目次
- 1. 合皮とは
- 2. 合皮を手入れする重要性
- 3. 合皮の革靴の手入れ方法
- 4. 合皮の鞄の手入れ方法
- 5. 合皮のソファーの手入れ方法
- 6. 合皮にカビが生えたときの手入れ方法
- 7. 合皮製品の手入れでやってはいけないこと
1. 合皮とは

そもそも合皮とはどういった素材なのか、本革との違いも交えて基本的なところから解説しよう。
合成皮革のこと
合成樹脂を使用した革製品のことを合成皮革、略して「合皮」と呼ぶ。水を弾く、汚れにくい、品質が安定しているといった特徴があり、手入れも比較的容易である。ツルツルとした肌触りや適度な柔らかさもあり、本革と比べて安価なことなどから人気がある素材だ。
本革との違い
本革は動物の皮を使った天然皮革のことである。使い続けるごとに変化する風合いを楽しめるほか、しっとりしていて柔らかいといった特徴がある。ただし合皮と比べると水に弱く、また商品によって品質にバラつきがある。きちんと手入れをしないとカビが生えてしまうこともあるため、面倒な方には合皮のほうが向いている。
合皮には「PUレザー」「PVCレザー」がある
合皮にはポリウレタン樹脂が原料の「PUレザー」と、塩化ビニール樹脂が原料の「PVCレザー」とがある。PUレザーは本革に近い質感で、弾力性があり撥水性にも優れている。ただし湿気の高い場所などで保管したり使用したりすると加水分解が起こり、ベタついたりボロボロになったりすることがある。
一方のPVCレザーは耐久性や機能性に優れ、汚れにも強いといった特徴がある。表面がひび割れしやすいといった欠点があるものの、PUレザーよりも安価で手に入りやすい。これらの樹脂を布の表面に塗布することで、合皮に風合いを持たせている。ただし、いずれも本革に比べて寿命が短いという欠点があることも知っておこう。
2. 合皮を手入れする重要性

合皮は手入れをしないでいるとさまざまなトラブルが発生し、寿命が短くなってしまう。
合皮によくあるトラブルと手入れの重要性
合皮は本革よりも手軽に手に入るうえ手入れも比較的楽という魅力があるが、とはいえ手入れ不足はトラブルを招く。たとえばPUレザーは、上述のように空気中の水分に反応すると加水分解が進み、表面がベタベタしてくる。またPVCレザーは経年劣化によりひび割れしやすく、小さなめくれなどからボロボロになることがある。
また合皮に共通するトラブルとしては、太陽の光によって色が薄くなる「退色」が進むことだ。こうしたトラブルを防ぐためにも、合皮の手入れは欠かせない。
3. 合皮の革靴の手入れ方法

合皮が多く使われている靴は、軽くて履きやすいことからも人気がある。手入れ方法は次の通りだ。
日常的な合皮の革靴の手入れ方法
日常的な手入れの基本は泥やホコリをきちんと落としておくことだ。ソールとアッパーの境目などにはとくに泥汚れが付着しやすい。溜まった汚れをそのままにしておくと、雨の日などに水を含みカビの原因となるため気をつけよう。柔らかめのブラシを使い、優しく泥やホコリを落とす。乾拭きで落としきれない汚れは、水に濡らして硬く絞った布で拭き取るようにしよう。
4. 合皮の鞄の手入れ方法

合皮は鞄にも多く使われる。加工しやすくファッション性も高い人気のアイテムだ。天日にさらされたり雨に濡れたりすることも多いため、こまめな手入れが必要になる。
日常的な合皮の鞄の手入れ方法
手入れの前に鞄の中のゴミやホコリをできる限り取り除くとともに、泥汚れなどが付いていれば柔らかめの歯ブラシなどを使い、優しく擦り取っておこう。合皮の鞄には手垢や皮脂汚れが付いていることも多いため、衣料用の中性洗剤(おしゃれ着用中性洗剤)を使って取るとよい。
おしゃれ着用中性洗剤をぬるま湯で溶かして布に含ませ、鞄の表面を軽く叩くようにタッピングして汚れを吸着させるといったやり方だ。このとき、できるだけ擦らないようにして汚れを布に移すことがポイントになる。次に乾いた布で、同じように軽くタッピングしながら水分を取り除いていく。仕上げに風通しのよい場所で陰干しをして完了だ。
5. 合皮のソファーの手入れ方法

