう
- 日陰の吊り干し:正方形の中心に縦線が1本、かつ左上に斜線が1本
- 日陰のぬれ干し:正方形の中心に縦線が2本、かつ左上に斜線が1本
- 日陰の平干し:正方形の中心に横線が1本、かつ左上に斜線が1本
- 日陰のぬれ平干し:正方形の中心に横線が2本、かつ左上に斜線が1本マーク
- ※1:消費者庁「洗濯表示(平成28年11月30日まで)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash.html - ※2:消費者庁「洗濯表示(平成28年12月1日以降)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_01.html
1. 陰干しとは?メリット・デメリットも解説

そもそも陰干しとはどういった干し方なのか、ご存じの方も多いかもしれないが軽くおさらいしておこう。
直射日光を避けて干す方法
日陰で干すこと、つまり直射日光を避けて干す方法だ。外であろうと室内であろうと、直射日光が当たらなければ陰干しである。逆に室内であっても、直射日光が当たる場所ならそれは日干しになる。
陰干しのメリット・デメリット
直射日光に当てる日干しは、紫外線により雑菌の繁殖を抑制したり、洗濯物を早く乾かしたりできるメリットがある。だがその一方で、繊維によってはダメージを受けたり、色あせ(退色)したりすることもある。ウールなど天然繊維なら質が変わってしまうケースもある。
陰干しは、紫外線による雑菌の繁殖抑制や速乾といった効果は十分得られないといったデメリットがある一方、繊維へのダメージが少なく、色あせなども抑えられるメリットがある。衣類の長持ちにも繋がる「優しい干し方」という訳だ。
「陰干し指定」の衣類がある理由
洗濯表示で陰干しが指定されている衣類もある。その理由は上述の通り、日干しすると紫外線の影響などで繊維がダメージを受けるおそれがあるためである。
2. 陰干しの方法は大きく4つ

同じ陰干しでも干し方はさまざまである。
吊り干し
ハンガーなどに吊るして干す、ごく一般的な方法だ。ほとんどの洗濯物は吊り干しをすることになるだろう。
ぬれ吊り干し
脱水や手絞りをせずに、すすぎが終わった状態のまま干すことをいう。下が水浸しになるおそれがあるため対策が必要だ。
平干し
洗濯物を寝かせた状態で干すことをいう。セーターなど吊り干しをすると自重で伸びてしまうことがある衣類などの干し方である。
ぬれ平干し
脱水や手絞りをせずに、すすぎが終わった状態のまま寝かせて干すことをいう。
3. 陰干しした方がよい衣類かどうかは洗濯表示で分かる

どういった衣類を陰干しすべきなのかは、洗濯表示で見分けることができる。詳しいアイコンなどの情報は消費者庁のホームページ(※1)(※2)に掲載されているので、この機会にぜひ覚えておくとよいだろう。
陰干し指定の洗濯表示
上記は2016年12月1日から使われている新しい洗濯表示である。それ以前の衣類をお持ちの方は以下を参考にしてほしい。
旧・洗濯表示の陰干しマーク
旧洗濯表示はそこまで細かくない。長袖のTシャツの絵があり、右下に斜線が3本入っているマークなら「日陰の吊り干し」、Tシャツの絵の中央に「平」と書かれているマークなら「日陰の平干し」となる。
また雑巾を絞ったような絵があり「ヨワク」と書かれていれば、脱水を短時間で済ませるか手絞りでごく弱く絞るという意味になり、バツが描かれていれば絞ってはいけないという意味になる。
洗濯表示がない場合は?
陰干しの洗濯表示は必ずあるとは限らないため、衣類によっては日干しか陰干しどちらにすべきか迷うこともあるだろう。その場合は次のような基準で判断できる。
【色柄もの】
とくに色が濃いものは、直射日光によって薄くなったり色落ちしたりすることがある。心配な方は念のため陰干しをするとよいだろう。
【ナイロン】
紫外線が当たると生地が弱ったり変色したりしてしまうことがあるため、迷ったら陰干しがおすすめだ。
【麻や毛、綿】
同じく直射日光に当たると、生地がダメージを受けてしまうことがある。やはり陰干しをしたほうがよいだろう。
【絹】
こちらも紫外線が当たると変色してしまうおそれがある。風合いを損なわないためにも陰干しがおすすめだ。
【布団】
羽毛布団や羊毛布団は高温にさらされると劣化してしまう。日干しするにしてもごく短時間に留めるか、最初から陰干しをするのがおすすめだ。
4. 陰干しに失敗しないためのコツと注意点

