1. サーキュレーターとは?扇風機と何が違う?
まずはサーキュレーターに関する基本的なところから簡単に解説しよう。
空気を「循環」させるための家電
サーキュレーターを英語で表記すると「circulator」となる。日本語訳は「循環装置」といったところだろう。サーキュレーターの役割はこの通り、空気を循環させるというものだ。では、見た目がそっくりな扇風機とはどう違うのだろうか?
サーキュレーターと扇風機の違い
扇風機の主な役割は、冷風を人の肌に当てて体感温度を下げることである。そのため広い範囲にやさしい風が送れるように設計されている。一方、サーキュレーターはあくまで空気循環が目的だ。天井付近に停滞している空気も撹拌(かくはん)する能力がある。そのため人が直接風を受けて心地よいと感じるかどうかはさほど重視されていない。扇風機と比べて、直線的で強い風を送れるのが特徴だ。見た目は似ているが、役割に大きな違いがあると覚えておこう。
2. サーキュレーターのメリット・デメリット
サーキュレーターにはいろいろなメリット・デメリットがある。代表的なものをまとめたので、購入する前に把握しておこう。
メリット1:冷暖房効率がアップする
サーキュレーターの主な役割は空気循環だ。天井のほうに停滞している空気と、床付近に溜まっている空気を循環させて入れ替えるパワーは扇風機よりも強い。エアコンからの冷気や暖気をより遠い場所まで届けることができるため、冷暖房効率がアップする。
メリット2:換気効率がアップする
細菌やウイルス対策にこまめな換気を実践しているご家庭も多いだろう。強力な風で空気を循環させたり送ったりできるサーキュレーターであれば、部屋の換気も効率よくできる。湿気が溜まりやすい場所の除湿対策にも有効だ。
メリット3:電気代の節約につながる
エアコンからの冷気や暖気をサーキュレーターで循環させ、部屋の温度を効率よく均一にすることができれば、エアコンの電気代の節約にもつながる。これが目的でサーキュレーターを購入する方も多いはずだ。
デメリット1:運転音が気になることがある
商品によるが、一般的には扇風機よりも静音性が低い。その分強力な風が送れるというメリットもあるのだが、轟音ではないにせよやや音が気になる、ということはあるかもしれない。
デメリット2:置き方次第では電気代が膨らむ
適切な置き方について詳しくは後述するのでここでは割愛するが、サーキュレーターは置き方を誤ると冷暖房効率が低下し、余計に電気代が膨らんでしまうことがある。
デメリット3:扇風機のような使い方は難しい
人が直接サーキュレーターの風を浴びる、といった使い方は避けたほうがよいだろう。もちろん、かなり遠くの方に設置して「弱」で回せば、緩やかな風が届くこともあるが、直線的で強い風が特徴のサーキュレーターの場合、冷えすぎといったおそれもあるので気をつけよう。
3. 冷房効率がアップするサーキュレーターの置き方
それでは、本題であるサーキュレーターの置き方を解説していこう。よく考えずに適当な置き方をしていた方は、ぜひこれを参考に見直してみよう。まずは冷房効果をアップさせるサーキュレーターの置き方からお教えする。
冷房に適したサーキュレーターの置き方
冷たい空気は下のほうに溜まる。したがってそれをサーキュレーターで効率よく循環させるための置き方を考えればよい。具体的には「エアコンに背を向ける」という置き方が基本になるだろう。冷風をサーキュレーターの背中側から取り込み、前方の壁や四隅などへ向けて風を送る。こうすることで天井付近に溜まっている暖かい空気が下に降りてきて冷やされ、部屋全体を効率よく冷やすことができる。
2部屋に冷気を循環させる置き方
エアコンに背を向けるという基本的な置き方は同じだ。違うのは、その風が向かう方向である。先ほどは壁や四隅に向かって風を送るとお伝えしたが、今度は隣の部屋へ向かって風を送り込める場所に置けばよいのだ。ただし都合よくエアコンとサーキュレーター、隣の部屋の出入り口が一直線上に並ぶとは限らない。そのときは「隣の部屋に冷気を送り込みやすい位置」であることを重視した置き方にしよう。
ロフト付きの部屋だったときのベストな置き方とは?
