1. ドラム式洗濯機とは?縦型と何が違う?
ドラム式洗濯機と縦型の違いといえばその見た目だが、実は「洗濯方式」にも大きな違いがある。まずは基本的なところを解説しよう。
ドラム式洗濯機は「たたき洗い」
ドラム式洗濯機はドラムが横または斜めに設置されている。回転するたびに衣類が持ち上げられて下に落ちるという、いわゆる「たたき洗い」でキレイにする仕組みだ。なお本稿における「ドラム式洗濯機」は乾燥機能を備えている製品と解釈していただきたい。
縦型洗濯機は「こすり洗い(もみ洗い)」
一方の縦型は円筒の洗濯槽に水を溜めて回転させ、遠心力と衣類同士がこすれ合う力でキレイにする「こすり洗い(もみ洗い)」という仕組みである。
2. ドラム式洗濯機のメリット
それでは、ドラム式洗濯機の主なメリットからお伝えする。
縦型よりも節水性に優れている
ドラム式洗濯機は縦型に比べ水量が少なくて済むものがほとんどだ。同じ容量の洗濯物を洗う場合、必要な水量は約2分の1になるなど、節水効果はかなり高いといえるだろう。
乾燥性能に優れている
ドラム式洗濯機は衣類が空気に触れやすい形状のため乾燥時間が短く済む。節水に加え電気代の節約にもなるというわけだ。しかも乾燥方式が「ヒートポンプ式」のものは低温で乾燥させるため、衣類を傷めるリスクも少ない。
洗濯物が絡まりにくい・傷みにくい
上述のように、ドラム式洗濯機はたたき洗いでキレイにする仕組みだ。縦型のこすり洗い(もみ洗い)と比べて衣類が絡まりにくく、素材も傷みにくいといったメリットがある。
本体上部にモノを置きやすい
ドラム式洗濯機の扉や洗剤の投入ケースなどは手前に開くようになっており、上部が平らなものがほとんどだ。そのため洗剤などちょっとしたモノを置いておくにも便利である。ただし洗濯や乾燥の最中は揺れるため、落ちないようにする工夫は必要だ。
「干す」「取り込む」などの手間が省ける
洗濯から乾燥までこなしてくれるドラム式洗濯機は、乾燥機能なしの縦型のように脱水が終わったら取り出して干す、乾いたら取り込むといった手間がかからない。夜寝る前に洗濯機を回しておけば翌朝には乾いているため、忙しいご家庭はとくにその便利さに感動することだろう。
3. ドラム式洗濯機のデメリット
さまざまなメリットがある一方、ドラム式洗濯機にもデメリットがある。後悔しないためにも、メリット・デメリット両方を正しく理解しておくことが大切だ。
縦型と比べて高価な商品が多い
メーカーや機種、大きさなどにもよるが、同じような容量だった場合、縦型よりもドラム式洗濯機のほうが高価であることがほとんどだ。乾燥機能を始めとした最新技術が搭載されたものであれば、縦型に比べて5~10万円ほど高いものも珍しくない。
洗浄力がやや劣る
お伝えしたように、ドラム式洗濯機はたたき洗いでキレイにする。大量の水でこすり洗い(もみ洗い)をする縦型に比べると、泥など固形の汚れに対する洗浄力はやや劣るとされている。とはいえ浸け置きや手洗い、部分洗いなどでも対応できるし、温水で洗濯できる機種も増えている。洗浄性能については、古い機種でない限りそこまで心配することはないだろう。
縦型よりも色移りしやすいケースがある
水量が少なくて済む分、縦型と比べると洗濯物が色移りしやすいとされている。ただしこちらも「必ず色移りしてしまう」といったひどいものではない。一緒に洗う洗濯物をきちんと仕分けすれば、そこまで心配する必要はないだろう。
十分な設置スペースが必要
縦型と比べて大きいこともデメリットになるかもしれない。とくに賃貸物件にお住まいの場合、洗濯機置き場のスペースが限られており、その幅に収まらないこともある。加えて扉が前方に開くため、可動域分のスペースも必要だ。
途中で洗濯物を追加できない
ドラムが真横のタイプは、縦型のように洗濯の途中で一時停止をして洗濯物を追加するといったことが難しい。さほど重要なデメリットではないかもしれないが「靴下を入れ忘れた」などということもあるだろう。心配な方は、ドラムが斜めになっているタイプを選ぶとよい。
4. 縦型洗濯乾燥機のメリットとデメリットは?
