目次
- 1. 木材のカビ取りは自分でできるのか?
- 2. 木材のカビ取りに必要な道具と洗剤
- 3. 木材のカビ取り方法
- 4. 木材の種類でもカビ取りのポイントが異なる
- 5. 木材のカビ取りを業者に頼んだほうがよいケースとは?
- 6. 木材のカビを予防する方法
- 7. 木材のカビを放置するリスクと懸念される健康被害
- 8. 木材のカビ取りにおすすめのアイテム3選
1. 木材のカビ取りは自分でできるのか?

木材に黒い斑点やシミのようなものを発見したらカビかもしれない。自分でカビ取りできるかどうか、その目安を知っておこう。
表面のごく軽いカビであれば取り除ける可能性がある
ごく一部または表面だけなど、それほど重度でなければ自分でカビ取りできる可能性がある。必要な道具ややり方などは後述しているので、そちらを参考にしていただきたい。
ひどいカビや時間が経ったカビは難しい
一方、発生から時間が経ってしまったカビや、広範囲または頑固なシミのようになった重度のカビなどは自分で除去するのが難しい。とくに黒カビは木材の奥深くまで根を張ってしまうため、仮に表面を取り除けても再発するリスクが高い。ハウスクリーニングといった業者を呼んで徹底的に退治してもらうか、家具であれば買い替えることも検討しよう。
2. 木材のカビ取りに必要な道具と洗剤

自分でカビ取りできるレベルだった場合の対処方法をお伝えしていく。まずは、次のような道具を用意しておこう。
手袋やマスクなどの保護具
木材のカビ取りをする際、カビに直接触れないようにゴム手袋を着用しよう。またカビの胞子が飛散するため、吸い込まないようにマスクを着用するとともに、可能であればゴーグルやメガネなども身につけておこう。また服装はすぐに洗濯ができるものが望ましい。三角巾や帽子などで髪の毛を保護するのもおすすめだ。
ティッシュや雑巾
雑巾であれば使い捨てできるものが望ましいが、場合によってはコストがふくらむ。拭くたびに捨てられるティッシュやキッチンペーパーなどがあると便利だろう。とくにキッチンペーパーは、厚手なので拭いてもボロボロ崩れにくい。
木材専用のカビ取りスプレー
カビ取りスプレーを使う場合、木に染み込んでシミになる場合があるので注意が必要だ。目立たないところに少量かけてシミにならないか確認してから使うとよい。家具・フローリング・畳用のものは、木でも問題なく使うことができる。強力なカビ取り剤やカビ取りスプレーの中には、使用すると木が腐食してしまうものがあるので気をつけるとよい。
【カビキラー、カビハイターといった製品はNG】
カビ取り剤としてパッと思い浮かぶのが「カビキラー」や「カビハイター」といった洗剤ではないだろうか?だがこれらは木材への使用を想定していない。染み込んだり変色したりといったリスクがある上、なんらかの事故が発生しても用途外のため対応してもらえないことが考えられる。木材に洗剤を使う場合は、必ず「木材専用」「木材にも使える」といったものを選ぼう。
消毒用エタノール(アルコール除菌スプレー)
消毒用エタノール(アルコール除菌スプレー)も木材のカビ取りに使える場合がある。表面的なごく軽いカビであれば根絶できることもあるうえ、揮発性が高いことから木材に使用しても染み込みにくいという利点がある。
紙やすり
カビを物理的に削り取ってしまうのであれば紙やすりもおすすめだ。カビの色素などが残ってしまった場合などにもこの方法が使える。紙やすりには番号がついており、大きいほど目が細かい。
3. 木材のカビ取り方法

