1. フリースの特徴
まずはフリースという素材について簡単におさらいしておこう。
一般的にはポリエステル製
いわゆる一般的なフリースは、ポリエステルの一種「ポリエチレンテレフタレート(PET)」100%である(ポリエチレンテレフタラートと呼ぶこともある)。毛足が短いもの、長くてモコモコしたもの(ボアフリース)などいろいろな種類がある。
フリースの特徴
軽量で保温性や速乾性に優れており、毛足の長さなどでやや違いはあるものの全般的に肌触りがよい。一方で毛玉ができやすく、静電気も発生しやすい。また熱に弱いため、高温の乾燥機などにかけると縮んでしまうことがある。
2. フリースは自宅で洗濯できる?
上述のように一般的なフリースはポリエステル製なので、洗濯機で洗濯すること自体は基本的に可能だ。だが起毛素材や不織布が使われているフリースの場合、洗濯機で洗濯すると毛玉だらけになったりゴワゴワしたりすることがある。この記事で紹介していくフリースを洗濯するコツを覚えて、毛玉やゴワゴワを防ごう。また念のため「洗濯表示」は確認しておこう。
洗濯表示
洗濯機のマークや洗濯桶のマークがあれば、ご家庭の洗濯機で洗えるフリースだ。「30」「40」など数字が書かれていれば液温の上限を意味する。また洗濯桶に手が描かれていたり「手洗イ」と書かれていたりすれば、手洗いによる洗濯ができるフリースである。いずれもバツがついていればご家庭では洗濯できないので、クリーニングに出すなどしよう。洗濯表示については消費者庁のサイトに詳しく書かれているので、一度目を通しておくとよいだろう(※1・※2)。
3. フリースの肌触りをキープする洗濯のコツ
フリースは適当に洗濯してしまうとゴワゴワになってしまうことがある。フワフワな肌触りをキープするためにも、次のようなポイントを押さえておこう。
オシャレ着用中性洗剤を使う
洗濯洗剤には弱アルカリ性や中性といった種類がある。フリースを洗濯する際は、生地へのダメージがより少ない中性、とりわけオシャレ着用中性洗剤を使うのがおすすめだ。弱アルカリ性洗剤と比べると洗浄力はやや劣るものの、色あせや型崩れなどのトラブルを招きにくい。
柔軟剤でふんわり仕上げる
柔軟剤はフリースをふんわり仕上げてくれるだけでなく、静電気による毛羽立ちも軽減してくれる。ぜひ使おう。
洗濯ネットに入れる
フリースを洗濯機で洗濯する場合、摩擦などによるダメージや毛玉を防ぐためネットに入れるのが基本である。ファスナーを閉じて裏返し、襟や袖など汚れやすい部分が外側にくるように畳んでネットに入れよう。
弱水流コースで洗う
同じく摩擦によるダメージや毛玉を抑えるため、メーカーや機種によって異なるが「ドライ」「手洗い」「オシャレ」など、弱水流で洗えるコースに設定しよう。
乾燥機にはかけない
フリースは熱に弱いため、高温の乾燥機にかけてしまうと縮むおそれがある。静電気も起こりやすくなってしまうため、自然乾燥を心がけよう。
4. フリースを洗濯機で洗う方法
それでは、フリースをご家庭で洗う方法を解説していこう。まずは洗濯機で洗う方法からだ。
フリースを洗濯機で洗う方法
フリースをたたんで洗濯ネットに入れ、オシャレ着用中性洗剤と柔軟剤を投入したら弱水流コースを選んでスタートボタンを押す。あとは洗濯機にお任せしてOKだ。なおフリースは、ほかの洗濯物と一緒ではなく単体で洗濯しよう。また脱水時間は短いほうが縮みなどのリスクを減らせる。設定できる場合は10秒程度にしよう。設定できなければ、面倒かもしれないが手動で停止して取り出してもよい。ちなみに、洗濯表示を見たとき「四角の中に縦または横の二重線」が描かれていた場合は脱水なしを選ぼう。
目立つ汚れには前処理を
フリースに目立った汚れがある場合、先にオシャレ着用中性洗剤の原液をほんの少しだけ含ませておこう。指で軽く押さえるとなじみやすい。
5. フリースを手洗い洗濯する方法
続いて、フリースを手洗いする方法を見ていこう。
フリースを手洗いする方法
フリースの手洗いは「押し洗い」が基本になる。まずは洗濯桶に40℃以下の水を溜めてオシャレ着用中性洗剤を適量溶かしておこう。次に、裏返してたたんだフリースを洗濯液に浸して、優しく押し洗いをする。押し洗いが終わったら軽くたたんで洗濯ネットに入れ、洗濯機で10秒程度脱水する。続いて、洗濯桶の水を替えて泡立たなくなるまで押し洗いの要領ですすぐ。すすぎ終わったらきれいな水に入れ換えて柔軟剤を加え、フリースに含ませる。再びネットに入れて、洗濯機で10秒程度脱水をすれば完了だ。
6. パタゴニア、ポーラテック、ユニクロのフリースも洗濯できる?