陰干しのやり方は先述の通り大きく4パターンあるのだが、ちょっとしたコツも要る。注意点とあわせて解説するので覚えておこう。
上手に陰干しをするコツ
直射日光に当たらない場所に干すわけだが、陰干し指定されている生地はもともとデリケートなものがほとんどだ。陰干しする際は、生地を裏返しておくとダメージを受けにくい。また平干し指定の場合、平干しネットあるいはピンチハンガーの上にのせるなどして干そう。いずれもお持ちでなければ、洗濯カゴにバスタオルを敷き、その上にのせて乾かすやり方もある。
室内での陰干しのやり方と注意点
屋外のように風が通り抜けないため、サーキュレーターや扇風機などで風を送りながら乾かすと効率がよい。洗濯物が複数ある場合は、拳1つ分など間隔をあけることも大切だ。時間の経過によって直射日光が入り込む場所でないかことも確認しておこう。
室内での陰干しは乾くまでに時間がかかることが想定される。濡れた状態が長く続くと雑菌が繁殖し、生乾きのイヤなにおいが発生するため速やかに乾かすことが重要だ。
屋外での陰干しのやり方と注意点
風通しがよい日陰に干す。軒下や屋根がある場所など、必ず直射日光が当たらない場所であることが大切だ。太陽の角度などで直射日光が当たらないかも、事前にしっかり観察しておこう。
【屋外での陰干しにおすすめの時間帯は?】
日照時間や温度、湿度などは季節によって変わる。陰干しもそれに合わせて時間帯を変えるのが望ましい。たとえば春から夏にかけての時期は朝から10時前後までと、17時から20時前後まで。秋から冬にかけては朝から11時前後までと、16時から夜間といった時間帯がおすすめだ。
ただし夕方以降は湿度が高くなり、せっかく乾きかけた洗濯物が水分を吸ってしまうこともあるため、夕方以降に干す場合はその点に気をつけよう。
5. 日陰がなくて陰干しできないときの対処方法

ちょうどよい日陰がないという場合はどのような対処方法があるだろうか?ベランダや日当たりがよい室内など、日陰がない場所でも陰干しできるやり方をお伝えしておこう。
バスタオルや不織布などで日陰を作る
陰干し指定の洗濯物を物干し竿などに吊るしたら、その上をバスタオルあるいは不織布などでテントのように覆い、日陰を作ってしまうやり方だ。風通しが気になる場合はタオルではなく不織布がよいだろう。
浴室に干す
浴室に干すやり方もある。ドアを閉めて換気扇を回した状態で、可能であればサーキュレーターや扇風機などで風を送りながら乾かそう。もちろん浴室乾燥機があれば併用するのもおすすめだ。
6. 陰干しによる生乾きのにおいが心配なときの対処方法

陰干しは、紫外線による殺菌効果が得られないことに加えて、日干しよりも乾くまでに時間がかかることが多い。そのため油断すると雑菌が繁殖し、生乾きのイヤなにおいが発生してしまうことがある。それを防ぐための方法も知っておこう。
風を送って早く乾かす
衣類乾燥除湿機、サーキュレーター、扇風機などがあれば積極的に活用し、できるだけ早く乾かすことで雑菌の増殖を抑えよう。エアコンの除湿運転といった方法もある。
抗菌作用がある洗剤を使う
抗菌作用がある洗濯洗剤を使って洗濯するのもにおい対策のひとつだ。とくに部屋干し用の洗濯洗剤は、干している間も抗菌作用が続くものが多い。
柔軟剤を使う
柔軟剤には防臭効果・消臭効果もある。洗濯洗剤とあわせて使うことで、生乾きのイヤなにおいを抑える効果が期待できる。
浴室乾燥機にかけてから干す
浴室乾燥機が設置されているなら、先に1時間ほど乾燥機にかけてある程度乾かしてから、室内などで陰干しするやり方もある。浴室乾燥機がない場合はアイロンを当てるといった方法もあるが、その場合はアイロンOKの素材かどうか事前にチェックしておこう。
7. 陰干しに便利なアイテム3選

陰干しする際にあると便利なアイテムを紹介する。
富士商「折りたたみ式 ドアスペースハンガー」
ドアの上部に引っかけるだけで簡易的なハンガーが完成する。陰干し以外にコートなどの物掛けとしても活用できる。折りたたみ式でコンパクトなので場所も取らない。
友安製作所「ウルトラサンシェード」
ベランダやテラスの直射日光を遮ってくれる、UVカット率最大100%のサンシェードだ。日陰を作れるうえ、紫外線までカットしてくれる。家庭用洗濯機での洗濯がOKなのも嬉しい。
エカンズ「室内物干し X型レギュラータイプ」
一般的な部屋干し用アイテムだ。シャツ類なら20〜40枚、バスタオルなら4枚、フェイスタオルなら8枚など干せる量が多いのが特徴。折りたためば7.5cmという薄型設計で場所も取らない。
8. 大切な衣類は陰干しで長く使おう

陰干しは衣類へのダメージを少なくできる干し方だ。紫外線による殺菌効果などは得られにくいが、その分、繊維に負担が少なく退色といったリスクも低減できる。洗濯表示で指定されていないこともあるため、大切な衣類やお気に入りの衣類などで迷ったときは陰干しをするとよいだろう。
結論
陰干しのメリット・デメリットや指定されている理由、やり方と注意点、そして日陰がない場合やにおいが気になる場合の対処方法など、陰干しについて徹底解説してきた。コツは「早く乾かす」ことと「しっかり乾いてから取り込む」ことである。陰干し指定の衣類があれば、ぜひ実践してみてほしい。
(参考文献)