木材のカビ取り方法を紹介していこう。まずは木材専用、あるいは木材にも使用できるというカビ取り剤を使う方法から説明する。
木材専用のカビ取りスプレーを使う場合
商品ごとに使用方法が異なるため、詳しくはパッケージなどをご確認いただきたいのだが、基本的な使い方は大きく変わらない。木材専用あるいは木材に使用できるカビ取りスプレーを用意し、カビにたっぷり吹きかける。
30分など所定の時間放置したら、捨ててもよい歯ブラシなどを使って木目に沿ってこすり落としていく。キレイに除去できたら成分が残らないように水拭きし、乾拭きで仕上げれば完了だ。
消毒用エタノール(アルコール除菌スプレー)を使う場合
ティッシュやキッチンペーパー、あるいは雑巾などに消毒用エタノールをたっぷり含ませ、カビを拭き取る。目に見えない胞子が付着していることもあるため、やや広範囲を拭くようにするとよいだろう。そのまま乾燥させれば完了だ。
紙やすりを使う場合
上述したように、紙やすりには番号が振られている。まずはまずは200番台などの中目を使い、大まかにカビを削り取っていこう。キレイになったら、仕上げに300番台の細目でこすれば見た目もツルツルになるはずだ。ただし、木材を傷つけるリスクがあるほか、塗装などが剥がれるおそれがあるため人工木などには使わないほうがよいだろう。
4. 木材の種類でもカビ取りのポイントが異なる

住宅や家具に使用されている木材には種類がある。主にチェリー材、オーク材、パイン材、アルダー材などがある。それぞれ適したカビ取り方法があるので、材質にも注目することが大切だ。
チェリー材やオーク材のカビ取りのコツ
チェリー材は耐久性に優れ水にも強い木材だ。多くの家具やフローリングに使われている。一方のオーク材はフローリングのほかテーブルなどにも使われることが多い。これらの木材は、紙やすりを使ってもカビ取りの跡が残りづらい。木材専用などのカビ取りスプレーもしくは消毒用エタノールを使ったカビ取りを基本としよう。
パイン材やアルダー材のカビ取りのコツ
パイン材は色が白っぽいため北欧風のインテリアに、アルダー材はカントリー風のインテリアに使われることが多い。この2つの木材は柔らかいため、湿気を吸収しやすくカビも生えやすいうえ、傷付きやすいという欠点がある。カビ取り剤を使うと腐食するリスクがあり、紙やすりを使うのも難しい。消毒用エタノール(アルコール除菌スプレー)でカビ取りをする程度に留めておくことが大切だ。
5. 木材のカビ取りを業者に頼んだほうがよいケースとは?

自分でできるカビ取りには限界がある。次のようなケースは業者に依頼することを検討したほうがよいだろう。
自分でカビ取りを試したが取り除けない
本稿で紹介してきた、カビ取りスプレーや消毒用エタノール、紙やすりなどを使ってみてもキレイに取り除けないといった場合、業者に依頼したほうが早い可能性がある。もちろん、繰り返しカビ取りスプレーや消毒用エタノールなどを使っていけば少しずつキレイになることもあるが、それにより木材を傷めることもある。それであれば最初から業者に依頼したほうがよいだろう。
カビが広範囲に生えている
木材の広範囲にわたってカビが生えているなど、明らかに「重度」と思われる場合は、業者に依頼したほうが賢明だ。コツコツ除去するのはかなりの重労働になるうえ、カビ取りスプレーを大量に使うなどした場合、木材を傷めるおそれがある。
カビ取りスプレーや紙やすりなどが使えない
パイン材やアルダー材などは、せいぜい消毒用エタノールを使う程度だ。このためキレイに取り除けないことが多い。範囲や程度にもよるが、そうした木材に発生したカビ取りは、最初から業者に依頼することも検討しよう。
カビ取りをしてもすぐに再発してしまう
カビがすぐに再発する場合、木材の奥深くまで根を張っていることが考えられる。湿度管理や結露対策などを講じても生えてしまうのであればなおさらだ。こうしたケースも業者に依頼してクリーニングしてもらうといった方法がおすすめだ。
6. 木材のカビを予防する方法

