1. タンブル乾燥(タンブラー乾燥)とは?
まずはタンブル乾燥とはどういったものか、基本的な知識について解説していく。
タンブル乾燥とは
回転ドラムの中で衣類などの洗濯物を回しながら、熱風を当てて水分を飛ばす(乾かす)乾燥方式のことをタンブル乾燥という。
ご家庭で「乾燥機能付きドラム式洗濯機」をお使いであれば、乾燥方式はタンブル乾燥と考えていい。なお「タンブラー乾燥」と呼ぶこともあるので、ついでに覚えておこう。
ご家庭で「乾燥機能付きドラム式洗濯機」をお使いであれば、乾燥方式はタンブル乾燥と考えていい。なお「タンブラー乾燥」と呼ぶこともあるので、ついでに覚えておこう。
コインランドリーの乾燥機もタンブル乾燥
家庭用ドラム式洗濯乾燥機だけでなく、コインランドリーの大型乾燥機などは、基本的にタンブル乾燥である。コインランドリーの乾燥機は家庭用のものよりも強い熱風を当てるため、スピーディに乾かせるのがメリットだ。
2. タンブル乾燥(タンブラー乾燥)のメリットとデメリット
乾燥機能付きドラム式洗濯機をお使いのご家庭も多いことだろう。タンブル乾燥にはメリットも多く非常に便利だが、気をつけておきたいデメリットもある。
タンブル乾燥のメリット(長所)
- 自然乾燥よりも短時間で乾く
- 天候や時間を問わず乾かせる
- 仕上がりがふっくらする
- 「洗濯機から取り出して干す」という手間が不要
- 熱風による殺菌効果や脱臭効果、ダニ退治効果などが期待できる
洗濯物を回転させながら温風を当てるという仕組みは、非常に効率よく、かつ満遍なく熱を与えることができる。そのため水分も蒸発しやすく、短時間で多くの洗濯物を乾かせるというのがタンブル乾燥の大きなメリットだ。特に梅雨など雨続きの時期や、翌日着たい服があって早く乾かしたいときなどは重宝するだろう。
タンブル乾燥のデメリット(欠点)
- 素材により色落ち、プリントの剥がれなどのおそれがある
- 熱に弱い素材だった場合、寿命を縮めてしまうことがある
- シワや縮みが生じたり、型崩れを起こしたりすることがある
- ボタンなどの装飾品が破損するおそれがある
デメリットは、洗濯物がダメージを受ける場合があるという点だ。回転しながら衣類同士がこすれあう、あるいは洗濯槽の内壁にぶつかることで傷んだり、高温に弱い素材がダメージを受けたりするおそれがある。タンブル乾燥ができるアイテムかを事前に確認しておかなければならない。
3. タンブル乾燥(タンブラー乾燥)に関する洗濯表示
平成28年12月1日からの新洗濯表示では、新たに「タンブル乾燥」に関する記号が追加された。タンブル乾燥ができる衣類かを確認するためにも、洗濯表示について知っておこう。
タンブル乾燥に関する洗濯表示とは
「四角」の中に「丸」があり、その丸の中に「・」があれば【排気温度の上限60℃】でタンブル乾燥できる。丸の中が「・・」なら【排気温度の上限80℃】でタンブル乾燥がOK。一方、四角や丸があっても「×」が付いていれば、タンブル乾燥は【禁止】という意味になる。
4. タンブル乾燥(タンブラー乾燥)に適した衣類とは?
タンブル乾燥に適した衣類かを判断するときは、洗濯表示を確認するのが確実である。しかし、細かい小物まですべての洗濯表示をチェックするのは大変だ。大まかにタンブル乾燥に適している衣類について知っておくと便利だろう。
パジャマや部屋着など
多少のダメージは気にしないというのであれば、パジャマや部屋着などの外で着ることがない服は、タンブル乾燥で乾かすとよいだろう。柔軟剤を使うと肌触りのよい仕上がりになるはずなのでぜひ試してみてほしい。
靴下やタオルなど
他人の目に触れる機会が少ない靴下やタオルも、タンブル乾燥向きのアイテムだ。毎日使う小物には、タンブル乾燥を使うことで洗濯の時間を短縮できる。
インナー類など
インナーなどは、特に他人の目に触れる機会が少ないアイテムだ。合成繊維のものも多く、タンブル乾燥を使えば短時間でしっかりと乾く。
5. タンブル乾燥(タンブラー乾燥)に向いていない衣類とは?
