目次
- 1. 熱湯などによる「やけど」とはどのような傷なのか
- 2. 熱湯などによるやけどの深度と重症度
- 3. 熱湯などでやけどをしたときの応急処置
- 4. 熱湯などでやけどをしたときはまず冷やしてから皮膚科や形成外科へ
1. 熱湯などによる「やけど」とはどのような傷なのか

熱湯などによる「やけど」とは、そもそもどのような傷なのだろうか。ここではやけどの症状や特徴、治療方法などを紹介する。
皮膚や粘膜に生じる外傷のひとつ
やけどは皮膚や粘膜に生じる外傷のひとつで、皮膚に熱湯や熱い金属、炎などが触れることで起こる。肌が赤くなってヒリヒリする、水ぶくれができるといった症状が特徴だ。やけどした表面が乾燥すると症状が進行しやすくなるので、治療には傷を覆うシートや塗り薬・貼り薬を使うケースが多い。
「低温やけど」との違いは?
やけどには「低温やけど」と呼ばれるものがある。低温やけどとは、カイロ・湯たんぽ・電気毛布など、熱湯などよりは低い温度に長時間触れて起こるものだ。熱が時間をかけてダメージを与えるため、通常のやけどより皮膚の深い部分まで損傷するケースが多い。範囲が狭い場合は1ヶ月から数ヶ月ほどかけて治癒するが、ひどい場合は皮膚移植手術が必要になることもある。
やけどの跡は残るのか?
やけどの跡が残るかどうかについては、多くの場合やけどの深度に関わりがあるようだ。深度については以下でくわしく説明しよう。
(参考文献)
※出典:彦根市立病院「知って得する病気の話_やけどのおはなし(形成外科)」
※出典:みずたに皮膚科「やけど」
※出典:日本創傷外科学会「やけど(熱傷)」
2. 熱湯などによるやけどの深度と重症度

熱湯などでやけどした場合の深度は、大きくⅠ度・Ⅱ度・Ⅲ度の3種類に分けられる。なかでもⅡ度は、状態によって浅達性と深達性に分類できる。ここでは深度に加え、重症度についても見ていこう。
やけどの深度
【Ⅰ度(EB)】
やけどした部分が赤くなってヒリヒリするが、数日で改善する程度のやけどだ。熱湯や熱い金属などに触れてしまった場合に多く見られる。
【浅達性Ⅱ度(SDB)】
やけどした部分が赤くなって水ぶくれができ、強い痛みがある場合の深度だ。10日ほどで改善し、跡が残らない場合が多い。皮膚に熱湯がかかるなどのケースでよく見られる。
【深達性Ⅱ度(DDB)】
やけどした部分が赤くなって、水ぶくれの下の皮膚が白くなると深達性Ⅱ度とされる。痛みは弱いようだが、改善までに2週間以上かかりやすい。また、跡が残る場合も多い。
【Ⅲ度(DB)】
皮膚だけでなく、皮下組織や筋肉までやけどした状態だ。皮膚が壊死して白っぽい色や黒っぽい色になる。神経も同時に損傷しているため、痛みは感じないケースが多い。火災などでやけどしたケースによく見られる。
やけどの重症度
やけどの重症度は、外来治療が可能な「軽症」、一般病院に入院が必要な「中等症」、専門施設に入院が必要な「重症」の3つに分けられる。これらはやけどした範囲や部位、深度、年齢などから総合的に判断される。
(参考文献)
※出典:みずたに皮膚科「やけど」
※出典:日本創傷外科学会「やけど(熱傷)」
※出典:宮崎江南病院「やけどについて」
3. 熱湯などでやけどをしたときの応急処置

熱湯がかかった、やかんに触れたなどでやけどをした場合、すぐに応急処置を行おう。応急処置の有無がやけどの深度にも関係するので、以下の方法でしっかり対処しておきたい。
直ちに流水で5~30分ほど冷やす
熱湯などでやけどをしたら、すぐに流水で5~30分ほど冷やそう。衣類の下をやけどした場合、無理に脱ぐと水ぶくれを破いてしまう場合がある。服は脱がずに上から冷水を当てよう。やけどの範囲が小さい場合は水道水で、大きい場合は風呂場でシャワーを使うとよい。またやけどした部分は徐々に腫れてくるので、指輪などのアクセサリーは早めに外しておくのがおすすめだ。
子どもや高齢者は低体温に注意する
子どもや高齢者がやけどした場合は、流水で長時間冷やしていると低体温になるおそれがある。そのため無理に冷やし続けないよう注意しよう。
水ぶくれがあるときは破らずに病院へ
水ぶくれができてしまった場合は、破らずに病院へ行くのが正しい対処法だ。水ぶくれを破ると、やけどした表面が露出して乾燥しやすくなり、痛みなどの症状が悪化するおそれもあるため注意してほしい。
(参考文献)
※出典:みずたに皮膚科「やけど」
※出典:日本創傷外科学会「やけど(熱傷)」
※出典:公益社団法人日本皮膚科学会「やけどの応急手当はどうしたらよいですか?」
※出典:彦根市立病院「知って得する病気の話_やけどのおはなし(形成外科)」
4. 熱湯などでやけどをしたときはまず冷やしてから皮膚科や形成外科へ

熱湯などでやけどをしたときは、まず熱源の除去と冷却を最優先に対処しよう。速やかに応急処置を行うことで、やけどの深度を軽く抑えられるケースもある。その後、皮膚科や形成外科などを受診して適切な治療を受けることが大切だ。
(参考文献)
※出典:宮崎江南病院「やけどについて」
※出典:公益社団法人日本皮膚科学会「やけどの応急手当はどうしたらよいですか?」
結論
熱湯がかかるなどでやけどをした場合は、何よりも冷水で冷やすことが必要になる。しかし子どもや高齢者の場合は、冷やし続けることで低体温になるおそれがあるので注意しよう。またやけどで水ぶくれができるケースも多いが、症状を悪化させないためにはできるだけ破らないよう気をつけてほしい。