目次
1. 紙オムツを洗濯機で洗うとどうなる?

経験者はご存知のはずだが、中には「まだ紙オムツを洗濯機で洗ったことはない」という方もいるだろう。実際に紙オムツを洗濯機で洗ってしまうとどうなるのか、簡単に解説する。
水を吸ってパンパンに膨らむ
紙オムツには尿を吸収するためのポリマーが使われている。洗濯機で洗ってしまった場合、そのポリマーが水を大量に吸ってパンパンに膨らんでしまう。
紙オムツが破れると大惨事になる
紙オムツがパンパンに膨らむだけで済めば御の字だ。だが残念ながら、多くのケースではそれ以上の被害が生じる。洗濯機を回された紙オムツは繊維が引きちぎれて、不織布やゼリー状になったポリマーが洗濯物や洗濯槽にびっしりこびりついてしまうことが多い。ティッシュを洗濯してしまったときのように、洗濯物や洗濯槽からポリマーなどを取り除いてキレイにしなければならなくなる。
2. 紙オムツを洗濯してしまったときの対処方法

紙オムツを洗濯機で洗ってしまうことは、洗濯機メーカーも想定している。したがって対処方法もホームページなどに掲載されていることが多い。具体的な手順は後述するが、まずはどういった流れで対処すべきかメーカーが推奨する方法を紹介しよう。
洗濯機メーカーが推奨する対処方法〜洗濯物〜
粘着テープやブラシなどを使ってポリマーや紙オムツの繊維を取り除く、あるいは振り落としたり水中ですすいだりして落とすといった方法が紹介されている。より入念な対処方法としては、乾いたあとに再度洗濯をするといった具合だ。
洗濯機メーカーが推奨する対処方法〜洗濯槽〜
糸くずネット(くず取りネット)に溜まったポリマーや繊維などを取り除き、洗濯槽内は布などでキレイに拭き取る。取り除いたあとは、満水位置まで水を溜めてすすぎをする。
3. 紙オムツのポリマーが付着した洗濯物の対処方法

具体的な手順について解説しよう。まずは洗濯物のお手入れ方法からだ。
ポリマーなどが付着した洗濯物の対処方法
- 洗濯物を振って大まかなポリマーや繊維を落とす
- ブラシや粘着テープなどでポリマーや繊維を取り除く
- 十分に自然乾燥させる
- 残ったポリマーや繊維は振ったりブラシや粘着テープなどを使ったりして取り除く
- 洗濯槽をキレイにしたのち、再度洗濯をする
ポリマーを直接床に落としてしまうと、その掃除がまた大変になってしまう。必ず新聞紙を敷いてからにしよう。また必ず「自然乾燥」させることが重要なので覚えておこう。
4. 紙オムツのポリマーが付着した洗濯槽の対処方法

続いて、ポリマーや繊維がこびりついてしまった洗濯槽のお手入れ方法を見ていこう。
ポリマーなどが付着した洗濯槽の対処方法
- 紙オムツや洗濯物を取り出す
- 洗濯槽に付着しているポリマーや繊維を布などでできる限り取り除く
- 糸くずフィルターなどに溜まったポリマーや繊維も取り除く
- 高水位に設定して「洗い」のみでスタートする
- 1~2分おきに一時停止させ、浮いているポリマーをごみ取りネットなどですくい取る
- 排水したのち、糸くずフィルターに残ったポリマーや繊維を取り除く
- 洗剤を使わず、水だけで洗い→すすぎ→脱水をして完了
排水口や排水ホースも念のため確認すること
見落としがちなのが、排水口や排水ホースに残っているポリマーおよび繊維だ。ここが詰まってしまうと水漏れなどの原因になるため、必ず確認し付着していれば取り除いておこう。また、槽洗浄機能が搭載されている洗濯機であれば、最後に1サイクル回すのもおすすめだ。
5. 紙オムツを洗濯してしまったときのNG行為とは?