タンブル乾燥を使えば、雨の日でも快適に洗濯物を乾かすことができ、非常に便利である。しかし、中にはタンブル乾燥に向いていない衣類もあるため、注意しよう。
タンブル乾燥禁止の衣類
上述したタンブル乾燥に関する洗濯表示を確認し、乾燥機がNGである場合は避けるようにしよう。
洗濯表示がなければ素材やデザインで判断しよう
平成28年11月30日までの洗濯表示には、タンブル乾燥に関する記号がない。アイテムによっては「タンブル乾燥禁止」や「タンブラー乾燥はお控えください」といった注釈があるかもしれないが、それすらないものもある。こうしたケースでは素材によって判断するしかないだろう。
ウールや絹、綿や麻、本革や合皮といった素材の衣類をはじめ、ブラジャー、ストッキング、装飾が施された衣類などはタンブル乾燥を控えたほうがよい。それ以外にも、お気に入りや長持ちさせたい衣類であれば、タンブル乾燥は避けることをおすすめする。
ウールや絹、綿や麻、本革や合皮といった素材の衣類をはじめ、ブラジャー、ストッキング、装飾が施された衣類などはタンブル乾燥を控えたほうがよい。それ以外にも、お気に入りや長持ちさせたい衣類であれば、タンブル乾燥は避けることをおすすめする。
6. タンブル乾燥(タンブラー乾燥)禁止の衣類を乾かすとどうなる?
タンブル乾燥ができない衣類をタンブル乾燥機にかけた場合、いくつかのリスクにつながる可能性が考えられる。大切な衣類をできるだけ長く着るためにも、タンブル乾燥が使用できるかをしっかりと見極めよう。
縮んだりシワになったりする
タンブル乾燥が禁止または向いていない衣類をタンブル乾燥させてしまうと、縮んだりシワができたり素材が傷んで寿命が短くなったりする。特にウールなどの動物繊維は熱によって激しく縮みやすい。
着心地や風合いが損なわれる
肌触りや着心地、風合いが損なわれ糸がほつれてしまうこともある。元に戻せないほど痛むケースもあるため、注意が必要だ。
装飾品などが傷んでしまう
刺繍やプリントなどは熱に弱く、タンブル乾燥で傷んでしまうおそれがある。
7. タンブル乾燥(タンブラー乾燥)禁止の衣類を乾かす方法
タンブル乾燥ができない衣類を乾かす方法を解説する。たとえば雨の日や、花粉などの時期で屋外に洗濯物を干せないときなどに、知っておくと役立つだろう。
自然乾燥が基本
タンブル乾燥よりは時間がかかるが、もっとも基本的であり衣類に優しい乾燥方法でもある。衣類同士の間隔を適度に保ちながら、風通しのよい場所に干しておこう。ただし「天日干し」がいい素材と「陰干し」がいい素材があるので、洗濯表示をチェックするなどしてほしい。
浴室乾燥機を利用する
花粉の時期や雨続きの時期などは浴室乾燥機を使う手もある。タンブル乾燥よりは時間がかかるが、自然乾燥よりは早く乾かせるのが浴室乾燥だ。吊り干しの状態で熱風を当てて乾燥させるため、タンブル乾燥のような衣類の摩擦などによるダメージが少ないのだ特徴だ。
ただし電気代がかかるのが難点である。コストが気になる場合は、先に浴室乾燥機で1時間乾燥させ、残りを自然乾燥(雨なら部屋干し)させるといったやり方もおすすめだ。
ただし電気代がかかるのが難点である。コストが気になる場合は、先に浴室乾燥機で1時間乾燥させ、残りを自然乾燥(雨なら部屋干し)させるといったやり方もおすすめだ。
除湿機やエアコンの除湿機能を使う
単に自然乾燥させるよりも、除湿機やエアコンの除湿運転や冷房運転を使ったほうが早く乾かせる。浴室乾燥機よりもコストを抑えられる可能性が高いうえ、生乾き臭の抑止にもなるのでおすすめだ。ぬれた洗濯物を長時間室内で干しっぱなしにすると、湿度によってカビが発生する原因にもなる。除湿機やエアコンで、湿気を取り除こう。
