1. 洗濯機の基本機能について
まずは洗濯機の基本機能について学んでおこう。
「洗い」「すすぎ」「脱水」の工程がある
以前は洗濯とすすぎが終わったあと、脱水のために別の槽に移す「二槽式洗濯機」が主流だった。だが今では、すべての工程を1つの槽で行う全自動洗濯機がほとんどだ(二槽式もある)。全自動洗濯機は初期設定のままでも基本的な洗濯ができ、使い方はとても簡単である。「洗い」で洗剤を使って汚れを落とし、脱水後にキレイな水で「すすぎ」をする。再び脱水をしたあと、二度目のすすぎを行い「脱水」をするというのが基本的なコースの流れだ。
設定は細かく変更することも可能
水量やコース(水流ややさしく洗うなど)を変更することで、洗濯にかける時間を変更したり、洗い・すすぎ・脱水それぞれの工程を個別に行ったりといった使い方もできる。またヒーターを内蔵した洗濯乾燥機なら、洗った衣服をそのまま乾燥させることが可能だ。
2. 洗濯機で洗えるもの・洗えないもの
衣類には洗濯機で洗えるものと洗えないものがある。正しく把握しておかないと、型崩れや色落ちなどトラブルを招くおそれがあるため気をつけよう。
洗濯表示を確認する
衣類についている洗濯表示を確認しよう。洗濯機または洗濯桶のマークがあればOKだ。ただし「手洗イ」と書かれていたり、洗濯桶に手のマークが入っていたりするものは洗濯機ではなく手洗いになるため覚えておこう。また洗濯表示には新旧があるうえ、水温や水流まで細かく指定されている衣類もある。ぜひ一度、消費者庁のサイトを見ておくことをおすすめする(※1・※2)。
3. 洗濯機を使うときに必要なもの
洗濯機を使うときに「必要」なものは洗剤だけである。ただし衣服の種類や求める仕上がりによっては、柔軟剤やネットがあったほうがよい。使い方をマスターするために、それぞれの効果や用途について、解説していこう。
洗濯用洗剤
衣類の汚れを落とす作用があり、洗濯機に入れて使うのが一般的だが、洗濯桶などを使って浸け置きする際に混ぜることもある。さまざまな成分が配合されていて、洗浄力や効果は商品によって異なる。液体や粉末、ジェルボールというようにいろいろなタイプに分かれるほか、洗浄力が高いものや、デリケートな衣類を洗うオシャレ着用など実に多彩だ。
柔軟剤
洗濯機の柔軟剤投入口に入れることで、柔らかくふんわりと仕上がる。商品によっては抗菌・防臭、香り付けができるものもあれば、静電気防止といった効果が得られるものも多い。
洗濯ネット
衣類同士の摩擦を軽減する役割があり、デリケートな衣類が傷んだり装飾品が取れたりといったリスクを防げる。衣服をキレイにたたんでから入れるのが正しい使い方だ。
漂白剤
シミやガンコな汚れなどを分解して落ちやすくするためのアイテムが漂白剤だ。大きく「塩素系」「酸素系」があり、塩素系は漂白力が強いため白物にしか使えない。一方、酸素系は塩素系よりも緩やかなため、色柄物などにも使えるものが多い(ただし使用前に確認はしていただきたい)。
4. 洗濯機のコースについて
洗濯機には標準コースのほか「ソフト」「毛布」「オシャレ」「手洗い」などいろいろなコースがある。呼称はメーカーや機種によって異なるが、おおよそ次の4種類だ。
標準(おまかせ)
ごく一般的なコースで、デフォルトで設定されているものなので、普段洗濯をする際はとくにコースを洗濯する必要はないだろう。
お急ぎ(スピード)
洗いの時間を短くしたりすすぎを減らしたりして、標準コースの半分程度の時間で洗濯を終わらせるコースだ。時間がないときだけでなく、ごく軽度の汚れを落としたいときなども便利である。
毛布(大物洗い)
毛布、大判のタオルケット、カーテン、敷きパッドなどいわゆる「大物」を洗うときのコースだ。標準よりも時間がかかるが、標準で洗ってしまうと洗濯機の故障を招くおそれがあるため大物はこのコースを選ぼう。
