- 1. エアコンはどんな仕組みで温度調節している?
- 2. エアコンの冷暖房や除湿で電気代に差がある?
- 3. エアコンの電気代の計算方法
- 4. エアコンの電気代は平均どれくらい?
- 5. エアコンはつけっぱなしのほうが電気代が安い?
- 6. エアコンの電気代を節約する方法
1. エアコンはどんな仕組みで温度調節している?
そもそもエアコンはどのような仕組みで温度調節しているのだろう。
冷房の仕組み
エアコンの室内機と室外機をつなぐパイプの中には、冷媒が循環している。冷房の場合、室内機の中の冷えた冷媒が部屋の中のあつい空気から熱をもらい、パイプを通って室外機から排出される。つまり、冷房中の室外機からは熱風が排出される。そして、これを繰り返すことで部屋の温度が下がるのだ。
暖房の仕組み
暖房も空気の持つ熱を冷媒が運ぶことによって、部屋の温度をコントロールしている。暖房の仕組みは基本的に冷房と同じと考えていいだろう。違いは、室外機で取り込んだ冷たい外気を冷媒に吸熱させ、圧縮することにより高温の気体に変化させて室内に運ぶ点だ。
除湿の仕組み
除湿の仕組みは冷房の仕組みとほとんど同じだ。室内で取り込んだあたたかい空気を冷やし、水分を結露させて室外に排出する。冷房は温度を下げて冷やすが、除湿は水分を取り除いて湿度を下げる機能だ。
2. .エアコンの冷暖房や除湿で電気代に差がある?
エアコンの冷暖房、除湿では、電気代に大きな差があるのだろうか。
冷房より暖房のほうが高くなりやすい
エアコンは、暖房のほうが冷房よりも電気代は高くなりやすい。その理由は、外気温と室温との差だ。たとえば冷房を使うときの環境を考えてみよう。外気温が35℃で室温27℃の温度設定をする。外気温と設定温度の差は8℃になる。
一方で暖房を使うときの環境は、外気温が0℃で室温16℃の温度設定をする。外気温と設定温度の差は、倍の16℃となる。エアコンは、設定温度にするまでに電気を多く使う家電だ。冷房よりも暖房のほうが設定温度になるまでに多くの電気を使うため、電気代が高くなりやすい。
除湿は運転方法で電気代が変わる
エアコンの冷房よりも除湿のほうが電気代が安いのではないか。そう考える方も多いだろう。実際は、運転方法によって冷房のほうが電気代が安くなることもある。
除湿の運転方法には「弱冷房除湿」と「再熱除湿」がある。弱冷房除湿は湿度を下げるだけなので弱い冷房と同じような環境となり、消費電力は少なくなる。しかし、再熱除湿は温度を下げずに湿度のみを取るのが特徴だ。温度が下がった空気を一度あたためてから室内に戻す。冷房と暖房を同時に行っている状態なので、電気代は高くなる。
3. エアコンの電気代の計算方法
エアコンの仕組みがわかったところで、エアコンの電気代の計算方法を詳しく見てみよう。
ここでは料金単価(円/kWh)を27円として計算している。
1時間あたりの電気代の計算方法
たとえば6畳用のエアコンの場合、標準的な消費電力は冷房で110~920W、暖房で105W~1,480Wとなっている。
「1時間あたりの消費電力=(kW)×使用時間(時間)×27円」という計算式に当てはめると、冷房と暖房時の電気代は、それぞれ以下のような結果になる。
冷房の場合
110W÷1,000kW×27円=2.97円
920W÷1,000kW×27円=24.84円
1時間あたり2.97円~24.84円の電気代となる。
暖房の場合
105W÷1,000kW×27円=2.84円
1,480W÷1,000kW×27円=39.96円
1時間あたり2.87円~39.96円の電気代となる。
期間消費電力量をもとにした計算方法
1年間の電気代は、期間消費電力量をもとに計算できる。
計算式は「期間消費電力量(kWh)× 27円」で求められる。
たとえば、期間電力消費量が冷房時で180kWh、暖房時で450kWh、合計630kWhのエアコンで計算してみよう。
冷房:180kWh × 27円/kWh = 4,860円
暖房:450kWh × 27円/kWh = 12,150円
1年間のエアコンの電気代は17,010円となる。
4. エアコンの電気代は平均どれくらい?