ソファーは手入れも大切だが劣化予防にも着目したい。合皮は太陽の紫外線で劣化しやすい。太陽の光が当たるリビングに置きたくなるところだが、その際もできるだけ直射日光が当たらない場所に配置しよう。カバーするといった方法でもOKだ。
日常的な合皮のソファーの手入れ方法
合皮のソファーの手入れは、汚れたらすぐに対処することが基本である。柔らかい布とおしゃれ着用中性洗剤を用意し、洗剤をぬるま湯に溶かしたら布に含ませる。あとは鞄と同じように、固く絞ってからタッピングするようにして汚れを拭き取る。拭き取ったあとは洗剤が残らないよう、水で濡らした布でやはりタッピングをする。最後に乾拭きをして完了だ。
6. 合皮にカビが生えたときの手入れ方法

合皮製品をクローゼットに入れっぱなしにしていたらカビが生えてしまった、という経験をした方も多いのではないだろうか。そんなときの手入れ方法もぜひ知っておこう。
裏返して天日干しする
合皮にカビを発見したら直ちに洗いたくなるかもしれないが、水分を含ませることで悪化(カビのさらなる繁殖)を招きかねないため控えたほうがよいだろう。まずは表面のカビをブラシで落とせるだけ落とす。マスクなどをしながら屋外(ベランダなど)でおこなおう。
次に水に浸して固く絞った布でカビを拭き取る。キレイになったら裏返しにして天日干しをしよう。合皮は紫外線で劣化するため裏返すことがポイントである。そもそも天日干しがNGの製品であれば、風通しのよい場所での陰干しでよい。
重曹水で拭き取る
天日干しで取り切れないカビには重曹を使ってみよう。水(ぬるま湯)100mlに対し小さじ1杯の重曹を溶かして重曹水を作る。布に重曹水を含ませてカビを拭き取る。重曹は弱アルカリ性なのでカビにもある程度の効果が期待できる。
ただしこのままでは油分が抜けて白っぽくなってしまうので、保湿クリームを塗るか、オリーブオイルとクエン酸を1:1で混ぜたものを塗るなどしよう。
7. 合皮製品の手入れでやってはいけないこと

合皮製品ごとに取扱説明書などで手入れ方法が書かれているはずだが、合皮製品全般にいえる手入れのNGの行為もある。たとえば次のような手入れはしないように覚えておこう。
水で丸洗いしてしまう
中には水洗いOKの合皮製品もあるが、多くは推奨されていない。水分を含んだ状態が長時間続くことによりカビが生えたり、変色・変形したりといったトラブルを招くおそれがあるためだ。
揮発性有機溶剤で手入れをしてしまう
一見、汚れをキレイに落としてくれそうなベンジンあるいはシンナーといった揮発性有機溶剤を使った手入れもやめておこう。劣化や変質など、せっかくの合皮製品の品質が低下してしまう。
直射日光に当ててしまう
表面を直射日光に当ててしまうと、日焼けして退色する。裏返して天日干しをするか、風通しのよい場所で陰干しをする程度に留めよう。
保管方法にも注意
高温多湿になる場所で保管したり、乾燥機を使用したりすると劣化を早めたりカビが変形したりすることがある。極力そうした環境下に置くことは避けたほうがよい。また汚れが付いたまま収納するなどした場合も、カビが生えたりにおいが発生したりすることがある。汚れたら速やかに手入れをしてキレイな状態に戻すことが、長く使い続けるためにも大切だ。
結論
合皮も経年劣化するものの、普段から丁寧に手入れをしておけば寿命を延ばせる。お気に入りの合皮製品はとくに、長く使うためにも正しい手入れ方法や保管方法を知っておくことが大切だ。各アイテムの取扱説明書やメーカーのHPなどもチェックして、それぞれに合った手入れ方法を実践しよう。