1. 日本のプラスチックのリサイクル

プラスチック製品は、今や我々の暮らしのいたるところに存在している。むしろ、使わないで生きる方が難しいとさえ言えるほどだ。日本のプラスチック生産量、消費量は1000万トンを超えている。
プラスチックとゴミ
プラスチックが何ゴミか、知っているだろうか?これまで自治体によって、さまざまな捉え方がされていたものを、環境省が可燃ゴミとして統一。発生抑制、再利用の推進が前提であるが、どうしても残るものは燃やして熱回収する、という意味での可燃ゴミである。ちなみに、プラスチックをリサイクルとして廃棄できるものは、プラのマークがあるものだけで、きれいに洗ってから捨てることが求められている。ただ、プラのマークがあっても医療廃棄物などはリサイクルできないものもあるので、自治体の区別を確認することをおすすめする。
プラスチックのリサイクル率
廃棄されたプラスチックは、大きく分けて3つの方法でリサイクルに回される。ひとつ目が、マテリアルリサイクルだ。これはプラスチックをそのまま原料にして、別の製品にする技術である。最も我々が目にしているタイプのリサイクルである。次がケミカルリサイクルで、こちらは原料や高炉原料化、ガス化などのこと。最後が、サーマルリサイクルと言って、ゴミの焼却熱の利用などのことである。廃棄されたプラスチック全体の84%程度が、リサイクルで有効利用されている。
2. 世界のプラスチックのリサイクル

今、多くの国ではプラスチックに対する規制が始まっている。例えばシアトルでは、プラスチック製品の使い捨てカトラリーの全面禁止が始まり、フランスでも、プラスチック容器やカトラリーの販売が禁止されている。そのほか多くの国で、レジ袋の有料化や課税が進んでいる。リサイクルにおいては、スイス・オーストリア・ドイツ・オランダ・スウェーデン・デンマーク・ベルギー・ノルウェーなどでは、リサイクル率は90%以上である。逆に、アメリカではリサイクルはほとんどされておらず、埋め立てが圧倒的に多い。国によって、大きな違いがあることがわかる。
4Rの法則
世界では、ゴミの削減に4Rの法則が用いられている。これはRefuse・Reduce・Reuse・Recycleの4つのRをとったもの。Refuseは不要なものを作らない、買わないという意味。Reduceは、ゴミを減らすという意味。Reuseは別の使い道を考えるという意味。Recycleは再利用の意味である。この4Rには優先順位があり、Refuseから順に行なっていくことに意味があるとされている。こう考えると、リサイクルは4番目。大前提として、それ以前のことが重要であるという認識だ。まず、プラスチックを生み出さないことに重きが置かれている。このように多くの国が、持続可能なプラスチックとの付き合い方にシフトしてきている。
3. これからのプラスチック製品と環境

量り売りへのシフト
サンフランシスコでは、市の施設内でのペットボトル販売を禁じている。代わりに、給水ポイントのようなものを設けている。ここでは水筒に水を入れることができるので、マイボトルを持って生活している人も多い。給水ポイントは広がりつつあり、デパートや駅など、至るところで見受けられるようになってきた。またスーパーマーケットでも、袋入りではなく、量り売りを設けるところが増えている。小麦粉やグラノーラ、ナッツ、スパイス、ドリンク、フルーツなど、さまざまなものが量り売りで販売されている。各々が容器を持って来ることで、パッケージやプラスチック容器の削減が可能になる。
SDGsとプラスチック
プラスチック製品のリサイクルなど、環境循環に関する注目は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)にも組み込まれている。ちなみに、プラスチック製品は1950年以来、世界で83億トン以上も生産され、63億トンがゴミとして廃棄されている。リサイクルされているものはたった9%という結果からも、いかにプラスチックがゴミとして捨てられているのかがわかる。日本のプラスチックのリサイクル率は高いものの、そもそもの生産量が多い。さらに1人当たりのプラスチック容器や包装の排気量は、アメリカに次いで2位である。リサイクルはもちろんであるが、それ以前にも力を入れるべきことがわかるだろう。
結論
日本ではリサイクル率は高いものの、そもそもの生産量が多いことが懸念されている。ご存知の通り、プラスチックの原料は石油である。石油資源は有限である。ひとりひとりの努力は小さくとも、必ず結果に結びつく。レジ袋をもらわずにエコバッグを利用する、ペットボトルを買わずにマイボトルにするなど、プラスチックを使わない暮らし、そして徹底したリサイクルを心掛けたい。