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灯油が入った赤いポリタンクの写真

古い灯油を使ってはいけない理由とは?見分け方や処分方法も解説!

投稿者:ライター 渡辺恵司(わたなべけいじ)

鉛筆アイコン 2022年1月12日

今シーズン余った灯油を「このまま入れておいてまた来年使おう」と思ったことはないだろうか?それはかなり危険な行為かもしれない。古い灯油を処分すべき理由を解説するとともに、古いかどうかの見分け方や、正しい処分方法や適切な保管方法までを徹底解説する。

  

1. 古い灯油を使ってはいけない理由

ポリタンクに灯油を給油しているところの写真
なぜ、古い灯油を使ってはいけないのか、どういったリスクがあるのかなどまずは基本的なところからお伝えしていこう。

変質しているおそれがある

灯油はいってしまえば「生モノ」だ。時間の経過とともに酸化し、成分に変化が生じて変質する。あるいは長期保管中、ポリタンクの成分が溶け出して変質するおそれもある。空気に触れた状態であれば、空気中の水分が混ざってしまうこともある。
こうした灯油は「不良灯油」と呼ばれ、使用に適さない。そのリスクについては後述するのでそちらをご確認いただきたいのだが、とにかく灯油は正しく保管したうえで、シーズン中に使い切るか、残ってしまったときは正しい方法で処分することが望ましい。

2. 古い灯油を使うとどうなる?

古い灯油を使ったことで異常燃焼を起こしている石油ストーブのイメージ写真
では古い灯油を使った場合、どういったリスクが想定されるのだろうか?

着火不良や燃焼不良、異常燃焼などが起こる

古い灯油を使ってしまうと、着火不良や燃焼不良、異常燃焼などが起こるリスクがある。それらが原因で、次のような予期せぬトラブルや事故が発生することもあるため、くれぐれも使用しないように気をつけよう。

【石油ストーブなどの故障を招くおそれ】

古くなって変質した不良灯油を使うことにより、石油ストーブやファンヒーターに不具合が生じ、故障したりキツいにおいが生じて目に染みるようになったりすることがある。実際に、古い灯油を使ったことによって消火後1時間ほど経っても小さな炎が消えず、緊急消化ボタンを押しても反応しなかったという例も報告されている(※1)。

【一酸化炭素中毒を招くおそれ】

不良灯油を使ったことにより不完全燃焼となれば、一酸化炭素中毒を招くリスクも生じる。一酸化炭素は無色無臭であるため、気づくのが遅れがちだ。場合によっては命が危険にさらされることもあるため「大丈夫だろう」と安易な気持ちで使用することは控えてほしい。

【火災発生時に火の勢いを増してしまうおそれ】

起こってほしくはないが、万が一火災が発生した際、処分せずに残っていた灯油に引火すれば火が勢いを増してしまうおそれもある。

古い灯油を保管しておくメリットはない

必ずしもそうなるわけではないかもしれないが、古い灯油はその危険性が非常に高まると思って間違いないだろう。こうしたことからも、古い灯油を処分せずに保管しておくメリットはないといってよい。「もったいない」と感じるかもしれないが、使いきれずに残ってしまった灯油は適切に処分することが大切だ。

3. 古い灯油かどうかの見分け方

灯油が入ったポリタンクと石油ストーブの灯油タンクの写真
その灯油が古い灯油なのか、劣化や変質が起こっている灯油なのかどうかなどの見分け方について覚えておこう。まずは正常な灯油がどういったものか覚えておくことが大切だ。

正常な灯油の状態とは

正常な灯油は無色透明である。不純物が混入しておらず、灯油特有のあのにおいがする。一方の古い灯油は上述のように不良灯油と呼ばれ、大きく「変質灯油」「不純灯油」に分けられる。これらの見分け方は次の通りだ。

変質灯油の見分け方

酸化などにより品質が変わってしまった灯油が変質灯油だ。薄く黄色みがかっていたり、どこか酸っぱいようなにおいがする場合は変質しているおそれがある。たとえそうした特徴が見られなくても、1シーズン持ち越したり高温になる場所で保管したりしていた灯油、直射日光が当たる場所に置いておいた灯油などは要注意だ。
そのほか水用(乳白色)のポリタンクに入れて保管していた灯油や、ふたが閉まっておらず空気に触れていた灯油なども変質しているおそれがあるため使わないようにしよう。

不純灯油の見分け方

不純物が混ざるなどしてしまった灯油が不純灯油である。たとえばゴミや水などが混ざってしまったもの、虫の死骸などが溜まっているものなどは不純灯油になる。ただしゴミや虫の死骸などであれば沈殿するし、水であれば分離するので見分けがつきやすい。
問題は、灯油以外のガソリンや軽油などを入れたことがあるポリタンクを使っている場合だ。分離が起こらない、あるいは分離していても気づかないおそれがある。これらは日頃から気をつけていなければならないことだが、過去にどういった使い方をしていたポリタンクか分からないというときもあるだろう。その場合は、念のため処分して新しい灯油専用のポリタンクを用意することをおすすめする。

