目次
1. 時間が経った油汚れが掃除しにくい理由

キッチンでは、炒め物や揚げ物などの調理のときに油を使うことが多い。油はねや油煙が、壁や床など、いたる所に付着してギトギトになってしまう。
付着してからすぐに拭き取れば、まだ掃除も簡単だが、冷えて時間が経った油汚れは落ちにくい。これは、飛び散った油汚れが空気に触れて酸化することによって樹脂化してしまうからだ。樹脂化した油汚れは、まさに樹脂のように硬くなり、洗剤も浸透しにくくなる。そのため、洗剤を使ってこすっても、なかなか落ちない油汚れとなってしまうのだ。
また、プラスチック製の食器やお弁当箱の油汚れがスッキリ落ちないという悩みも多い。これは、プラスチックは石油製品のため、油との相性がよく、くっつきやすい性質をもっているからだ。
2. 油汚れにおすすめの洗剤

油汚れは「酸性」の性質をもつ。そのため、逆の「アルカリ性」の性質をもつ洗剤を使えば中和して汚れを落としてくれる。油汚れと相性のいい洗剤を紹介しよう。
重曹
重曹は環境にも人にもやさしい、ナチュラルクリーニングを代表するアイテムだ。アルカリ性の性質があり、油汚れに対する効果が高い。お湯に溶かしてスプレーして使う。分量は、お湯100mlに対して、重曹小さじ1杯が目安だ。油汚れがひどい場合には、ペースト状にして塗ると、油汚れが柔らかくなって取れやすくなる。さらに研磨作用もあるので、樹脂化した油汚れもこすり落とすことができる。
セスキ炭酸ソーダ
セスキ炭酸ソーダとは、重曹と炭酸ナトリウムでできたアルカリ性洗剤だ。重曹よりも水に溶けやすく、洗浄力が高いのが特徴だ。アルカリ濃度があまり高くないため、素手で触っても肌荒れしにくい。
クエン酸
クエン酸は酸性成分だ。アルカリ性の汚れに反応して汚れを落とすことができる。酸性成分なので、油汚れを落とすパワーはないが、重曹とクエン酸を混ぜることで中和反応を起こし、泡の力でガンコな油汚れを浮かび上がらせて落とすことができる。
中性洗剤
食器洗い用洗剤のほとんどは、中性洗剤だ。中性洗剤には、界面活性剤が使われることが多く、油汚れを落とす効果が高い。それほど時間が経っていない油汚れなら、中性洗剤を含ませたスポンジでスッキリと落とすことができる。
メラミンスポンジ
メラミン樹脂を発泡してつくられたメラミンスポンジは、網目状の繊維でできている。この網目状の繊維に研磨作用があり、消しゴムのようにこすることでガンコな汚れを落とす。
3. キッチンの油汚れの落とし方

油汚れと相性のいい洗剤を使いながら、キッチンの油汚れを落としていこう。場所別に落とし方を説明する。
コンロの油汚れの落とし方
まず、コンロに付いている部品をすべて取り外す。五徳や排気カバーは、お湯1Lに対し重曹大さじ2杯を加えたところに1時間ほど浸け込んで、油汚れを柔らかくしておこう。
油汚れが浮き出たところで、ブラシなどを使ってこすり洗いをする。
レンジ台の掃除は、前述した方法で重曹スプレーをつくり、レンジ台にたっぷりと吹き付けて、油汚れを分解してから拭き取れば完了だ。
グリルの油汚れの落とし方
魚などの食材が直接触れるグリルは、身体にやさしい重曹での掃除がおすすめだ。コンロの掃除のときのように、重曹を溶かしたお湯に30分以上浸け込んで、油汚れや焦げ付きを柔らかくしておこう。柔らかくなったところで、ブラシを使ってこすり洗いをする。
換気扇の油汚れの落とし方
換気扇はにおいだけでなく、油煙も吸い込んで排出するため、油汚れが付きやすい場所だ。軽度な油汚れなら、重曹スプレーをまんべんなく吹き付ける。重曹成分が乾かないようにラップでカバーして10分程放置する。その後、ブラシでこすりながらお湯で洗い流そう。
壁の油汚れの落とし方
壁がビニールクロスやタイルの場合なら、ご自宅にある洗剤で油汚れを落とすことができる。水に浸した雑巾を固く絞り、洗剤をスプレーして下から上へと拭き上げていく。最後に水で濡らして絞った雑巾で汚れと洗剤成分を拭き取る。
電子レンジの油汚れの落とし方
耐熱容器に重曹と水を入れて約5分間加熱する。重曹水の水蒸気が電子レンジの庫内全体に行き渡ったところで10分間放置する。この間に、電子レンジにこびりついた油汚れが柔らかくなるため、落としやすくなる。
その後、ウエスなどで汚れを拭き取る。重曹には消臭効果もあるので、電子レンジの嫌なにおいも一緒に落とすことができる。
4. キッチンの油汚れを防ぐコツ

キッチンの油汚れは、時間が経つにつれてガンコな汚れに変化していく。掃除を楽にするためには、日頃から油汚れが付かないようにすることが大切だ。
油が付いたらすぐ拭き取る
油汚れは、時間が経つと落ちにくくなるが、付いてすぐの場合なら水拭きでも簡単に落とすことができる。料理のすぐ後に、必ず濡れた雑巾で拭くことを習慣にすると油汚れを防ぐことができる。
油はねガードを利用する
天ぷらやフライパン調理のときには、油はねが多くなりやすい。油で汚れやすいコンロ周りに油はねガードを活用すると、油汚れの拡散を防ぐことができる。100均でも購入できるので、手軽で便利だ。
5. 【番外編】服に付いた油汚れの洗濯方法

油汚れが服に付いてしまった場合、どのように対処すればいいのだろうか。
まず、油汚れが付いてしまった服をぬるま湯に浸す。油汚れは温度が高いほど落としやすくなるためだ。次に、油汚れに食器用洗剤を塗って、歯ブラシなどで部分洗いをする。油汚れが広がらないように、外側から内側へと細かくこするように動かすのがコツだ。後は普通に洗濯すれば油シミをキレイにできる。
結論
油汚れがガンコな理由は、時間が経ってしまったからだ。油汚れに強いアルカリ性の洗剤で汚れを落とそう。せっかくキレイにしたキッチンを油汚れから守るためには、こまめに掃除をすることと、油はねガードなどのアイテムを活用することが大切だ。油汚れから解放されたキッチンを目指そう。