1. 室内で除湿が必要になる原因
屋内の湿度が上がる要因は多種多様である。以下のような要因による場合が多いため、自分に当てはまるかどうか確認するとよいだろう。
日本は湿度が高い
日本は世界の平均降水量の2倍もの雨が降る。そのうえ周囲を海に囲まれているため、海からの風は多くの水分を含んでいる。日本には乾燥している場所はほとんどないといえるだろう。特に夏の太平洋側は多湿で知られるうえ、沖縄は年中高温多湿である。
住宅の気密性の高さ
現代の日本の住宅は冷暖房の空気が逃げないように気密性が高くなるように作られている。そのため湿気が逃げにくいというのがデメリットなので、効率よく除湿できるような工夫をする必要がある。
建物の立地や階層
海・川・湖などのそばに立っている建物は湿度が高くなりがちだ。また1階は地面からの水分が侵入しやすいので湿度が高くなる。
人やペットから出る湿気
人やペットが暮らしているところは湿度が高くなる。蒸発する汗や息の中に含まれる水蒸気の影響により、人数が多いほど湿度も上がる。人がいる場所なら除湿は必須だと考えた方がよい。
風呂場の湿気
家の中で最も湿度が上がる場所は風呂場だ。特に風呂に湯を張ったままという場合や換気をしない場合には屋内の湿度が高くなる。窓のない風呂場は換気扇を長時間回して除湿する必要がある。
部屋干しした洗濯物
冬の乾燥を防ぐために洗濯物を部屋干しすることはよくある。風邪による喉の痛みがあるときにも同様である。つまり洗濯物を部屋干しすると湿度が上がるということだ。日頃から洗濯物を部屋干しするという方は家の中の湿度が常に高い状態になる。
観葉植物
屋内に観葉植物がある場合にも湿度が高くなりがちである。植物に水をあげると、葉から水分が蒸散する。植物のサイズが大きいほど湿度は高くなる。
2. 湿度が原因で起こる問題点と除湿の必要性
湿度が上がると以下のような影響がある。ただ不快だというだけでなく、健康や建物への影響も大きいので意識しておく必要がある。
多湿による健康へのリスク
湿度が高くなることで体内の水分をうまく排出できなくなり、消化不良や食欲不振を起こすことがある。またむくみやだるさなども感じやすくなる。
暑いときは不快指数が上がる
暑い時期に湿度が高いといわゆる「不快指数」が上がる。また、熱中症のリスクを示す「暑さ指数」のうち7割は湿度の影響によるとされている。ただ不快なだけでなく湿度が高いほど熱中症になりやすくなるのだ。
外気との差で結露する
寒い時期には室内と室外の気温差で結露が起こる。窓や壁などの結露はもちろん、壁の内部に起こる内部結露によって目に見えないところにカビが発生したり、建物の腐食が起こったりする場合がある。
カビやダニが発生する
湿度が高いほどカビが発生しやすくなり、ダニなどの害虫も繁殖しやすくなる。ダニの死骸やカビはアレルギーの原因となり、人によっては重篤な影響が出る場合がある。除湿することでアレルギー予防にもつながるので、アレルギー体質の方は心がけておこう。
細菌が繁殖しやすくなる
インフルエンザウィルスなど湿度に弱いウィルスもあるが、食中毒を引き起こす菌類は高温・多湿を好む傾向にある。そのため湿度の高い梅雨から秋ぐらいまでは食中毒のリスクが高くなるが、除湿をすることでリスクを下げることができる。
洗濯物が乾きづらくなる
湿度が高くなると洗濯物が乾きづらくなる。特に梅雨の時期は外に干せないため部屋干しをすることが多いだろう。室内の湿度が高いうえに洗濯物から蒸発する水分がプラスされるため、湿度が100%近くになることも珍しくない。部屋の除湿をすると、洗濯物も乾きやすくなる。
3. 部屋を除湿する方法
湿度の高い部屋を除湿する方法を確認しておこう。簡単に除湿できる方法や身近なものを使った除湿方法まで、さまざまなやり方を試してみるとよいだろう。
エアコンや除湿機を使う
エアコンの除湿機能や除湿機を使うことで湿度を下げることができる。対応面積を確認しておくことが大切だが、家の気密性が高い場合は除湿機で1フロア全体を除湿することが可能なことがある。
除湿剤を置く
クローゼットや押し入れの中には除湿剤を置いてカビ対策を行うとよい。衣類は湿気を吸収しやすいため、カビや虫が発生しやすい。定期的に除湿剤を交換して乾燥させることが大切だ。
寝具用の除湿シート・除湿マットを使う
寝具は睡眠中の汗を吸うため、除湿シートや除湿マットを使って湿気を吸収するとよい。また、ときどき乾燥機を使って乾燥させるのもおすすめだ。
ダンボールや新聞紙を使って除湿
ダンボールや新聞紙を押入れやタンスの引き出しに敷いておくと湿気を吸収してくれる。どちらも手に入れやすく、簡単に交換することができるので、すぐにでも取り入れたい除湿方法だ。ただし、ダンボールは虫がつきやすいので、新品を使うようにするなど、工夫して使おう。
ペットボトル
凍らせたペットボトルを使って除湿する方法もある。凍ったペットボトルを置いておくと室内の水蒸気が結露するため、湿度を下げることができる。受け皿を置いておかないと床が濡れるので注意が必要だ。寝る前にセットしておくと、起きたときにはかなりの水がたまっていることがわかる。
重曹
重曹は湿気を吸収する働きもあるため、手作りの除湿剤として使用できる。容器に多めの重曹を入れておくだけでよい。1〜2ヶ月程度で固まってきたら交換時期である。
4. 除湿した部屋を維持する方法
思いついたときに一度除湿を行うだけでなく、毎日の生活の中で適切な湿度を維持する意識を持つとよい。以下のようなポイントに注目して生活しよう。
換気して外気を取り入れる
料理や入浴のあとは換気扇を回すことや、窓を開けて外気を取り入れることなど、日常的に換気を意識すると除湿の効果を維持できる。
風がある日や外の方が湿度が低い日などを狙うのがベターだ。
風がある日や外の方が湿度が低い日などを狙うのがベターだ。
空気の流れを作る
空気の流れを作るように意識するのも効果的だ。換気をするときには2ヶ所の窓を開けるようにし、家具を壁際から少し離すようにすると、風や空気が通りやすい。換気扇の対向に窓がある場合、窓を開けて換気扇を回すことで空気の流れを作ることもできる。
湿度計を置いておく
見える場所に湿度計を置いておくと湿度をコントロールしやすい。テーブルくらいの高さの場所に置いておくと体感と近い数値になるため便利だ。
結論
湿度が高いとカビ・虫の発生や健康への悪い影響などが起こる可能性が高くなる。そのため日頃から湿度が上がりすぎないようにする意識を持つことが大切だ。除湿機やエアコンの除湿機能はもちろん、空気の流れを作ったり外気を取り入れたりすることも重要なポイントになる。快適な生活と健康を守るため、意識的に除湿を行うとよいだろう。