目次
- 1. 乾燥機にかけると衣類が縮む理由
- 2. 乾燥機で縮むおそれがある衣類の見分け方
- 3. 乾燥機で縮むおそれがある衣類の素材とは?
- 4. 乾燥機にかけても縮みにくい素材とは?
- 5. 乾燥機で衣類が縮むのを防ぐ方法は?
- 6. 乾燥機で縮んでしまった衣類を元に戻す方法は?
- 7. 縮むと困る衣類は浴室乾燥機を使って乾かす方法がおすすめ
- 8. 乾燥機で縮みやすい素材を見極めて洗濯のスキルアップにつなげよう
- ※1:消費者庁「洗濯表示(平成28年11月30日まで)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash.html - ※2:消費者庁「洗濯表示(平成28年12月1日以降)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_01.html
1. 乾燥機にかけると衣類が縮む理由

素材にもよるが、乾燥機をかけて縮む衣類は意外と多い。そもそもなぜ縮んでしまうのか、その理由を知っておこう。
熱で繊維が収縮する
一般的なドラム式洗濯乾燥機は、60〜80℃などの熱風を当てて洗濯物を回転させながら効率よく乾かす。素材によっては、このときの熱が原因で繊維が収縮、つまり縮んでしまうことがある。外干しや部屋干しなどで縮まないのは、これほどの高温にさらされないからである。
繊維が押しつぶされる
洗濯物は乾燥機の庫内で激しく回転し続ける。これにより、少しずつ繊維の組織が押しつぶされて縮んでしまう。いわゆる「目が詰まった」状態だ。
2. 乾燥機で縮むおそれがある衣類の見分け方

乾燥機にかけたときに縮むおそれがある衣類の素材は、事前に見分けることができる。
洗濯表示や注意書きで判断できる場合がある
「黒の四角の中に黒丸」さらにその中に「黒ポチが1つまたは2つ」描かれている洗濯表示であればタンブル乾燥OK、つまり乾燥機にかけられる。黒ポチ1つなら温度は60℃、2つなら80℃が上限となる。
ただしバツが付いていれば乾燥機NGという意味だ。あるいは欄外などに「タンブラー乾燥はお避けください」などと記載してあれば、乾燥機には入れないほうがよい素材と思っておこう。
ただし洗濯表示では分からないことも
判断できる「場合がある」としたのには2つの理由がある。1つは、乾燥に関する洗濯表示の掲載は必須ではないということ。つまり、本来乾燥機にかけると縮みやすいものの、洗濯表示にはそれが載っていないケースがあるということだ。
もう1つは洗濯表示には新旧があり、旧のものはそもそも乾燥機にまつわるマークそのものが存在しない。まだ新旧の洗濯表示が混在しているため、洗濯表示では判断できないこともある。こうしたことからも、後述する「縮みやすい素材」をある程度把握しておくことが大切だ。
なお洗濯表示については消費者庁のサイトに詳しく書かれているので、ぜひ目を通しておくことをおすすめする。(※1)(※2)
3. 乾燥機で縮むおそれがある衣類の素材とは?

洗濯表示だけで判断できないことも想定し、乾燥機で縮みやすい素材を把握しておこう。
天然素材やレーヨンは縮みやすい
綿や麻、ウールや絹などの天然素材は乾燥機で縮みやすい。とくにニットは編み目が大きいため、急速に乾燥させると隙間が詰まり縮むことが多い。天然素材を使ったニットは乾燥機にかけてはいけないと思っておこう。
絹に似せて作られたレーヨンも同様だ。絹に近い手触りで光沢がありおしゃれ着やジャケットなどに使われることが多い素材だが、乾燥機では縮む確率が高い。基本的に「天然素材やおしゃれ着は縮みやすい」と覚えておこう。
ナイロンやポリウレタンも縮むことがある
化学繊維であるナイロンやポリウレタンも乾燥機で縮む傾向がある。ウィンドブレーカーやスキーウェアなどに使われるナイロンは熱に弱いためだ。また合皮製品や伸縮性の高い衣類に使われやすいポリウレタンも、熱に弱い性質がある。同じように乾燥機にかけると縮みやすいと思っておこう。
目が粗い、薄い、刺繍があるといった衣類も縮むおそれがある
素材だけでなく、ニットのところでお伝えしたように生地の目が粗い衣類、透けるような薄いシャツ、刺繍やプリントなどが施されている衣類なども縮むおそれがあるため気をつけよう。とくにプリントは熱に弱いため、そもそも熱風を当てること自体控えたほうがよいことも多い。
4. 乾燥機にかけても縮みにくい素材とは?

