1. ゴアテックスとは?

そもそもゴアテックスとはどういった素材なのだろうか?性能や構造など、まずは基本的なところから解説していこう。
防水透湿性に優れた「素材」のこと
ゴアテックスとは防水性・透湿性・防風性に優れた素材で、アメリカの「WLゴア&アソシエイツ社」が製造・販売を手がけている。水や風を通さず蒸気を通すため、一般的なレインコートなどと比べると身体が蒸れにくい。長時間着用してもジメジメとした着心地の悪さを感じさせない素材だ。この特性を利用したアイテムは、アウトドアを嗜む方には必須といっても過言ではないだろう。
ゴアテックスの性能
防水ウェアやゴム素材のものは蒸気を通さないため、長時間着用していたり動き回ったりしているとウェアの内部が蒸れて体が冷えてしまうといった欠点があった。これを防ぐため防水仕様でないウェアを着用してしまうと、今度は水を通してしまうため体が濡れてしまい、体温を奪われてしまう。こうした課題をクリアしたのがゴアテックスというわけだ。外からの水は通さないが内からの蒸気は外へ逃がすという、両立が難しいと考えられていた防水と透湿を見事に成し遂げた素材なのである。
ゴアテックスの構造
多くはゴアテックス・ファブリスクと呼ばれる3層構造になっており、ゴアテックスはその真ん中にある。厳密には「ゴアテックス・メンブレン」という。またいちばん外側は防水仕様の素材が用いられているのだが、同時に風やホコリなどに対しても強いものでなければならない。いわば製品の耐久性などを決める素材だ。もっとも内側にあるのは裏生地で、いわゆる肌に触れる部分である。
ゴアテックスの種類
汎用性が高く、一般的なアウトドア製品にも多く採用されているのが「ゴアテックス」だ。お伝えしたような性能を備えている。そのほかにも「ゴアテックスプロ」という、より耐久性や透湿性などに優れた商品もある。通常のレジャーよりも過酷な環境で活動する際などにおすすめだ。もうひとつ、激しい運動をする際などに最適なのが「ゴアテックスアクティブ」である。こちらは通所のゴアテックスやプロよりもさらに優れた透湿性を誇り、かつ軽量なのが特徴だ。
2. ゴアテックス製品のウエアのメリット・デメリット

ゴアテックス製品には多くのメリットがあるが、一方でデメリットも存在する。アウトドアウエアの購入を考えている方は、ぜひ参考にしてほしい。
メリット
ゴアテックス製品のウエアは、透湿性が高く蒸れにくいという特徴があり、肌がデリケートな人が長時間着用しても着心地がよいのだ。またアウトドアの際には、急な悪天候により激しい雨風にさらされることもある。しかし、ゴアテックス製品のウエアは水や風を通さないため、身体が濡れることが少なく体感温度も下がりにくいため、低体温症を防ぐことができるというメリットがあるというわけだ。
これほど性能の高いゴアテックスのウエア。「特別な素材だから手入れが大変なのでは?」と思う人もいるかもしれないが、実は手入れはかなり楽なのだ。自宅での丸洗いが可能であるため、今までのウエアのように洗濯に多くの時間をとられることもない。
これほど性能の高いゴアテックスのウエア。「特別な素材だから手入れが大変なのでは?」と思う人もいるかもしれないが、実は手入れはかなり楽なのだ。自宅での丸洗いが可能であるため、今までのウエアのように洗濯に多くの時間をとられることもない。
デメリット
ゴアテックス製品のウエアのデメリットはただ1つ。やや値段が高いという点だ。ゴアテックスのアウトドアウエアは、一般的なものと比べると1万円以上も高額であることも珍しくない。しかし素材の素晴らしさはご説明してきた通り。長く使えることも考えるとコストパフォーマンスは決して悪くないだろう。予算内におさまるようであれば、ぜひ購入を検討してほしい。
3. ゴアテックス製品の靴のメリット・デメリット

ゴアテックス製品の靴は蒸れにくいという特徴がある。つまり、足や靴の嫌なにおいや水虫の予防効果も期待でき、これらが気になる人も気軽にアウトドアシューズを着用することができる。最近ではゴアテックスを採用したビジネスシューズも製品化されているため、ビジネスシーンでも大いに活躍するだろう。また、ウエアと同様に靴も丸洗いでき、手入れがとても楽という点もポイントが高い。ちなみにデメリットはウエア同様、やはり価格が高めなことだ。
4. ゴアテックスのお手入れ方法

高性能のゴアテックス製品はお手入れが大変そうなイメージがあるかもしれない。だがその心配は無用だ。思った以上に簡単にお手入れできる。
ゴアテックスをお手入れしないとどうなる?
お手入れをしなければ当然ながら素材が劣化してくる。汗や皮脂、ホコリや泥、雨水などが付いたまま放置してしまうと、シームテープと呼ばれる縫い目の防水部分が剥がれるなどしてしまう。またゴアテックス最大の特徴である防水性や透湿性などが低下し、水が染み込むようになる。
ゴアテックスを洗濯機で洗う方法
- ポケットやファスナーを閉じ、洗濯ネットに入れる
- 洗濯機に入れ、液体の中性洗剤を使って洗濯する
- 脱水はせず、軽く絞ったら風通しのよい場所で自然乾燥させる
- 当て布を使ってアイロンがけをする
多くのゴアテックス製品は、液体の中性洗剤を使って丸洗いできる。アイロンがけのあと、低温の乾燥機にかけるのもOKだ。ただし念のため、必ず事前に洗濯表示(※1・※2)だけは確認しておいてほしい。
ゴアテックスを手洗いする方法
- 桶に40℃程度のぬるま湯をはり、液体の中性洗剤を適量溶かす
- ポケットやファスナーを閉じ、桶に入れる
- 優しく押し洗いをする
- ぬるま湯を入れ換えながら泡立たなくなるまで3回程度すすぐ
- 軽く絞ったら風通しのよい場所で自然乾燥させる
- 当て布を使ってアイロンがけをする
やや手間ではあるが、この流れで手洗いもできる。ゴシゴシ強く洗ったり、素材同士をこすり合わせたりしないように気をつけよう。
結論
ゴアテックスは快適な着心地と機能性に優れた素材である。ご家庭での丸洗いも可能なので、従来のウェアや靴の手入れのように頭を抱えることもないだろう。アウトドアだけでなくビジネスシーンでも活躍するゴアテックスは、さまざまなアイテム・用途に採用されている。これを機に、ぜひ試してみてはいかがだろうか?
(参考文献)
- 1:消費者庁「洗濯表示(平成28年11月30日まで)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash.html - 2:消費者庁「洗濯表示(平成28年12月1日以降)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_01.html