- 1. 「柔軟剤は使わないほうがよい」は本当なのか?
- 2. 柔軟剤を使わないことのメリット
- 3. 柔軟剤を使わないことのデメリット
- 4. 柔軟剤を「使う」「使わない」は洗濯物で分けるとよい
- 5. 柔軟剤を使わないでタオルを柔らかくする方法
- 6. 柔軟剤を使わないで洗濯するときの注意点
- 7. 使わない柔軟剤の正しい処分方法
- 8. 柔軟剤を「使わない」という選択肢があることも覚えておこう
- アウター、上着
- シャツ、ブラウス
- セーター など
- タオル、マイクロファイバークロス
- 敏感肌の方の衣類、ベビー服
- 防水性や耐火性のある衣類 など
1. 「柔軟剤は使わないほうがよい」は本当なのか?
洗濯洗剤と柔軟剤は2つで1つ、そう考えている方も多いだろう。ところが巷では「柔軟剤は使わないほうがよい」などといわれることもある。果たして本当に使わないほうがよいのだろうか?
柔軟剤を使わないほうがよいといわれる理由
そもそも、柔軟剤は硬水で洗うことで洗濯物がゴワつきやすくなる海外で生まれたものだ。ご存知の通り日本は軟水ゆえ「必要」かどうかと問われると疑問符が付く。しかも洗濯物をコーティングする働きがあることから、洗濯洗剤と違いすすいでも衣類などに残るよう作られている。
確かに柔軟剤を使えばふわふわに仕上がる、いい香りがするなどいろいろなメリットもあるが、すすいでも残る成分が場合によってはデメリットになることもある。具体的には「タオルの吸水性が落ちる」「生乾き臭がすることがある」「洗濯槽にカビが生える」などだ。
最終的にはお好みで判断を
以降、柔軟剤を使わないことで得られるメリット、および使うことによるデメリットを解説する。一長一短があるため、双方を把握した上で最終的に判断していただければ幸いだ。
2. 柔軟剤を使わないことのメリット
それでは、柔軟剤を使わないことで生まれるメリットについて詳しく見ていこう。
タオルの吸水性がアップ(回復)する
柔軟剤には「界面活性剤」が含まれている。柔軟剤を使うことにより、その界面活性剤が洗濯物の表面に薄い膜を張り、吸水性を悪くすることがある。とくにタオルなどは吸水性の高さが大切だ。柔軟剤を使わないことで吸水性がアップし(回復し)、快適に使えるというメリットが考えられる。
皮膚のかぶれを防げる
敏感肌の方などは、柔軟剤を使った衣類を着ることでかぶれることがある。これも、柔軟剤に含まれる界面活性剤の影響だ。肌が弱い方や乳児などの衣類やタオルには、柔軟剤を使わないほうが無難だろう。
ランニングコストを減らせる
柔軟剤入りの洗剤を愛用しているご家庭にはやや的外れかもしれないが、洗濯洗剤と柔軟剤を別々に買っているご家庭にとっては2本買う必要がない。1本にかかるコストはそれほどではなくとも、長い目で見ていけばかなりの節約になるだろう。
3. 柔軟剤を使わないことのデメリット
逆に、柔軟剤を使わないことによるデメリットにはどういったものがあるだろうか?
洗濯物がゴワつきやすくなる
柔軟剤を使わないことによるデメリットといえば、洗濯物がフワフワに仕上がりにくくなることだろう。柔軟剤に含まれる「陽イオン性界面活性剤」には繊維同士の滑りをよくする働きがある。柔軟剤を使って洗った衣類やタオルなどが柔らかく仕上がるのはこのためだ。
その柔軟剤を使わないことにより、ゴワゴワな触り心地になってしまうこともある。とはいえ上述のように日本は軟水ゆえ、パリパリなど極端に硬くなるといったことは考えにくい。
静電気が発生しやすくなる
柔軟剤を使った洗濯物に静電気が発生しにくいのは、陽イオン性界面活性剤が「油になじみやすい親油基」と「水になじみやすい親水基」で構成されていることに起因する。親油基が繊維同士の滑りをよくすることで静電気が発生しにくくなり、親水基が静電気を逃がす働きをすることで静電気が溜まりにくくなるのだ。
そのため柔軟剤を使わない洗濯物は、使った洗濯物よりも静電気が起こりやすい状態になる。
洗濯物のいい香りが薄れる
柔軟剤には香り成分が含まれており、洗濯物にいわゆる「いい香り」がつく。また消臭・防臭効果もあるので、汗や皮脂のイヤなにおいを消したり生活臭などのにおいがつくのを防いだりもする。柔軟剤を使わずに洗濯すると、いい香りが薄れたりイヤなにおいが取れにくくなったりすることも考えられる。
4. 柔軟剤を「使う」「使わない」は洗濯物で分けるとよい
柔軟剤を「使う」「使わない」はなにも極端に捉える必要はない。柔軟剤を使ったほうがよい衣類もあれば、使わないほうがよいアイテムもあるからだ。たとえば次のように分類できるので参考にしてほしい。
柔軟剤を使ったほうがよいアイテム