扇風機やサーキュレーターで風を送る
扇風機あるいはサーキュレーターなどで風を当てるのもよいだろう。特に、エアコンと併用するのがおすすめだ。エアコンの除湿運転や冷房運転で乾かす場合、風の当たる場所にムラができやすい。衣類の下から扇風機やサーキュレーターで風を送ることで、効率的に水分が出てゆき、乾かすまでの時間を短縮できる。
「静止乾燥機」を導入しているクリーニング店もある
実は、タンブル乾燥ができない衣類のすべてが自然乾燥しかできないというわけではない。クリーニング店などでは、衣類を回転させない「BOX乾燥機」とも呼ばれる静止型乾燥機を導入していることがある。静止型乾燥機はクローゼットのような形状で、衣類を吊り干しした状態で乾燥させる仕組みだ。そのため、タンブル乾燥禁止の衣類も早く乾燥させられる。
8. タンブル乾燥(タンブラー乾燥)で縮んでしまった衣類を戻す方法は?
タンブル乾燥禁止の衣類を乾燥機にかけてしまい、衣類が縮んだり型崩れしたりといったトラブルが起こることもあるだろう。そういった衣類のケア方法を解説する。
縮んでシワになったときのケア方法
伸びやすい素材の衣類だった場合、優しく手洗いをして柔軟剤を混ぜてすすぎ、吊り干しにすればある程度伸びる(戻る)かもしれない。ほどよく復活した時点で今度はスチームアイロンのスチームのみを当て(アイロンは直接当てない)、手で形を整えるなど根気よくケアしていこう。ただし、フェルト化してしまったウールなどはこの方法でも戻らない。残念だが買い替えることを検討しよう。
タンブル乾燥で縮んだ衣類には、柔軟剤のほかにリンスを使う方法もある。リンスには、縮んで絡まった繊維をほぐす作用があるのだ。縮んだ衣類がつかる程度の水にリンスを溶かし、衣類を30分ほどつけ置きしておく。その後、泡が出なくなるまですすいで、洗濯機で脱水。シワを伸ばしてから、平干ししよう。
タンブル乾燥で縮んだ衣類には、柔軟剤のほかにリンスを使う方法もある。リンスには、縮んで絡まった繊維をほぐす作用があるのだ。縮んだ衣類がつかる程度の水にリンスを溶かし、衣類を30分ほどつけ置きしておく。その後、泡が出なくなるまですすいで、洗濯機で脱水。シワを伸ばしてから、平干ししよう。
型崩れしてしまったときのケア方法
タンブル乾燥によって型崩れした場合、まずは衣類を優しく手洗いし、柔軟剤を混ぜてすすいだら平干しをしよう。素材にもよるが、これである程度回復する場合がある。それでも復活しないほど型崩れしてしまったときは、一度クリーニング店に相談してみるとよいだろう。
9. タンブル乾燥(タンブラー乾燥)は家事の時短につながる強い味方
タンブル乾燥を使えば、洗濯物を干す時間を短縮できる。家事の時短につながる強い味方だ。ただし、タンブル乾燥は素材を傷める可能性もあるため、乾燥機にかけるアイテムには注意する必要がある。タンブル乾燥にかける前に、洗濯表示や素材などをチェックしておくとよいだろう。
結論
タンブル乾燥なら、梅雨時や花粉の時期であっても、洗濯物をカラッと乾かすことができる。洗濯物を干す手間も省けるため、忙しい毎日に大活躍してくれるはずだ。ただし、乾燥機にかけられない衣類もあるため注意しよう。判断に迷ったときは、ぜひ当記事を役立ててほしい。
(参考文献)
1:消費者庁「洗濯表示(平成28年11月30日まで)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash.html
2:消費者庁「洗濯表示(平成28年12月1日以降)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_01.html