1. 野菜を洗剤で洗っていいの?
洗剤を使って野菜を洗っていると「料理をあまりしていないのかな」と思う方、逆に洗剤を使っていないと「食への意識が低いんじゃないの」と思う方、それぞれだ。果たしてどちらが正しいのだろうか。
野菜を洗剤で洗う歴史的背景とは
正解は、野菜を洗剤で洗ってもいい。ただし、洗剤の種類によって洗えるものと洗えないものがあるので注意しよう。昭和30年代、日本で生産される野菜や果物は、泥や寄生虫の卵、農薬などが付着しており、健康面から不安視されていた。実際に、その頃の日本人の30%近くが回虫を保有していたという報告もある。
そこで、国民の健康を守るために当時の厚生省からの通達として「野菜は洗剤で洗う」ことを推奨したのだ。その名残で、今でも台所の中性洗剤の裏に記載されている内容を見ると用途の項目で「野菜・果物」という表記を確認することができる。
そこで、国民の健康を守るために当時の厚生省からの通達として「野菜は洗剤で洗う」ことを推奨したのだ。その名残で、今でも台所の中性洗剤の裏に記載されている内容を見ると用途の項目で「野菜・果物」という表記を確認することができる。
知らずに洗剤で洗った野菜を食べている
野菜を洗うときに洗剤を推奨していた時代から半世紀。今では、農薬の規制や化学肥料の普及によって、わざわざ洗剤で野菜を洗うという習慣も少なくなってきた。しかし、洗剤で洗った野菜など食べたことなどないという方も、実は口にしている。ファーストフードなどの外食産業やスーパーに並ぶカット野菜などでは、洗剤で野菜を洗うのが当たり前となっている。
2. 野菜を洗剤で洗う必要性
食に関するさまざまな規制が強化されている昨今、あえて野菜を洗剤で洗う必要性があるのだろうか。
農作物の輸入増からの不安
国土の狭い日本では、野菜や果物の多くを海外からの輸入に依存している。日本国内では農薬の規制が強化されても、海外ではどうなっているかわからない。輸入作物の残留農薬問題で、食の安全が脅かされるという事件も記憶に新しいところだ。
農薬だけでなく、野菜や果物の輸送中にカビや害虫が発生されないように使用されるポストハーベスト、見栄えをよくするワックスなど、人体への影響が懸念されている。とくに、育ち盛りの子どもや抵抗力の弱いお年寄りは、洗剤を使って野菜を洗った方が安心できるのかもしれない。
農薬だけでなく、野菜や果物の輸送中にカビや害虫が発生されないように使用されるポストハーベスト、見栄えをよくするワックスなど、人体への影響が懸念されている。とくに、育ち盛りの子どもや抵抗力の弱いお年寄りは、洗剤を使って野菜を洗った方が安心できるのかもしれない。
無農薬を過信しない
「農薬が心配だから、野菜や果物は無農薬や有機栽培のものにしている」という方もいらっしゃるだろう。無農薬や有機栽培という響きは、確かに健康によさそうに聞こえる。しかし実際のところ有機栽培とはいっても、使用が許可されている農薬であれば使ってもいいことになっている。前の年まで農薬を使って栽培していても、その年に使用していなければ無農薬と表示できてしまう。
こうしたことからも、表示に惑わされることなく食の安全を確保するためには、洗剤の使用も必要なのかもしれない。
こうしたことからも、表示に惑わされることなく食の安全を確保するためには、洗剤の使用も必要なのかもしれない。
3. 野菜を洗う洗剤の選び方
どのような洗剤でも野菜が洗えるというものではない。台所用洗剤でも、用途に「野菜・果物」と記載されているか確認しよう。
天然由来の洗剤を選ぶ
直接口に入れるものだけに、化学薬品や石油が使われた洗剤は使いたくない。そこでおすすめなのが天然由来の洗剤だ。今話題になっているのが、ホタテ貝やホッキ貝の貝殻を使った洗剤だ。貝殻から抽出される水酸化カルシウムはアルカリ性で、野菜や果物の汚れや農薬、ワックスなどを落とすことができる。
アルカリ性洗剤を選ぶ
野菜や果物に付着した汚れや農薬などの性質は、ほとんどが酸性だ。酸性を中和するためには、アルカリ性洗剤が効果的。
アルカリ性で食品の添加物、あるいは掃除によく使わている洗剤が「重曹」だ。重曹には食品用と工業用がある。野菜や果物を洗うときには、口に入れても安心な食品用の重曹を使おう。
アルカリ性で食品の添加物、あるいは掃除によく使わている洗剤が「重曹」だ。重曹には食品用と工業用がある。野菜や果物を洗うときには、口に入れても安心な食品用の重曹を使おう。
4. 野菜を洗剤で洗う方法
野菜を洗剤で洗うとき、どのような点に注意したらいいのだろうか。
洗剤の量に注意
野菜や果物を洗剤で洗うとき、どのくらいの分量を入れたらいいのか迷うところだ。少なすぎて効果がないというのも、多すぎて洗剤が残ってしまうというのも困る。
洗剤の種類によって、投入する洗剤の量は違ってくるので、説明書を確認することが大切だ。食器洗いの中性洗剤を使う場合、メーカーでは水1リットルに対して洗剤0.75mlで薄めて使うことを推奨している。
洗剤の種類によって、投入する洗剤の量は違ってくるので、説明書を確認することが大切だ。食器洗いの中性洗剤を使う場合、メーカーでは水1リットルに対して洗剤0.75mlで薄めて使うことを推奨している。
浸け置きとすすぎ時間に注意
野菜や果物は、洗剤を入れた水に浸け置きにして洗う。一般的に、浸し時間は5分以内にすること。そして、流水で洗剤を洗い落とすのには30秒以上かけることがポイントだ。洗剤によって、浸け置き時間・すすぎ時間が異なる場合もあるので、洗剤の注意書きをよく読んでから使うようにしよう。
結論
野菜や果物を洗うとき、洗剤を使うことはできる。洗剤を使うときには、野菜が洗える洗剤であること、洗剤の量、浸す時間もポイントだ。また、農薬やワックスが落とせても、洗剤成分が残ってしまわないように十分すすぐことも忘れてはならない。近い将来、世界中の国々からの輸入が増えてくれば、野菜を洗うのに洗剤を使うのは当たり前になってくるのかもしれない。