PM2.5や花粉などが付着するのを少しでも軽減したいアウターや上着、風合いを保ちたいワイシャツやブラウスといったアイテムは、柔軟剤の使用がおすすめだ。またセーターなど、繊維の絡みが気になるアイテムも柔軟剤を使うことでキレイに仕上がる。しかも静電気も抑制できて一石二鳥だ。
柔軟剤を使わなくてもよいアイテム
逆に吸水性を重視したいタオルやマイクロファイバー製のアイテム、敏感肌の方の衣類やベビー服などは柔軟剤を使わなくてもよいだろう。もとから防水性や耐火性を備えている素材なども、柔軟剤は使わないほうがよい。
5. 柔軟剤を使わないでタオルを柔らかくする方法
いくら柔軟剤を使わないほうがタオルの吸水性が上がるとはいえ、肌触りが悪いのは困りものだろう。実は、柔軟剤を使わなくてもタオルをフワフワに仕上げる方法がある。柔軟剤ほどの仕上がりは期待できないかもしれないが、興味があればぜひ試してみてほしい。
1.クエン酸を使って洗濯する
掃除に重宝するクエン酸は、柔軟剤として使うこともできる。弱アルカリ性の洗濯洗剤は汚れを落とす力こそあるが、その分生地に負担がかかる。酸性のクエン酸を使うことでアルカリ成分が中和され、ゴワゴワした仕上がりを防止できるというわけだ。
クエン酸は水40Lに対し小さじ1杯を目安に、すすぎのタイミングで入れよう。柔軟剤と比べてしまうと効果は薄いかもしれないが、ある程度は柔らかい仕上がりになるだろう。
2.繊維を起こしてから干す
タオルは、干す前にひと工夫することで柔らかな仕上がりに近づく。大切なのは洗濯でつぶれた繊維を起こすことだ。脱水が終わったタオルを洗濯槽から取り出したら、広げて両手で持ちバサバサと大きく振ろう。これによって繊維が立ち上がりフワッとした状態に仕上がりやすくなる。振る目安は10回程度だ。
6. 柔軟剤を使わないで洗濯するときの注意点
柔軟剤を使わないで洗濯する場合の注意点にも触れておこう。タオルに限らず、洗濯物全般にいえることなのでぜひ覚えておいてほしい。
洗剤は「適量」を守る
洗濯物や水の量に対して洗濯洗剤が多すぎると溶け残ってしまう。繊維の隙間に入り込んでしまうと繊維がうまく立ち上がらず、ゴワゴワした感じに仕上がってしまうおそれがある。それに雑菌のエサにもなりかねない。逆に少なすぎても汚れを落としきれず、においの元になってしまうこともある。柔軟剤を使う・使わないに関わらず「適量」を守ることが大切だ。
可能な限り「速乾」を目指す
柔軟剤には香り成分だけでなく消臭・防臭といった作用もある。除菌成分が含まれている柔軟剤なら、生乾きのイヤなにおいを防ぐ効果も期待できる。そうした柔軟剤を使わないことで、においが発生するおそれがある。これを防ぐにはできる限り速く乾かすことを心がけよう。濡れたままの状態が長く続くと雑菌が繁殖してしまうためだ。乾燥機や浴室乾燥機、サーキュレーターや除湿機、扇風機やエアコンなどの家電を駆使して、できる限りの速乾を目指そう。
7. 使わない柔軟剤の正しい処分方法
柔軟剤の香りが好みに合わない、肌がかぶれてしまったなどという場合、その柔軟剤はもう使わないという方が多いだろう。せっかくなので、最後に使わない柔軟剤の正しい処分方法についてもお伝えしておく。
少量なら排水口に流してもよい
とはいえなにか特別な処分方法があるわけではない。実は、柔軟剤は排水口に流して廃棄しても問題ないとされている。洗濯に使った柔軟剤も、結局は排水されて同じ場所に流れていくことを考えれば合点が行くだろう。ただしこれはボトルに残ってしまったなど「少量」の場合に留めてほしい。
大量の柔軟剤を廃棄する場合は?
大量の柔軟剤を捨てる場合は、新聞紙やキッチンペーパーに含ませて「燃えるごみ」として出そう。ただし、正しい処分方法やごみ捨てのルールは自治体によって異なる。先にお住まいのエリアのごみ捨てルールを確認し、それに従うことが前提だ。
8. 柔軟剤を「使わない」という選択肢があることも覚えておこう
洗濯洗剤と柔軟剤は1セットというご家庭も多いはずだ。とくに深く考えず「香りが付くから」「ふわふわに仕上がるから」といった理由で柔軟剤を使用しているという方も多いだろう。だが解説したように、メリットもデメリットも存在する。なんとなく柔軟剤を使い続けている方は、これを機に「使わない」という選択肢があることも覚えておこう。
結論
柔軟剤を使わないことによるメリット・デメリットなどを解説したが「使う」「使わない」にはそれぞれ一長一短がありどちらが「正解」というものはない。したがって最終的にはお好みになるわけだが、迷っているのであればお伝えしたように「洗濯物によって分ける」というのが着地点としてはベストかもしれない。