紙オムツを洗濯機で洗ってしまったときの対処方法をネットなどで調べていると、塩や重曹を使う方法にたどり着くことがある。紙オムツや洗濯機のメーカー公式サイトには掲載されていない方法だが、効果があるなら試してみたいと思う方も多いだろう。だがやはりおすすめはしない。
塩や重曹を使うのは極力NG
確かに塩や重曹を使うと、浸透圧によってポリマーが小さくなるかもしれない。その結果、取り除きやすくなったり洗い流しやすくなったりすることもあるだろう。だがポリマーが溶けるわけではない。それに排水中にポリマーが再び膨らみ、排水口や排水ホースが詰まるおそれがある。そもそも、洗濯機に塩を入れることで錆や故障の原因になることも考えられる。
乾燥機にかけるのも控えたほうがよい
高温の乾燥機にかけてしまうと、ポリマーが溶けて余計に取りにくくなるおそれがある。自然乾燥を推奨しているのはこうした理由からだ。また、仮に乾燥機にかけてポリマーが小さくなったとしても、上記と同じ理由で排水口や排水ホースが詰まってしまうことも考えられる。
6. 紙オムツを洗濯してしまうのを防ぐには?

お伝えしてきたように紙オムツを洗濯機で洗ってしまっても対処方法はある。だが、想像以上に大変な作業だ。やはり未然に防ぐことがなによりも大切になってくる。
洗濯ネットや洗濯カゴを利用する
洗濯物を直接洗濯機に入れれば楽だ。だがその場合、子どもが紙オムツを洗濯機に入れてしまったとしても気づけないおそれがある。手間はかかるが、洗濯物は洗濯ネットやカゴに入れるなどし、洗濯物にオムツが混ざっても発見できる確率を少しでも高めよう。
洗濯機のふたは閉めておく
うっかり子どもが紙オムツを直接洗濯機に入れてしまわないよう、ふたを閉めておくのもよい。ただし洗濯槽内は湿気が多いため、常に閉めているとカビが発生することがある。ケースバイケースになってしまうが、そのへんのバランスも考慮しながら閉めるようにしよう。
洗う前に確認する
洗濯物を洗濯ネットや洗濯機に入れる前は、必ず確認する習慣を身につけておこう。紙オムツだけでなく、ポケットに入ったティッシュなどを洗濯してしまうのも防げる。こちらも手間だが、大惨事になったあとの手間よりは遥かにマシだ。
7. 紙オムツを洗濯してしまっても対処方法はある

紙オムツを洗濯機で洗ってしまったとき、その惨状を目にした瞬間絶望にも近いショックを受けるかもしれない。だが対処方法はある。落ち着いてひとつずつこなしていこう。
なお、紙オムツに使われるポリマーは人体に深刻な悪影響を及ぼすものではないという(※1)。残っていると不快かもしれないが、そのときにキレイにできなくても、毎日の洗濯で少しずつ落としていくという気持ちの余裕があってもよいかもしれない。
なお、紙オムツに使われるポリマーは人体に深刻な悪影響を及ぼすものではないという(※1)。残っていると不快かもしれないが、そのときにキレイにできなくても、毎日の洗濯で少しずつ落としていくという気持ちの余裕があってもよいかもしれない。
結論
紙オムツを洗濯機で洗ってしまうのを防ぐには、普段から洗濯ネットやカゴを使ったり、洗濯物をチェックしたりする習慣を身につけておくことが何よりも大切だ。とはいえ気をつけていても紙オムツを洗濯してしまうことはある。そのときは、本稿で紹介した手順で地道に取り除いていこう。洗濯物や洗濯槽だけでなく、糸くずフィルターや排水口も忘れずに確認しよう。
(参考文献)
- 1:一般社団法人 日本衛生材料工業連合会 _ 紙おむつ・軽失禁
http://www.jhpia.or.jp/product/diaper/eco/human.html