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タンスの数え方は棹?台?点?組?「箪笥」の語源など豆知識も紹介!

タンスの数え方は棹?台?点?組?「箪笥」の語源など豆知識も紹介!

投稿者:ライター:渡辺恵司(わたなべけいじ)

鉛筆アイコン 2021年11月 1日

モノにはさまざまな数え方があるが、とりわけ「タンス(箪笥)」は変わっている。本稿ではタンスの正しい数え方を解説するとともに「箪笥」の語源といった豆知識、およびタンス以外に変わった数え方をするものなども紹介する。子どもに聞かれたときのため、あるいは飲みの席でのうんちくネタなどに、ぜひ覚えておこう。

  

1. タンスの数え方は?単位は「棹(さお)」?

昔ながらの和箪笥の写真
さっそくタンスの正しい数え方を解説していこう。

タンスの数え方は「一棹(さお)」「二棹」...

現在では一般的に使われることはほとんどなくなったが、従来タンスの正しい数え方は「一棹」「二棹」「三棹」というように「棹(さお)」を単位としていた。文化庁によれば棹とは長い棒のことである(※1)。タンスと長い棒とは一見無関係に思えるかもしれないが、実は深いつながりがあった。なぜこのような単位になったのか、理由を見ていこう。

タンスを「一棹」「二棹」...と数えるようになった理由

かつて「長持」と呼ばれる、衣類や寝具などを収納するための長方形の木箱があった。タンスが普及する以前(江戸時代初期とされている)、火事のときなどにその長持を速やかに持ち出せるよう、下部に車をつけた「車長持」が主流であったといわれている。
ところが江戸で大火災が発生した際、避難経路であるはずの路地が住民たちの車長持でふさがってしまい、多数の被害が出てしまったという。これを機に車長持は江戸や大阪、京都などでの製造が中止されていった。
そんな折に登場したのが棹(竿)を通して運べる長持で、そのあと普及するタンスにも同様の構造が踏襲された。タンスを「一棹」「二棹」と数える理由は、タンスに棹を通して運んだことにあるというわけだ。

2. タンスの「棹」以外の数え方

白い洋服箪笥
棹は現在ではほとんど見聞きしないタンスの単位だが、ではどのような数え方をしているのだろうか?棹以外の数え方について解説しよう。

「台」は基本的に、機械や車両などに使われる数え方だが、ベッドや棚など家具を数える単位にもなるのでタンスにも使える。とくにタンスの種類やシーンを選ばないため、棹と並んで基本的な数え方といえるだろう。

「点」は品物を数えるときに多く用いられる数え方だ。家具店などでタンスを商品として数える際「一点」「二点」などという言い方をしているのを聞いたことがある方も多いだろう。

「組」はペアになっているものを数えるときに使うことが多い。和ダンスは複数に分かれることがあるため、セットのものを数える際に組を使うことがある。

重ねて使用するタンスの場合「重(かさね)」という単位を使うことがある。

棹(竿)を「一本」「二本」などと数えることから、タンスも「一本」「二本」と数えることがある。

3. タンスの定義と歴史、語源など

茶器のようなものが収納されている昔ながらの箪笥
日本人には馴染み深いタンスだが、その歴史や語源などはご存知だろうか?せっかくなので簡単に解説させていただこう。

タンスとは

衣類や小物などを収納・保管するための家具をタンスという。引き出しや棚がついている、木製のものが一般的だ。クスノキ(楠)やサクラ(桜)、コクタン(黒檀)といった木材を使うことが多いが、衣装用としては防湿性や防虫性に優れたキリ(桐)がとくに高品質とされる。

タンスの種類

古くから日本で使われてきた和ダンスのほか、洋風デザインの洋ダンスなどいろいろな種類がある。茶器や食器を入れる茶ダンス、茶道具を持ち運ぶための旅ダンス(利休ダンス)、刀を収納するための刀ダンスもある。

タンスの歴史と語源

引き出しタイプのタンスが登場したのは江戸時代初期といわれている。当時は多くの衣装を所有していた上流階級が持つもので、庶民は木製の「おひつ」や「つづら」を使用していた。タンスが広く普及するようになったのは、前述のように車長持のあと、江戸末期頃からだ。
タンスは漢字で書くと「箪笥」だが「箪」は中国語で丸い飯びつ、一方「笥」には四角い箱という意味がある。
ちなみに江戸以前の安土桃山時代には「担子」という漢字を使った箱があった。茶道具や武器を持ち運ぶ箱を指す言葉だ。その箱がのちに大型化したことにより、漢字も変化して箪笥になったというのが通説である。

4. タンス以外にもある「変わった数え方」をするもの

昔ながらのシンプルな羊羹
タンス以外に変わった数え方をするものをいくつか紹介しよう。ご存知の方も多いかもしれないが、知らない方はちょっとした雑学としてお酒の席のうんちくネタにでもしてほしい。

うさぎ

動物の数え方は「匹」「頭」が一般的だが、うさぎは鳥と同じように「羽(わ)」で数える。お坊さんが食べるために鳥ということにした、長い耳が羽に見えるなど、いろいろな説が存在する。

ようかん

ようかんの数え方はタンスと同じく「棹」を用いる。ようかんを固める型が船と呼ばれていたのがその理由である。船を操る「船棹(ふなざお)」からきた単位というわけだ。

本棚

本棚を数える単位は複数あるが、そのうちのひとつが「架(か)」である。本棚が「書架」と呼ばれるため、この数え方が使われるようになった。架のほか、タンスと同じ「台」や「本」を使うこともできる。

テント

テントの数え方には「張(ちょう)」または「張り(はり)」を使用する(どちらも正解)。これは蚊帳(かや)や和傘、幕などにも使える数え方だ。

5. タンスの「棹」など複雑な数え方をするのは日本だけ?

年季の入った箪笥
「個」「台」「本」「組」「匹」などの単位を助数詞というが、日本はとりわけ助数詞が多い。さまざまなものの数え方に使われる高頻度の助数詞もあれば、タンスの「棹」のように限定的な使われ方をする助数詞も数多く存在する。日本のように助数詞の数が多くなおかつ複雑なのは、世界的にも珍しいのではないだろうか?

結論

その昔、タンスは棹を通して運んでいたことから「一棹」「二棹」...と数えるようになった。現在ではほとんど用いられることのない数え方のため、知らなかった方も多いだろう。助数詞に興味を持った方はぜひ、これを機にさまざまな助数詞を調べてみてほしい。
(参考文献)
※1:文化庁 _ 文化庁月報 _ 連載 「言葉のQ&A」
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  • 公開日:

    2020年10月 1日

  • 更新日:

    2021年11月 1日

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