ロフト付きの部屋の場合、サーキュレーターの2台使いがおすすめだ。1台はお伝えしているようにエアコンの風を背中から受ける場所に置き、その風をロフトに向けて送り込める角度に調節する。もう1台はロフトの上に置き、斜め上の天井に向けて風を送り込める角度に調節しよう。これなら居室空間とロフト、それぞれの空気をうまく循環させられるはずだ。
4. 暖房効率がアップするサーキュレーターの置き方
続いて、暖房効率をアップさせるサーキュレーターの置き方を解説する。冷気と暖気は性質が異なるため、置き方も変えるのが正解だ。
暖房使用時のサーキュレーターの基本的な置き方
暖かい空気は上に溜まる。これを循環させるのが効果的な置き方だ。部屋の形状にもよるが「エアコンの対角線上にサーキュレーターを置く」というのを基本にしよう。そこからエアコンに向けて、つまりやや斜め上を向くようにサーキュレーターの角度を調節して風を送り込む。こうすることで、効率よく天井付近に溜まった暖気を循環させられる。対角線上に家具などの障害物がありストレートに風を送れないという場合は、床に置いたサーキュレーターを真上の天井に向けて風を送ってもよい。
2部屋に暖気を循環させる置き方
冷たい空気と違い、天井付近に溜まる暖かい空気を隣の部屋に効率よく送るには、ちょっとしたコツが要る。置き方のポイントは「エアコンがある部屋の中央に、天井に向かって風を送るように設置する」ことだ。こうすることで、エアコンがある部屋の天井付近に溜まっている暖かい空気が分散し、下に降りてくると同時に隣の部屋へ流れていくというわけだ。
ロフト付きの部屋だったときのベストな置き方とは?
冷房のときと同じように2台使いをしよう。ただし今度は空気の流れが逆になる。エアコンの真下にサーキュレーターを置き、真上に向かって風を送り込めるよう角度を調節しよう。これで、エアコンからの暖気が天井を伝いロフトのほうへ流れ込む。ロフトに置いたサーキュレーターは、居室空間の床へ向けて風を送り込めるように角度を調節しよう。
5. 冷暖房以外にもある!サーキュレーターの効果的な使い方
ここまで、冷暖房効率をアップさせるサーキュレーターの置き方をメインに解説してきたが、サーキュレーターが優秀なのはそれ以外にもさまざまな使い方ができる点だ。代表的なものを紹介するので、ぜひ役立ててほしい。
洗濯物を効率よく乾かすサーキュレーターの置き方
部屋干しによる生乾きのイヤなにおいは、濡れている状態が長く続いたことによる雑菌の繁殖が主な原因だ。これを防ぐには、いかに効率よく短時間で乾かせるかがポイントになる。洗濯物に直接風が当たる場所にサーキュレーターを置けば速乾が可能だ。エアコンの冷暖房を使用しているのであれば、背を向けて洗濯物に向かって風を送り込むのもよい。
加湿器や空気清浄機との併用もおすすめ
加湿器から放出される湿気を含んだ空気を、サーキュレーターで部屋全体に行き渡らせることにより、効率よく部屋の湿度を均一にできる。また空気清浄機が吸気しきれない離れた場所の空気も、サーキュレーターを使って循環させることで効率よくキレイにできる。
6. サーキュレーターの選び方
各メーカーからさまざまなサーキュレーターが発売されているため、いざ選ぼうとすると迷ってしまうことがある。価格も大切だが、ほかにも着目すべきポイントがあるので覚えておこう。
モーターの種類
DC(直流)とAC(交流)がある。DCは、価格は高いが機能が豊富で、消費電力も少ないというメリットがある。一方ACはDCと比べて消費電力が多いという欠点はあるものの、価格が安いためお試しで購入するのにも向いている。
風力
実際に使ってみないと分からない部分なので難しいところだが、適用畳数(床面積)などをチェックするとよいだろう。弱中強の切り替えや無段階切り替えができるほうが、なにかと使い勝手がよい。
首振り機能の有無
上下に動くものは多いが、左右や斜めなどに動かしたいときは首振り機能があるものを選ぼう。洗濯物を乾かしたいときなどはとくに首振り機能があると便利だ。
オフタイマーの有無
オフタイマーがあれば、朝サーキュレーターをオンにして出かけることができる。あるいは夜、寝ている間に洗濯物に当てておきたいときなども便利だろう。
リモコンの有無
離れた場所からオン・オフできたり、首振りや風力を調節できたりする機種もある。
静音性
風力と同じく実際に使ってみないと分からない部分が多いが、音によるストレスをできるだけ減らしたいという方は、静音機能などと書かれているサーキュレーターで絞り込むとよいだろう。
お手入れのしやすさ
安いサーキュレーターの中には、カバーが取り外せないものや、ネジを何本も外さなければならないなどお手入れが面倒なものがある。羽根にホコリが溜まってしまうと、部屋中にホコリを撒き散らしてしまうだけでなく、サーキュレーターの動きが悪くなったり故障につながったりするおそれもあるため、定期的なお手入れが大切だ。分解できるかどうかを見ておくのも忘れないようにしよう。
7. サーキュレーターの置き方を覚えて快適に暮らそう
お伝えしてきたように、サーキュレーターは置き方ひとつで効果が大きく変わってくる。今まで置き方にとくにこだわってこなかった方は、ぜひこれを機に見直してみよう。ちょっとしたことかもしれないが、うまくいけばエアコンの電気代の節約につながるかもしれない。
結論
空気循環が主な目的であるサーキュレーターは、エアコンとの併用がおすすめだ。ただし冷房時と暖房時とでは置き方が異なるため気をつけよう。また2部屋同時に、あるいはロフトの上などにも効率よく冷気や暖気を送る置き方もある。ぜひ本稿を参考に、効率よく使ってほしい。