手洗い(オシャレ着、ドライ)
弱水流で優しく洗ってくれるコースがこちらである。手洗い指定の衣類を洗濯機で洗う際も、このコースを選ぼう。洗濯ネットに入れればさらに優しく洗い上げることが可能だ。
5. 洗濯機の使い方を分かりやすく解説
それでは、全自動洗濯機の使い方を解説していこう。ただし洗濯機によって若干、操作手順やボタンおよびコースの名称などが異なる場合があるため、取扱説明書も忘れずに確認してほしい。
洗濯機の基本的な使い方
- 洗濯表示を見て洗濯できる衣類であることを確認する
- ポケットにゴミや物が入っていないか確認する
- 電源ボタンを押して給水栓を緩める
- 洗濯物を投入する
- コースを設定してスタートボタンを押す
- 洗剤や柔軟剤を専用の投入口に入れる
- 洗濯機のフタを閉じて洗濯終了まで待つ
- 脱水まで終わったら速やかに取り出して干す
以上が洗濯機の基本的な使い方だ。柔軟剤を入れる場合は、洗剤とは別の柔軟剤投入口に入れるのが正しい使い方なので覚えておこう。またカビやにおいが発生するのを避けるため、洗濯が終わったら早めに取り出そう。
洗剤と柔軟剤の投入口が別々である理由
投入口の位置は洗濯機によって異なるが、基本的に洗剤と柔軟剤は投入口が別々になっている。これは、両者を同時に使うとそれぞれの機能を打ち消し合ってしまうからだ。それぞれが入る適切なタイミングも異なるため、うっかり間違えないように気をつけよう。とくに、柔軟剤の投入口に洗剤を入れてしまうのはNGだ。最後のすすぎの際に洗剤が加わることになるため、ヌルヌルの状態で洗濯が終わってしまうことになる。
6. 洗濯機を使う際の注意点
洗濯機を使う際の注意点をまとめたので、あわせて覚えておこう。
洗剤は適量を守る
少なすぎれば十分に洗浄できず、多すぎれば成分が溶け残り汚れとなるリスクがある。適量を守って洗剤を入れることが洗濯機の正しい使い方だ。なお多くのドラム式洗濯機では、洗濯物を入れると洗剤の適量が表示されるが、洗剤は商品によって成分や濃度が異なる。そのため、適量が洗濯機の表示と異なるケースもあることに留意するとともに、迷ったときは洗剤のパッケージに書かれている分量を優先しよう。一方、縦型洗濯機では水量にあわせて洗剤のパッケージに書かれている分量を入れればよい。
洗濯物を詰め込みすぎない
洗濯機には容量がある。オーバーすると洗剤が十分に行き渡らなくなったり、衣類の回りが悪くなり汚れが落ちなかったりする。消費電力が増え故障の原因にもなるので、洗濯物の入れすぎには注意しよう。とはいえ少量で何回も洗濯するのは電気代と水道代の無駄になるおそれがある。容量の7割くらいまでを上限にまとめて洗うのが賢い使い方だ。
給水栓は毎回締める
脱水が終わった洗濯物を取り出して干したら完了なのだが、ここでうっかり忘れてしまいがちなのが給水栓を締めるという作業だ。給水栓を開けっ放しにすると水漏れのリスクがある。毎回開閉するのはそれほど大した手間ではないので、洗濯が終わったら必ず閉める習慣を身につけておこう。
洗濯機のふたは少し開けておく
洗濯槽は湿気が溜まっている。ふたを閉めてしまうと湿気がこもり、雑菌の繁殖に好条件な環境となってしまう。全開とまではいかなくとも、洗濯が終わったらふたは少し開けておくようにしよう。
7. 衣類別・洗濯機で洗う際の注意点
続いては、衣類の種類別に洗濯機で洗う際の注意点をお伝えする。
ワイシャツ
襟や袖など汚れが付きやすい部分は、洗濯する前に部分洗いまたは浸け置き洗いをしておくとよい。洗濯ネットに入れる際は2〜3枚程度にしておこう。またシワを防ぐため、脱水は短め(30秒ほど)にするとよい。
