1. 洗濯機にお湯を使うメリット・デメリット
お湯で洗濯する場合、具体的にどんなメリットがあるのか、またデメリットは何かなど基本的なところから簡単に解説しよう。
洗濯機にお湯を使う効果
- 油汚れが落ちやすい
- 雑菌が増えるのを抑える
洗濯物、とくに衣類に付着する汚れやニオイの多くは皮脂など油性のものだ。お湯で食器を洗うのをイメージすると分かりやすいが、油汚れはお湯でやわらかくなり、洗剤や酸素系の漂白剤の力が効きやすくなる。また洗濯をしてもすべての雑菌は除去できない。洗濯機の中にも少なからず雑菌が存在するし衣類にも雑菌が残る。これらは時間とともに繁殖し、やがて生乾きのイヤなニオイの元となる。ところが雑菌は熱に弱いため、お湯を洗濯機に使うことで洗濯槽や衣類への除菌作用も期待できるという訳だ。
洗濯機にお湯を使うデメリットはある?
日本の場合、洗濯機に給水するための水栓は水にしか対応していないものがほとんどである。したがってお湯を使いたいと思ったら、お湯が出る蛇口から引っ張ってくるなどするしかない。近くになければ面倒な点はデメリットだろう。ポンプなど買い足すとなればコストもかかる。そのほか、次に解説するような「リスク」があることも覚えておく必要があるだろう。
2. 「洗濯機にお湯」はOK!だが注意点も
お伝えしたように、洗濯機にお湯を入れて使うこと自体はOKだ。だが最低限、知っておきたいポイントがあるので覚えておこう。
適温は40〜50℃
いくらお湯がいいとはいえ、熱湯を入れてしまうと洗濯機がダメージを受けたり、熱に弱い繊維が傷んだりする。体温よりやや高めの40℃か、高くて50℃程度が適温とされているが、念のため必ず取扱説明書をチェックしていただきたい。
お湯を使う際の注意点
- 繊維にダメージを与えることもある
- 色柄物は色落ちのリスクがある
熱に弱い生地は傷んでしまうことがある。洗濯表示の水温は必ずチェックし、上限を超えないように気をつけよう。洗濯表示については消費者庁のサイトが詳しく解説されていて分かりやすいので紹介しておく(※1・※2)。また洗濯機にお湯を使う場合、色が濃い衣類や綿といった素材は色落ちのリスクがあるため、40℃程度のぬるま湯にしておくことをおすすめする。
お風呂の残り湯も注意
残り湯には雑菌や皮脂汚れなどが混在している。「洗い」は洗剤を使うので問題ないが「すすぎ」は洗剤を使わないため、残り湯の雑菌や汚れが残ってしまう。洗濯機に残り湯を使う場合は、洗いの段階だけにしよう。柔軟剤を使う洗濯や大切にしたい衣類などは、残り湯ではなく新しいお湯を入れたほうが安心だ。
3. 洗濯機にどうやってお湯を入れる?
バケツにお湯をくんで洗濯機に注いでもよいが、何往復もするのは大変かもしれない。途中でバランスを崩してぶちまけてしまうおそれもある。手軽かつ効率がよいのは次のような方法だ。
ホースを使うと楽
洗面所の蛇口にホースをつないで、直接お湯を洗濯機にためる方法がある。あるいは、お風呂の残り湯を使うのであればポンプ機能付きのホースがおすすめだ。なお基本的に、洗濯機は水量を自動認識・調整してくれる。そのため量については、溢れるほど入れ過ぎなければ細かく気にしなくてよいだろう。ただしバケツなど手動でお湯を注ぐ場合、そうはいかないケースもある。そのときは洗濯物がお湯に浮くぐらいの量を目安にするとよいだろう。
4. ニオイが気になる衣類はお湯に浸けてから洗濯機に
衣類のニオイが気になる場合は、洗濯機に入れる前にお湯につけ置きして、ある程度汚れを溶かしておくと効率がよい。やり方は簡単だ。洗濯桶に50℃程度のお湯をはり、30分ほど浸け置きする。時間がきたらそのまま洗濯機に投入して回すだけでよい。もちろん、洗濯機には新たなお湯をはっておけばより効果的だ。
5. 洗濯機にお湯を使う際に便利なアイテム
続いて、洗濯機にお湯を使う際にあると便利なアイテムを紹介する。
タカギ「泡沫蛇口用ニップル」
キッチンやお風呂などの泡沫蛇口にホースを接続するためのニップルだ。これにホースをつなげば洗濯機にお湯を溜められる。蛇口のサイズが適合するかは事前に確認しておこう。
KOSHIN「家庭用バスポンプ スタンダードタイプ KP-104JH」
残り湯を洗濯機に使う際におすすめなのがこちら。モーターとリモコンが付いているので、ワンタッチで給水・停水できるほか、タイマー付きモデルもラインナップされている。
SANEI「SANEI 風呂水給水ホースセット PT171-871S-4」
お風呂の残り湯を使うならこちらもよい。洗濯機の給水口に取り付ければ洗濯機が自動で湯量を調節してくれる。残り湯に浮かぶゴミをキャッチするフィルターも搭載されている。
6. お湯で洗える洗濯機に買い替える手もある
最後に温水洗浄機能付きの洗濯機も紹介しておこう。いずれも洗濯機自身が洗浄液を温めてくれるため、お湯を注ぐ必要がない。洗濯機を買い替えるタイミングなどであれば、いっそこうした機種を選ぶのはいかがだろうか?
パナソニック「温水泡洗浄W VX900A/VX800A」
15℃、30℃、45℃、60℃などコースによってお湯の温度が4パターン用意されている、ななめドラム式の洗濯乾燥機だ。「温水泡洗浄W」「約40 ℃毛布」「ナノイー X」など機能も豊富である。
パナソニック「全自動洗濯機 NA-FA120V3」
同じくパナソニック製だが、こちらはタテ型の洗濯機だ。「約40 ℃毛布」コースを新たに搭載したほか、泡洗浄およびパワフル立体水流による洗浄力アップ、さらには衣類が取り出しやすい
ビッグサークル投入口などが特長である。
ビッグサークル投入口などが特長である。
日立「洗濯乾燥機 BW-DX110A」
こちらもタテ型の洗濯乾燥機で「ナイアガラビート洗浄」と呼ばれる機能を搭載している。温水ミストを衣類に吹きつけて衣類そのものの温度を上げることにより、洗剤の酵素パワーを活性化させる仕組みだ。
結論
温度や色落ちなどの注意点、残り湯の使い方などを正しく理解していれば、洗濯機にお湯を使って効果的に汚れを落とせるはずなのでぜひ試してほしい。ただし、お湯を使う前に必ず洗濯機の取扱説明書を確認し、お湯の使用に関する注意書きがあれば正しく守ろう。
(参考文献)
- 1:消費者庁「洗濯表示(平成28年11月30日まで)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash.html - 2:消費者庁「洗濯表示(平成28年12月1日以降)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_01.html