4. 古い灯油の正しい処分方法

灯油の処分を受け付けてくれることがあるガソリンスタンドの写真
では、灯油の正しい処分方法とは何なのだろうか?自治体などでは回収してもらえないことがほとんどなので、以下のいずれかに処分をお願いしよう。

「灯油販売店」「ガソリンスタンド」に処分をお願いする

古い灯油の処分は、廃油処理が可能なガソリンスタンドまたは灯油販売店などにお願いするのがベストだ。処分してもらえるかどうかは店舗によって異なるため、まずは問い合わせてみよう。

【自治体に相談する方法もある】

お住まいのエリアに灯油を処分できるガソリンスタンドや販売店がないときは、自治体に相談してみよう。灯油の処分が可能な民間業者を教えてもらえることがあるからだ。

古い灯油の処分費用は?

処分してくれる業者や灯油の量などによっても変わるため、直接確認していただくのがもっともスムーズだ。無料のケースもあれば有料になるケースもあるだろう。有料の場合、おおよそ18Lのポリタンクあたり1,000円程度が目安になるだろう。

5. 古い灯油を処分する際の注意点

灯油を河川に流したことによる水質汚濁のイメージ写真
灯油を処分する際の注意点にも触れておく。

処分方法が明確でない業者には依頼しない

「なんでも引き取って処分する」と謳う不用品回収業者などに灯油の引き取りを依頼することは避けよう。処分方法が不透明なうえ、そもそも廃油を処分できる資格があるのかすら分からない。それに一般家庭から出る廃棄物を処理するには、自治体から「一般廃棄物処理業」の許可や委託を受けていることが大前提になる(※2)。
無許可の業者に頼んだ場合、法外な費用を請求されたり不法投棄されたりなど、なにかとトラブルの元になるので絶対に避けよう。

下水、河川などに流すのは絶対にNG

当然こうした方法もNGだ。環境汚染にもなるうえ、下水管の中で気化し何かのはずみで灯油に引火すれば、爆発など大事故につながりかねない。

自宅であろうと地中に流し込むのもダメ

灯油を誤ってこぼしてしまうケースは例外だが、たとえ自己所有の土地であったとしても、処分を目的に地中に流し込んではいけない。土壌汚染はもちろん、周囲の生態系に悪影響を与えてしまうおそれもある。

6. 灯油の適切な保管方法

灯油が入ったポリタンクを適切に保管しているところのイメージ写真
灯油はどのように保管すれば変質などを招くリスクが低減されるのだろうか?適切な保管方法について解説する。

灯油の適切な保管方法

  • 赤または青のポリタンクに入れて保管する
  • 直射日光を避け冷暗所で保管する
  • 火の気のないところで保管する
  • ゴミや虫の混入がない場所で保管する
  • ふたはしっかり閉めた状態で保管する
白や透明などのポリタンクは灯油の保管を用途としていないおそれがある。必ず赤など色つきのものを使おう。また直射日光や高温は灯油の変質を招く。同じく多湿な環境も結露による水の混入が考えられる。そうした場所は避けるべきだろう。どうしても日光や温度が高くなりがちなところに置く場合は、ポリタンクをダンボールなどで囲うなどして少しでも影響をなくすことだ。
なおポリタンクも経年劣化する。製造年月が本体に刻まれているはずなので、あまりに古いものは買い替えを検討しよう。

7. 古い灯油は使わずに正しい方法で処分しよう

新しい灯油を使って正常に燃焼している石油ストーブの写真
古い灯油を使用する危険性などについて解説してきた。たとえ透明で虫などの沈殿物が見られなくても、保管方法によっては変質しているおそれがある。「透明だからOK」「沈殿物がないからOK」「分離していないからOK」というものではないことも、改めて確認しておきたい。少しだけ使ってみて判断しよう、といったこともできる限り避けていただきたいところだ。
確かにもったいないかもしれないが、それにより発生する事故などのリスクを考え、古い灯油は適切に処分してほしい。複数のポリタンクに灯油を買うご家庭は、それぞれ日付を記録しておくなどすれば古い順に使っていけるだろう。

結論

古い灯油は不完全燃焼など重大な事故を招きかねない。適切に保管するとともに、シーズン中に使い切るか、余ったときは翌年に持ち越さずに正しく処分しよう。ベストな処分方法はガソリンスタンドや灯油販売店に持ち込むことだ。無許可の業者に頼んだり、川や土に流したりすることは絶対に避けてほしい。
(参考文献)
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  • 公開日:

    2020年3月29日

  • 更新日:

    2022年1月12日

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