パタゴニアやポーラテック、ユニクロといった各ブランドのフリースも、同じように洗えるのだろうか?
基本的には洗えるが念のためチェックを
これら各ブランドのフリースも、基本的には上記の方法で洗濯できる。ただしブランドによって適した洗剤や洗濯方法が異なる場合がある。ブランドを問わず、フリースを洗濯するなら洗濯表示やブランドのホームページなどをチェックしておくと安心だ。
7. 洗濯したフリースの乾かし方
無事に洗濯できたフリースは、乾かし方も大切だ。
脱水が終わったら速やかに取り出して形を整える
脱水まで終わったら、すぐに取り出そう。洗濯ネットから出したら全体を振って空気を含ませ、手で軽くパンパン叩きながらシワを伸ばしたり、形や毛並みを整えたりしよう。
可能であれば「平干し」がおすすめ
水分を含んだフリースは重さがあるため、吊り干しをすると伸びたり型崩れしたりする場合がある。可能であれば、風通しのよい日陰で平干しするのがおすすめだ。平干しネットは100均でも手に入るので、持っていなければぜひ手に入れておこう。
吊り干しをする際は大きめのハンガーを使う
吊り干しをする際は、肩の部分に厚みがあるハンガーにかけるとよい。同じように直射日光が当たらない場所で陰干しをして乾かそう。
8. フリースの毛玉を防ぐ仕上げのコツ
フリースは毛玉ができやすい。洗濯したことでお気に入りのフリースが毛玉だらけになってしまっては残念だ。これを防ぐためにはブラッシングをおすすめする。
洗濯が終わったらブラッシングをする
洗濯したフリースは、ブラッシングをして毛先を整えてから干そう。衣類用のブラシでももちろんよいが、短毛ペット用のスリッカーブラシを使ってもOKだ。力を入れすぎると傷んでしまうので、毛並みに沿って少しずつ丁寧にブラッシングをしよう。
日々のお手入れにもブラッシングを取り入れる
日頃のお手入れにブラッシングを取り入れるのもおすすめだ。このひと手間で毛玉が発生するリスクを大幅に低減できるだけでなく、ふんわり感もキープさせられる。
9. フリースの型崩れの原因とアイロンを使う際の注意点
「洗濯はうまくいったのに、乾いたらフリースが型崩れしていた」という場合、何が原因でどう対処すればよいのだろうか?アイロンをあてる際の注意点とあわせて解説する。
フリースの型崩れの原因と対策
型崩れは、干し方に原因があるかもしれない。水分を多く含んだ状態のフリースをハンガーにかけて吊り干しした場合、重みで型崩れすることがある。吊り干しをする場合、脱水が十分でないと感じたら平面にバスタオルを敷き平干しをしよう。また洗濯に使う液温が高すぎると生地が傷んで型崩れの原因になることがある。冷たすぎてもよくないので、10〜40℃程度の水で洗濯するようにしよう。
アイロンでシワを伸ばす際の注意点
乾いたあとのフリースにシワが目立つ場合、アイロンをかけて伸ばせる。その際は当て布を忘れずに使おう。またアイロンの温度は中温(130〜160℃程度)に設定しよう。ただし洗濯表示にアイロン禁止のマークがないことが前提だ。
10. フリースを洗濯する頻度やにおいの取り方は?
最後に、フリースの最適な洗濯頻度やにおいが付着してしまったときの取り方などをお伝えしておく。
2週に1回程度を目安に洗濯しよう
着る頻度などによって変わるほか、汚れが目立つ場合などもこの限りではないが、普通に着用する程度あれば2週に1回を目安に洗濯するとよいだろう。ただし洗濯のしすぎは劣化や色あせなどを招く要因となる。日々のお手入れはブラッシングや衣類用の除菌・消臭スプレーなどを使い、洗濯は汚れなどの様子を見ながら頻度を調節してほしい。
気になるにおいには重曹水がおすすめ
汗や皮脂などのにおいが染み込んでしまったフリースは、重曹を溶かした水にひと晩浸け置きしておくとよい。弱アルカリ性の重曹は、汗や皮脂など酸性の汚れを落とすのにうってつけのアイテムだ。翌日、上述した手順で洗濯機または手洗いで洗濯をして乾かそう。
結論
フリースは基本的に洗濯できるが、毛玉やゴワゴワ、型崩れなどを防ぐためにも洗濯表示を必ずチェックして注意点を守って洗濯しよう。風通しのよい場所での陰干し(できれば平干し)が基本になる点、アイロンをかける際は当て布が必要な点など、注意点もいくつかあるので覚えておいてほしい。
(参考文献)
- 1:消費者庁「洗濯表示(平成28年11月30日まで)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash.html - 2:消費者庁「洗濯表示(平成28年12月1日以降)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_01.html