1. 革製品にカビが生える原因
革製品にカビが生えてしまう原因から見てみよう。
湿度
革製品にカビが生える大きな要因のひとつが「湿度」である。とくに湿度が70〜80%を超えてくるとカビが一気に生育し繁殖する。革製品のバッグなどを、通気性が悪く湿気が溜まりやすいクローゼットや押入れに収納したまま、という方はとくに要注意だ。
温度
カビは温度が20〜35℃くらいになると活発になる。カビにとって湿度と温度という2大条件が整ってしまうとあっという間に繁殖するおそれがあるため気をつけよう。
栄養分
革製品は繊維やビニールと比べて、カビにとっての栄養分が豊富にある。タンニンや油脂が含まれていることに加え、皮脂やメンテナンス用のクリームの拭き残しなど、なんでもエサにしてしまうため丁寧に取り扱うことが大切だ。
2. 革製品のカビの落とし方
革製品に生えたカビの落とし方をいくつか紹介しよう。
ブラッシングと拭き取りでカビを落とす方法
ごく軽いカビ被害であれば、革製品用のブラシでブラッシングをしたり、水に濡らして固く絞った布で水拭き&乾拭きで仕上げたりするだけでも落とせる。ブラッシングはカビの胞子を飛ばしてしまうことがあるため、屋外でマスクをしながら作業するとよいだろう。また水でびしょ濡れの布で拭くのもNGだ。水分がカビの栄養となり被害が拡大するおそれがある。
革製品に湿気が溜まっていることも想定し、作業が終わったら天日干しをするとよい。ただし太陽の紫外線には殺菌作用があるものの、長時間の天日干しは劣化につながるおそれがある。ほどほどに留めるか、不安な方は風通しのよい場所で「陰干し」をして乾かそう。最後に、保護クリームを塗って柔らかい布で乾拭きをして仕上げれば完了だ。
革製品専用のクリーナーで落とす方法
軽いカビなら、革製品専用のクリーナーを使って汚れと一緒に落とせる場合もある。落としたあとは保護クリームを塗って油分を補い、乾拭きをして仕上げよう。
消毒用エタノールで落とす方法
消毒用エタノールを含ませた布でカビを拭き取る。軽く叩くようにしながら、カビを布に移し取っていくイメージだ。ただし革製品によっては色落ちや変色といったリスクがあるため、まずは目立たないところでテストしてからにするとよい。
なお揮発性が高いため改めて干さなくてもよいが、革製品そのものに湿気が含まれていることも考えられるため、作業のあとは干して乾かし保護クリームと乾拭きで仕上げよう。
重曹水で落とす方法
水100mlに対し、小さじ1杯の重曹を溶かした重曹水を作る。同時に、別の容器などにクエン酸とオリーブオイルを1:1で混ぜておこう。まずは重曹水を布に含ませ、革製品についたカビを拭き取る。
次にクエン酸とオリーブオイルを混ぜたものを、別の布に含ませて塗り込む。最後にまた別の乾いた布で表面の油分を拭き取って完了だ。重曹水のみでは、革製品の油分まで同時に取れてしまい白っぽくなるので気をつけよう。
革製品の修理業者に依頼する手もある
自分でカビを落とすのが不安な方や、カビの程度がひどい場合などは、革製品を取り扱う修理業者などに依頼する手もある。費用はかかるが、きちんとメンテナンスしてくれるといった安心感がある。
3. 革製品についたカビのにおいを取る方法
革製品にカビのにおいが残ってしまった場合の対処方法についても知っておこう。
緑茶の茶葉でカビのにおいを取る方法
緑茶に含まれるカテキンには、革製品の消臭や抗菌効果が期待できる。茶葉をフライパンで乾煎りし、緑色から茶色に変化したところを見計らって火を止める。しばらく冷ましてから、ティッシュなどに包んで革製品の中などに入れておこう。
重曹でカビのにおいを取る方法
重曹にも消臭効果がある。300g程度をハンカチなどの布に包み、カビのにおいが気になる革製品と一緒に、大きなビニール袋に入れておこう。密封状態のまま1〜3日ほど放置しておけば、カビのにおいが軽減されているはずだ。
それでも取れないカビのにおいは修理業者やクリーニングへ
いずれの方法でもカビのにおいが取れないときは、天日干しや陰干しをして乾燥させるといった方法もある。それでもなお、カビのにおいが残ってしまうときは、修理業者やクリーニング店に相談しよう。
4. 革製品のカビを防ぐためのお手入れ方法と保管方法
せっかく苦労して革製品のカビを落としても、お手入れの仕方や保管方法を誤ると再発してしまう。次のようなポイントを押さえておこう。
汚れは収納する前にしっかり落とす
革製品にカビの栄養となる成分をできる限り残さないようにすることが大切だ。汚れは収納する前にしっかり落としておこう。
干してから収納する
使用後の革製品は、半日〜1日など風通しのよい場所で陰干しし、湿気を飛ばした上で収納するようにしよう。
保管中も定期的に干して湿気を溜めないようにする
保管している間も、2カ月に1回など定期的にクローゼットや押入れから取り出し、風通しのよい場所で陰干しをしよう。保管中に溜まってしまう湿気を飛ばすというわけだ。
湿気が溜まりにくい場所に収納する
可能であれば、風通しのよい場所を見つけてそこに革製品を収納するようにしよう。
収納する場所に湿気対策を講じる
どうしても収納場所がクローゼットや押入れになってしまうという場合は、場所に応じた湿気対策を講じておこう。除湿剤や除湿シートなどを活用したり、こまめに扉をあけて空気を入れ替えたりするだけでもカビ予防につながるはずだ。
収納する際は不織布で覆う
ホコリがつかないようにと箱に入れたりビニールの袋に入れたりすると、通気性が悪くカビが生えてしまうことがある。ホコリを避けられ、かつ通気性がよい不織布で覆うなどしよう。
結論
革製品のカビを防ぐには「湿度」「温度」「栄養」といった条件が重ならないように保管することが大切だ。あわせ、使用後のお手入れなどについてももう一度見直しておこう。革製品のカビは自分でも落とせるが、高級な製品や失敗したくない場合などはプロの手に委ねたほうが安心かもしれない。