逆に乾燥機にかけても縮みにくい素材もある。「100%安心」とはいいきれないが、次のような素材の衣類は縮みにくいと思ってよいだろう。
ポリエステルやアクリルは縮みにくい
ポリエステルは熱や摩擦に強く、乾燥機に入れても縮む心配が少ない。アクリルも同様に縮みにくいが、乾燥機にかけると静電気が起こりやすくなる点だけは覚えておこう。
消耗品や下着など人目に触れないものなら多少縮んでもOK?
自己判断になってしまうが、靴下や下着、部屋着やタオル、シーツといった消耗品あるいは人目に触れることがほとんどなく、多少縮んでも気にならないものは乾燥機にかけてもよいだろう。
5. 乾燥機で衣類が縮むのを防ぐ方法は?

乾燥機で衣類が縮むのを完璧に防ぐことは難しいかもしれないが、リスクを少しでも低減するためのコツはある。
洗濯物を仕分けする
洗濯前に、乾燥機にかけても問題ないものと乾燥機にかけないものを仕分けし、それぞれ別で洗濯する。乾きやすい素材と乾燥に時間がかかる素材を分けておくとさらに効率的だ。
乾燥時間を短くする
最後まで乾燥機で乾かすのではなく、最初の20〜30分程度で取り出し、外干しや部屋干しで残りを乾かす。乾燥機から取り出したときはいわゆる生乾きの状態だが、熱を持っているため普通に干すよりも乾きやすい。
そのうえ熱風にさらされる時間も、庫内に叩きつけられる時間も少なく済むため、素材が縮みにくいというわけだ。
洗濯表示を確認する
上述したように、乾燥に関する洗濯表示が載っている衣類であればその指示にしたがおう。そもそもタンブル乾燥OKなのか、OKであれば温度は60℃が上限なのか80℃なのか、といったポイントが確認できるはずだ。
乾燥が終わったらすぐに取り出す
乾燥機にかけて乾かした衣類は、冷める途中にも伸縮して縮む。いつまでも乾燥機に入れっぱなしにせず、速やかに取り出して形を整えよう。
6. 乾燥機で縮んでしまった衣類を元に戻す方法は?

「大切な衣類を乾燥機にかけたところ縮んでしまった」という場合、元に戻す方法はあるのだろうか?完璧とまではいかなくとも、ある程度復活させられる可能性は残っている。
もう一度濡らし、形を整えて乾かす
アイロンのスチームもしくは霧吹きなどを使って十分湿らせたのち、引っ張るなどして形を整えながら乾かすというのが基本的なやり方だ。あるいはもう一度洗濯して、形を整えてから干すといった方法でもよい。
ニットにはトリートメントが効果的
乾燥機で縮んだ衣類がウールなどのニットであれば、トリートメントを使って元に戻せる場合がある。「ジメチコン」と呼ばれる成分が含まれているトリートメントを選ぶのがポイントだ。
【トリートメントを使って縮んだニットを元に戻す方法】
洗面器などにたっぷりのぬるま湯を入れ、トリートメントをワンプッシュして溶かす。量が多すぎるとニットがベタつくので気をつけよう。ニットを入れて全体に液が浸透したら取り出し、手で軽く押すようにして絞る。あとは形を整えて乾かすだけだ。ハンガーなどに干すと伸びるおそれがあるため、平干しをしよう。
7. 縮むと困る衣類は浴室乾燥機を使って乾かす方法がおすすめ

どうしても縮むのを避けたい衣類がある場合、急ぎでなければ浴室乾燥機を使って乾かすといった方法もおすすめだ。
浴室乾燥機なら縮むリスクを大幅に低減できる
大切な衣類は自然乾燥がベターだが、少しでも早く乾いてほしいときもあるだろう。その場合、乾燥機を使うよりも時間はかかるが「浴室乾燥機」で乾かすとよい。浴室乾燥機の風はそこまで高温にならないし、衣類が叩きつけられることもないため素材が縮むリスクはほとんどない。
電気代が気になるときはサーキュレーターなどを併用する
乾燥機ほどの熱風が出ない浴室乾燥機は、洗濯物の量にもよるが3時間などある程度時間がかかる。電気代が気になるときは、1時間程度で取り出したのち、サーキュレーターや扇風機などを当てて部屋干しで乾かすといった方法もおすすめだ。
8. 乾燥機で縮みやすい素材を見極めて洗濯のスキルアップにつなげよう

「多少の縮みは気にしない」「着ているうちに戻るから大丈夫」といった方であればよいが「おしゃれ着が縮むのは絶対に避けたい」「窮屈な着心地がイヤ」という方も多いだろう。100%縮むのを防ぐことは難しいかもしれないが、洗濯表示や素材である程度、回避することは可能だ。
今までとくに気にせずバンバン乾燥機に入れていた方は、ぜひこれを機に縮みやすい素材などを見極められるようになり、洗濯スキルを向上させよう。
結論
乾燥機にかけると縮むおそれのある衣類などは、自然乾燥や浴室乾燥機がよい。「大切な衣類が縮んで着られなくなった」という状況を避けるためにも、洗濯表示は必ず確認しよう。短時間で洗濯物を乾かせる便利な乾燥機だが、少なからず繊維へのダメージがある。少しでも不安があるときは自然乾燥や浴室乾燥機に任せることをおすすめする。
(参考文献)