エアコンの電気代は、部屋の広さや部屋にいる人数によって変化する。電気代の目安をチェックしてみよう。(※1)
部屋の広さ別で見る電気代
1時間あたりの冷房の電気代
6畳:110~920W 2.97~24.84円
8畳:110~1,030W 2.97~27.81円
10畳:110~1.150W 2.97~31.05円
14畳:110~1,460W 2.97~39.42円
1時間あたりの暖房の電気代
6畳:105~1480W 2.84~39.96円
8畳:105~1980W 2.84~53.46円
10畳:105~1980W 2.84~53.46円
14畳:105~1980W 2.84~53.46円
世帯の人数別で見る電気代
エアコンは、家電製品の中でも電気使用量が多く、全体の7.4%を占めているという。
世帯人数別でエアコンの電気代を調べてみよう。(※2)(※3)
単身世帯
年間の平均電気代は65,616円なので
65,616円×0.074=4,855円となる。
エアコンを10カ月使用したとして、ひと月あたり平均485円がエアコンの電気代だ。
2人以上の世帯の場合
年間の平均電気代は123,804円なので
123,804円×0.074=9,161円となる。
エアコンを10カ月使用したとして、ひと月あたり平均916円がエアコンの電気代だ。
5. エアコンはつけっぱなしのほうが電気代が安い?
よく耳にするのが、エアコンはつけっぱなしのほうが電気代が安くなるという話だ。実際にはどうなのだろう。
つけっぱなしが電気代が安いと言われる理由
なぜエアコンはつけっぱなしの方が電気代が安いといわれるのだろう。それは、室温と設定温度の差が大きくなればなるほどエアコンの消費電力が大きくなることに由来する。
エアコンをこまめに消すと、室温と設定温度の差が大きくなる。一方つけっぱなしにしておくと継続的に電気は消費するものの、急激に消費電力が増すことはないためだ。
時間帯によってはお得になる
つけっぱなしにしておいた方がエアコンの電気代が安くなるのは、時間帯にもよる。9:00~18:00の日中なら35分まで、18:00~23:00の夜間なら18分までの外出ならつけっぱなしの方が電気代が安くなる。(※4)
6. エアコンの電気代を節約する方法
電気代の高騰に対抗するため、エアコンの電気代を少しでも節約する方法を紹介しよう。
適切な温度設定にする
エアコンは室内の温度と設定温度の差が大きいほど、消費電力もアップして電気代がかかる。設定温度を極端に上げたり、下げたりしないことがポイントだ。
風向を調節する
エアコンの温度を下げるよりも、風向きを調整する方が電気代がかからない。冷房の場合は、冷たい空気は下にたまるので、風向きを上か水平に調整する。また、風向きを変えることで体感温度が下がるため、設定温度よりも涼しく感じる。
自動運転にする
自動運転よりも、弱風、微風の方が電気代が節約できそうなイメージだ。しかし、弱風や微風では設定温度までに時間がかかってしまうため、むしろ電気代がかかってしまう。自動運転にすれば効率よく部屋を冷やしてくれて、電気代も抑えることができる。
定期的にフィルター掃除する
エアコンのフィルターにホコリが詰まっていると、効率が悪くなって電気代が高くなってしまう。エアコンの使用頻度にもよるが、2週間~1カ月に一度を目安にフィルターの掃除をしよう。
サーキュレーターで空気を循環させる
サーキュレーターや扇風機を使い、部屋の中の空気を循環させることによって、効率よく部屋全体を冷やしたり温めたりできる。
室外機の掃除をする
エアコン室内機のフィルターだけでなく、室外機も掃除をしよう。室外機にホコリが詰まっていると、エアコンの効率が悪くなってしまう。
すだれやシェードを活用する
夏場は窓から外気熱が伝わって部屋の温度を上げてしまう。そこで、すだれやシェードを上手に活用して室温の上昇を防ごう。エアコンの消費電力を減らすことができる。
省エネのエアコンに買い替える
10年以上エアコンを使っているなら、省エネタイプのエアコンに買い替えるという方法もある。初期費用はかかるが、長い目で見ると電気代が抑えられお得かもしれない。
結論
エアコンの電気代は、設定温度と室温の差が大きい暖房の方が冷房よりも高くなりやすい。また、エアコンの電気代は、部屋の広さや世帯人数によっても変わってくる。エアコンの電気代を節約するためには、適切な温度設定、風向き、自動運転、フィルターや室外機の掃除をこまめに行うことが大切だ。
参考文献
※1出典:Panasonic|畳数ごとの比較
※2出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)「単身世帯」
※3出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)「「二人以上の世帯」
※4出典:ダイキン工業株式会社
エアコンの電気代「つけっぱなし」と「こまめに入り切り」冷房で節電なのはどちら?