カビ取りができたら、次は再発を防ぐための対策を講じることが重要だ。いずれも簡単にできる方法なのでぜひ実践してほしい。
こまめに空気を入れ替える
気密性が高い住宅は外気が入りにくく、室内に湿気がこもりやすい。意識的に空気の入れ替えをすることが大切だ。空気を入れ替えることで、湿気だけでなくホコリも外に逃がすことができる。換気の際は空気の流れができるよう、対面の窓なども開けるようにしよう。
除湿などの結露対策を講じる
エアコンのドライ機能や除湿機などを使い、湿度をコントロールして結露対策することも、木材のカビを防ぐ方法のひとつだ。湿度計があれば除湿のタイミングを把握できるので便利であろう。カビが生えやすい湿度は70%以上といわれているため、40〜60%に保てるように工夫しよう。
空気が通りやすい家具の配置に変える
木製の家具を壁にピッタリつけていると、空気や湿気の逃げ場がなくホコリも溜まりやすい。すなわちカビが生えやすいということだ。壁から数センチ離した位置に設置するとともに、家具同士も隙間をあけて空気の通り道を作ってあげるとよいだろう。
こまめに掃除をする
掃除を欠かさないこともカビ予防につながる。掃除機だけではホコリを巻き上げてしまうため、先にフロアモップなどで大まかなホコリを取り除いてから掃除機がけをしよう。家具の側面や壁は、除電ブラシなどを使うと効率よくホコリを取ることができる。
ワックスでホコリが付着するのを防ぐ
フローリングや家具にワックスを塗っておくと、汚れがつきにくく掃除もしやすい。防カビ効果のあるワックスを使うのもおすすめだ。
7. 木材のカビを放置するリスクと懸念される健康被害

カビは見た目が不衛生なだけでなく、胞子を体内に吸い込むことなどによっては健康被害をもたらすこともある。こうしたことからも、木材のカビは放置せず速やかに取り除くことが大切だ。
せき、ぜんそく、肺炎などを招くおそれ
人によっては、カビの胞子を吸い込むことでせきや肺炎を起こしたり、ぜんそくを発症したりすることがある。とくにぜんそく持ちの方は、フローリングや木の棚を掃除するときにも必ずマスクを着用することが大切だ。
アレルギーを発症するおそれ
カビの胞子を吸い込むことにより、鼻炎などのアレルギー症状を招くことがある。いったんアレルギーが出ると完治が難しいといわれている。くれぐれも、カビを放置して長期間胞子を吸い込むといったことがないように注意しよう。
食中毒を招くおそれ
カビが生えている木製の棚などに食品を入れていた場合、知らずに口にしてしまうと食中毒を起こす危険性がある。木製の棚にカビが生えてしまったときは、中に置いてあるものもすべて掃除するとともに、もったいないが食べ物は処分したほうがよいだろう。
8. 木材のカビ取りにおすすめのアイテム3選

最後に、木材のカビ取りを自分でする際にあると便利なアイテムを紹介しよう。
ビーワンコーポレーション「カビホワイト カビソフト除去スプレー」
木材はもちろん、レースのカーテンや布団、畳やマットレスなど洗剤を使いにくいものに発生したカビを取るための専用洗剤だ。1本持っておくと重宝するかもしれない。
純閃堂「防カビ侍 水性タイプ」
こちらは「カビを落としたあと」に使用する洗剤だ。木材などあらゆる素材に使用できるもので、スプレーしたあとは12カ月など年単位で防カビ効果が持続する。
リバティライフ「強力カビ取り剤 カビラボ」
プロが使う業務用と同じ中身という、商品名通り強力なカビ取り剤である。もちろん木材にもOKだ。使用後は1〜3カ月程度の防カビ効果も期待できるという。
結論
木材のカビは、軽度であれば自分で取り除けることもある。紹介したやり方などを参考に、木材の種類に合わせて適切な掃除方法を選ぼう。またカビによる健康被害を防ぐため、日頃からカビ対策を講じるとともに、カビ取りをする際もマスクやゴーグルなどで皮膚や粘膜を保護するなどしよう。