せっかくなので、比較する際の参考として従来の縦型洗濯乾燥機に関するメリット・デメリットもおさらいしておこう。
メリット:固形汚れに強い
大量の水を使ってこすり洗い(もみ洗い)をするため、ドラム式洗濯機と比べて泥などの固形汚れをしっかり落としやすい。
メリット:イニシャルコストが割安
同じ容量だった場合、ドラム式洗濯機よりも価格が安いものがほとんどだ。
メリット:狭いスペースにも設置できる
もちろん一定以上のスペースは必要だが、縦長なのでドラム式洗濯機よりも狭いスペースに設置できる。扉が上に開くため、四方にスペースの余裕がない場所に置けるのもメリットだろう。
デメリット:節水効果や節電効果は期待できない
洗濯槽いっぱいに水を溜めて洗濯するため、一度に使う水量が多い。また乾燥も、熱効率がよくない「ヒーター式」を採用している製品が多く、ドラム式洗濯機と比べると電気代がかかるおそれがある。こうした点はデメリットになるだろう。
デメリット:衣類が絡まりやすい・傷みやすい
遠心力で洗う縦型の洗濯機は、とくに脱水時などに衣類が絡まりやすく、またこすり洗い(もみ洗い)をすることから繊維が傷みやすい。
デメリット:乾燥が得意ではない
縦型の乾燥は時間がかかるうえ、終わっても一部が生乾きのままということもある。ドラム式洗濯機と比べて乾燥性能は期待できないだろう。高温で乾燥させるため衣類が傷みやすいのも欠点だ。
5. ドラム式洗濯機の選び方
各メーカーからさまざまなドラム式洗濯機が発売になっている。もちろん最終的にはお好みでOKなのだが、絞り込むうえで着目すべきポイントがあるのでお伝えしておこう。
洗濯機置き場に収まるサイズか
設置場所に収まるサイズであることが大前提だ。洗濯機置き場の寸法は必ず測っておこう。なお扉の開閉にどれくらいのスペースが必要になるかもチェックしておくことをおすすめする。
問題なく搬入できるか
とくに気をつけたいのが集合住宅にお住まいのご家庭だ。室内の洗濯機置き場に収まるサイズであっても、マンションのエントランス、エレベーター、玄関ドアなどから入らなければ搬入できない。階段から搬入するのであれば障害物の有無を確認するとともに、追加料金が必要になるかどうかも聞いておくと安心だろう。
容量は十分か
1人1日1.5kgの洗濯物が出るといわれている。毎日洗濯機を回すご家庭であれば、これに家族の人数をかけたうえで少々余裕がある容量のものを選ぼう。週末にまとめ洗いするご家庭や、毛布あるいは布団などを洗うというご家庭は、より大きな容量のものが必要になると考えておこう。ちなみに、洗濯容量よりも乾燥容量のほうが少ないのが一般的だ。その場合、少ない方を基準に選ぶことになるため注意しよう。
ヒートポンプ式かヒーター式か
ドラム式洗濯機の乾燥方式にはヒートポンプとヒーターがある。ヒートポンプ式は低温の風で乾燥させるため衣類が傷みにくい。省エネ性能にも優れ乾燥時間も短くて済む。ただし比較的高価であるのが難点か。一方ヒーター式は比較的安価な製品に採用されている。電気で高温にして乾燥させるため電気代がかかるほか、高温によって衣類が傷む場合もある。
扉は右開きか左開きか
開く方向で使い勝手が大きく変わってくるため、必ずチェックしておくことだ。左右両方に十分なスペースがある場合はそこまで気にしなくてもよいかもしれないが、右側に壁があるなら右開きを、壁が左側なら左開きを選ぶと使いやすいだろう。
お手入れのしやすさはどうか
ドラム式洗濯機は乾燥フィルターや糸くずフィルターなど、縦型と比べるとお手入れが必要な箇所が多い。自動洗浄機能や取り外しの可否を確認して、お手入れしやすいものを選ぶとよいだろう。
洗剤の自動投入機能は搭載されているか
ドラム式洗濯機の最新機種には、洗剤の自動投入機能が付いているものがある。毎回洗剤や柔軟剤を入れる手間を省けるので便利だ。洗剤を計量して入れるのが面倒な方はぜひほしい機能だろう。ただし投入した洗剤の残量を把握しておくことも大切なので覚えておこう。
チャイルドロックなど安全機能は搭載されているか
小さな子どもがドラム式洗濯機の中に閉じ込められてしまうという事故が多発している。ペットが入ってしまうおそれも決してゼロではない。チャイルドロックあるいはドアロックといった安全機能が搭載されているかどうかも、忘れずにチェックしておこう。
6. ドラム式洗濯機のお手入れ方法は?
詳しくは、お使いの(またはこれから購入する)ドラム式洗濯機の取扱説明書をチェックしていただきたいのだが、基本的なお手入れ方法は知っておいたほうがよいだろう。
フィルターは毎回掃除する
乾燥フィルターや糸くずフィルターなどは、使用するたびにお手入れをするのが基本だ。汚れが溜まると十分な性能を発揮できなくなるだけでなく、詰まりや水漏れなどの要因にもなりかねないため注意しよう。
定期的に洗濯槽を洗浄する
ドラム式洗濯機に限ったことではないが、洗濯槽は一見キレイでも裏側には汚れや黒カビがんびっしりこびりついていることが多い。市販の槽洗浄クリーナーなどを使って、1カ月に1回など定期的に洗濯槽を洗浄しよう。
結論
洗濯から乾燥まで全自動のドラム式洗濯機は、花粉や梅雨の時期などにとくに重宝するだろう。価格は高いが、洗濯物を干す・取り込むといった時間を省ければ家事の時短にもなるし、自分の時間にも余裕ができる。とはいえ安い買い物ではないので、買い替える際はじっくり検討することが大切だ。