目次
1. シルクの特徴

シルクといえば「美しい」イメージだろう。フォーマルな衣装にもよく使用される素材で、最高素材ともいわれる。なぜこんなにも美しいのだろうか?アイロンがけの前に、簡単にシルクの魅力について解説しよう。
通気性・吸湿性・保温性に優れている
シルクといえばその見事な光沢ばかりが目につくかもしれないが、実は高い通気性と吸湿性、そして保温性を備えた優秀な素材なのである。個人差はあるが、一般的に呼気や皮膚から失われる水分は1日900ml程度といわれている。衣類の快適さは、この水分をどう対処するかで決まる。
上述のように通気性と吸湿性、そして保温性すべてに優れているシルクは「冬は暖かく夏は涼しい」といった特徴がある。着心地がよいのもシルクのそうした性質によるものだ。だが一方で静電気を溜め込む性質もあるため、乾燥した時期は静電気対策が必要になる。
上述のように通気性と吸湿性、そして保温性すべてに優れているシルクは「冬は暖かく夏は涼しい」といった特徴がある。着心地がよいのもシルクのそうした性質によるものだ。だが一方で静電気を溜め込む性質もあるため、乾燥した時期は静電気対策が必要になる。
2. シルクにアイロンをかけても大丈夫なのか?

高価なシルク製品だった場合、アイロンがけに失敗してしまうとショックも大きい。高級素材として知られるシルクは、アイロンがけをしても問題ないのだろうか?
アイロンがけOKの製品が多い
シルクはインナーやストッキング、スカーフやネクタイ、シャツや着物など幅広いアイテムに活用されている。そのため洗濯の機会も自然に増え、シワが気になる衣類も出てくるだろう。実は、シルクはデリケートな素材ではあるが基本的にアイロンがけできる製品が多い。正しいアイロンのかけ方を身につければ、お気に入りのシルク製品を長持ちさせることができるだろう。
3. シルクにアイロンをかける際のポイント

シルクにアイロンをかける際、最低限押さえておきたいポイントがある。
アイロンの温度は「低温」にする
シルクはデリケートでシワができやすい素材ではあるが、低温であればアイロンがけがOKというアイテムが多い。とはいえ、もちろん洗濯表示を事前に確認することは忘れないようにしよう。洗濯表示には新旧があり、それぞれ若干、表記や意味合いが異なる(※1・※2)。
短時間で手早くかける
じっくり丁寧にアイロンがけをしたくなるかもしれないが、繰り返し圧を加えたり摩擦を起こしたりすると、毛羽立つなどして劣化が早まってしまう。時間をかけず手早くアイロンがけをするのがポイントだ。
当て布を使う
アイロンの温度は低温でも80℃から最大で120℃程度になる。この熱を直接シルクに加えてしまうと大きなダメージとなるおそれがある。したがって、デリケートなシルクにアイロンをかける際は当て布をするのが基本であると思っておこう。当て布があるかないかでシルクへの負担が大幅に変わってくる。なお当て布は綿100%のハンカチなどでもOKだが、色移りなどを防ぐため白物を使おう。
スチームは極力使わない
シワ伸ばしにはスチーム機能が活躍するが、水滴がそのままシミとなって残ってしまうことがある。また水が汚れていた場合などもシミの原因となることがある。濡れた状態でアイロンがけをすることでシルクが傷むおそれもあるため、ドライアイロンを基本にしよう。どうしてもスチームを使わなければならないときは、スチームの量を抑えるなどして対策しよう。
4. アイテム別・シルク製品にアイロンをかける際のコツ

続いてシルクを使ったアイテム別に、うまくアイロンがけをするコツを見ていこう。
シャツ
シルクのシャツをアイロンがけする場合、肩など立体的な部分が難しい。厚手のタオルを丸めてシャツの中に挟み、その上から当て布をしてアイロンをかけるとよいだろう。
ネクタイ
シルクのネクタイは、ふっくらと厚みを出すアイロンのかけ方がおすすめだ。ネクタイの裏側から折り目部分に菜箸を差し込み、当て布をしながらスチームを当てる。反対側も同様に行えばふっくら仕上がるはずだ。
スカーフ
シルクのスカーフはアイロンを使わなくてもキレイにシワが取れる。入浴直後の浴室など、湿度が高い場所に吊るしておこう。
5. シルクのアイロンがけに失敗したときの対処方法

慎重にアイロンがけしたつもりでも、失敗してしまうことがある。シルクのアイロンがけにおける失敗といえば「テカリ」「焦げ」「シミ」などだろう。それぞれ、対処方法をお伝えするので慌てずに試してみてほしい。
テカッてしまったときの対処方法
アイロンがけによりシルクがテカッてしまったときは、まずは当て布の上からスチームアイロンをかけて素材を柔らかくしよう。次に、デリケート地用の洋服ブラシで表面をなでて繊維を起こすことで対処できる。
焦げたときの対処方法
うっかりアイロンの温度を上げすぎた場合など、シルクが焦げてしまうことがある。そんなときは、オキシドールを焦げた部分に塗布して、乾く前に再度塗るといった作業を繰り返してみよう。徐々に焦げが薄くなっていくはずだ。無事に消えたら再度アイロンをかけて仕上げよう。
水シミができたときの対処方法
スチームアイロンを当てた際など、シルクに水シミができてしまうことがある。そのときは霧吹きを使おう。できる限りの細かい霧で、シミの部分をいったん濡らしてから乾かせば取れる。ただし頑固な水シミは霧吹きだけでは消えないことも多い。そういったケースでは、オシャレ着用中性洗剤を薄めたものをシミに塗って優しくこすり、その後タオルで洗剤を拭き取って乾かしてみよう。
6. シルクのシワをアイロンを使わずに伸ばす方法

シルクにはアイロンかけることができると分かっていても、高価だったり高級だったりデリケートだったりと、扱いが難しく不安な方もいるだろう。あるいは出張や旅行などでアイロンがないこともある。アイロンを使わずにシルクのシワを伸ばす方法もあるので、覚えておくと便利だ。
お風呂場に干す
アイロンを使わないシルクのシワ取りでもっとも手軽な方法だ。入浴直後の蒸気が充満しているお風呂場に干そう。水分を含んでシワが自然と伸びてくれる。
霧吹きをして干す
軽度のシワなら霧吹きだけでもよい。シルクに水分を含ませてから風通しのよい場所で陰干しをしよう。アイロンを使わずとも、1日干しておけばシワが取れるはずだ。
7. シルクのアイロンがけはコツを掴めば簡単!

シルクは意外と簡単にアイロンがけができる素材だ。アイテムによって注意点やコツは異なるが、基本的には「低温に設定する」「手早くかける」「当て布をする」「スチームは使わない」というコツを押さえておけば失敗するリスクは非常に小さくなる。
とはいえ不安な方もいるはずなので、そのときは入浴直後の浴室に吊るしたり、霧吹きを使ったりして対処しよう。
とはいえ不安な方もいるはずなので、そのときは入浴直後の浴室に吊るしたり、霧吹きを使ったりして対処しよう。
結論
シルクは多くの衣類に使われていることから、おのずとアイロンがけする機会も増える。だがアイロンがけそのものは非常にシンプルなので安心してほしい。本稿で紹介したコツや注意点などを参考に、ぜひシルクの正しいアイロンがけの方法をマスターし、お気に入りを長持ちさせてほしい。
(参考文献)
- 1:消費者庁「洗濯表示(平成28年11月30日まで)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash.html - 2:消費者庁「洗濯表示(平成28年12月1日以降)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_01.html