トレーナー
厚手のものが多いため、脱水をしても水分が多く残ってしまうことがある。そのまま干すと自重で伸びてしまうおそれがあるので、脱水は入念に行おう。
セーター
伸び縮みするのを防ぐため、ジャストサイズの洗濯ネットに入れるとともに、素材が傷むのを防ぐためオシャレ着用の洗剤を使って優しい水流で洗濯しよう。
カーテンや毛布
掃除機などで表面のホコリを取り除いておこう。洗濯槽の中にホコリが溜まるとほかの衣類に付着するなどして汚れてしまうためだ。また洗う際はオシャレ着用の洗剤を使い、蛇腹(ジャバラ)状に折って弱水流モードで洗うのが基本だ。
8. 洗濯機のお手入れについて
洗濯機に汚れが溜まってしまうと、カビが生えたり汚れ落ちが悪くなったりする。最悪の場合、排水ホースや排水口が詰まって水漏れを招くおそれもあるため、こまめなお手入れが重要だ。
フィルターは毎回掃除する
洗濯機にはごみ取りネットや糸くずフィルターなどが搭載されている。ドラム式は毎回掃除するものが多いが、縦型はうっかり見逃しがちだ。ゴミが溜まると汚れがしっかり落とせなかったり、排水口を詰まらせたりすることがあるため、できれば毎回掃除しておこう。
洗濯槽を定期的に洗浄する
洗濯槽は目に見える部分がキレイでも、裏側には黒カビがびっしり生えているということも多い。せっかく洗濯をしても、カビが衣類に移れば台無しである。市販の槽洗浄クリーナーを使って、3カ月に1回など定期的に洗浄しておこう。
排水口を掃除する
ごみ取りネットなどで拾いきれなかった糸くずや髪の毛、洗剤のカスなどは排水口に溜まる。放置していると水が流れなくなり溢れ出てしまうことも考えられるため、やはり定期的に目視してゴミが溜まっているようであれば取り除いておこう。
9. 洗濯にまつわる疑問にお答え
最後に、洗濯機を使ううえでよくある疑問にお答えしよう。
洗濯機で洗えないものは?
洗濯表示で手洗いが指定されていたり、手洗いすらもNGだったりする衣類もある。前者は手洗い洗濯でOKだが、後者はその手洗いすらもできないため、クリーニング店に持ち込むなどしよう。
シミやにおいが付いた洗濯物は?
液体タイプの酸素系漂白剤の原液をシミや汚れなどに直接染み込ませ、揉み込んでから洗濯しよう。これだけでも汚れ落ちがかなり変わってくるので、ぜひ覚えておいてほしい。
色移りしてしまった洗濯物は?
桶などにたっぷりのお湯をはり、規定量の3倍ほどの洗剤を溶かす。そこへ色移りしてしまった衣類を浸け置きし、30分ほど経ったら様子を見てみよう。落ちていればそのまま標準コースで洗濯すればOKだ。落ちないときは漂白剤を使うなどしよう。
すすぎは1回?2回?
洗剤のパッケージに書かれている説明にしたがい、すすぎの回数を設定しよう。標準コースであれば2回が基本である。ただし最近では「すすぎ1回」と記載がある商品も増えてきた。その場合は1回に設定してもOKだが、粉末洗剤を使用する場合は溶け残りをなくすため2回を原則としよう。
結論
洗濯機の使い方は意外と奥が深い。全自動であっても人が判断しなければならないことは多々ある。衣服をキレイに洗い上げるためにも、基本的な知識を頭に入れておこう。コースを変更したり洗剤を使い分けたりできるようになれば、洗濯上級者も近づくはずだ。
(参考文献)
- 1:消費者庁「洗濯表示(平成28年11月30日まで)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash.html - 2:消費者庁「洗濯表示(平成28年12月1日以降)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_01.html