目次
- 1. マスクを着用していても口臭は漏れる
- 2. マスク着用中に口臭が漏れる原因
- 3. 口臭には「病的口臭」と「生理的口臭」がある
- 4. マスクから漏れる口臭そのものを軽減する方法|口臭対策7選
- 5. マスク着用中に口臭が漏れるのを防ぐ方法
- 6. マスク着用中でも口臭は漏れる!「口臭対策」を実践しよう
- ※1:「マスク漏れ臭」にご注意を! _ ニュースリリース _ 小林製薬株式会社
https://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2021/210907_01/
1. マスクを着用していても口臭は漏れる

そもそもマスクには口臭を防ぐ効果があるのだろうか?
「マスクで口臭対策」は難しい
たしかに着用していないケースと比べれば、マスクを着用していたほうが口臭は気づかれにくいかもしれない。だがマスクは本来、細菌やウイルスが侵入するリスクを低減したり、自身の飛沫を飛散させにくくしたりするためのものである。口臭はマスクと自分の顔の間にこもり、やがて左右上下の隙間から漏れる。
小林製薬による実験でも「マスクを着用していてもニンニク臭が漏れていた」という結果が出ている(※1)。しかも左右上下のみならず、正面からもにおいが検出されたうえ、におい成分の濃度はマスクを着用していないときとほとんど変わらないということであった。こうしたことからも、マスクをしていても口臭は漏れると思ってよいだろう。
2. マスク着用中に口臭が漏れる原因

そもそも、マスクを着用しているときに口臭が漏れるのはなぜなのか、もちろん上述のように「マスクには口臭を防ぐ効果がない」というのが大きな理由だが、もうひとつ原因がある。
「口呼吸」や「会話」をしている
まず、口臭が漏れる原因として「口呼吸」が考えられる。マスクを着用しているとどうしても鼻呼吸では息苦しく感じることがあり、無意識のうちに口呼吸になってしまっていることがある。あるいは誰かと会話をしたときも、通常であれば空気中に放出されるにおい成分がマスクの内側にこもり、やがて漏れてしまう。
マスクそのものが臭いこともある
マスクには呼気中の細菌が付着する。口腔内には多くの細菌が生息しており、湿潤な空気中で繁殖しやすい。長時間マスクを着用すると呼気がマスクの内側に溜まって湿潤状態となり、雑菌が繁殖して「生臭く」感じるようになる。飛沫や皮脂などに含まれる細菌なども付着するため、マスクの内側は雑菌の温床となっているおそれがある。
3. 口臭には「病的口臭」と「生理的口臭」がある

マスクを着用中に自分の口臭が臭いと感じる理由は、そもそも「口臭に問題がある」「マスクに雑菌が繁殖している」といったところが主なところであろう。ここでは前者、すなわち「口臭に原因がある場合」について解説する。
病的口臭とは
たとえば歯周病だ。歯茎に歯周ポケットができ、細菌が繁殖する硫化水素やメチルメルカプタンなどを発生させ、口臭をきつくする。生ごみのような腐敗臭が特徴的である。気になる方はぜひ歯科医院を受診しよう。また「病気」ではないが、膿栓(いわゆる臭い玉)ができやすい方の場合も、口腔内で潰れて強烈なにおいを発生していることがある。
生理的口臭とは
一方、生理的な口臭は誰にでも起こりうる。空腹時や起床後など、唾液の分泌量が少ないといった口内環境で口臭が強くなったり和らいだりする。においの強烈な食べ物を口にしたときなどもそうだ。ただしこちらは病気ではないため、あまり気にする必要はない(時間とともに和らぐ)。
4. マスクから漏れる口臭そのものを軽減する方法|口臭対策7選

マスクを着用する以上、においがある程度気になってしまうのは仕方がない。だが口臭を少しでも軽減する方法はある。
正しいオーラルケアを習慣化する
口内環境を整えるには正しいオーラルケアを習慣づけることが何よりも大切だ。とくに就寝前と起床後の歯磨きは欠かさないようにしよう。就寝中は唾液の分泌量が低下するため、雑菌が繁殖して口臭がきつくなることがある。
就寝前に歯磨きをして細菌を減らし、起床直後にもう一度歯磨きをして、就寝中に増えた細菌を除去するというわけだ。
歯周病や虫歯などがあれば治療する
上述のように、歯周病などで細菌が繁殖していると生ごみやドブなどと比喩される強烈なにおいを発するようになる。歯周病はとくに自然治癒するものではないため、速やかに歯科医院を受診して治療してもらうようにしよう。
意識的に「鼻呼吸」をする
口呼吸で口腔内が乾燥すると、雑菌が繁殖して口臭がきつくなることがある。息苦しいのを我慢する必要はまったくないが、楽に呼吸ができている状態であれば意識的に鼻呼吸をするのも口臭対策になる。
舌苔を除去する
舌の上(とくに奥のほう)に白または黄白色といった苔のようなものがびっしりこびりついていないだろうか?舌苔(ぜったい)といい、口臭を生む細菌が繁殖しているおそれがある。舌ブラシや舌ベラで除去して口臭予防につなげよう。
ただし健康な舌でも、ある程度奥のほうは白っぽいものだ。必要以上に気にしてゴシゴシ掃除してしまうと味蕾(味を感じる器官)を傷つけるといったリスクもある。可能であればまずは歯科医院を受診して、舌苔なのかどうか確認してもらうとともに、適切な対処方法を相談してみよう。
膿栓(臭い玉)を除去する
扁桃の小さなくぼみなどに溜まりやすいのが膿栓である。細菌の死骸などが固まったものだ。潰すとドブのようなにおいがすることから「臭い玉」とも呼ばれている。通常、食べ物などと一緒に飲み込んだり、せきをした拍子にポロッと取れたりする。だが口腔内が乾燥していたり雑菌が繁殖していたりすると、次々とできてしまうことがある。
シャワーを当てるといったセルフケアもあるが、おそらく素人には難しいうえ扁桃を傷つけるといったリスクもあるため、やはり歯科医院を受診することをおすすめする。
水分補給やガムを噛むなどして口腔内の乾燥を防ぐ
ドライマウスも口臭の一因となる。こまめに水分をとったりガムを噛んだりして唾液の分泌量を増やし、口腔内が乾燥しにくい環境を作ろう。水分をとることで食べカスといったにおいの元を洗い流せるし、ガムを噛むことで自然な唾液分泌が促され、細菌の繁殖を防ぐといった効果が期待できる。なおガムを選ぶ際は、歯の健康のためシュガーレスタイプがよいだろう。
においが強いものを食べたときはマウスウォッシュを
においが残りやすい飲食物を口にしたときは、可能であれば歯磨きを、難しければガムを噛むなどしよう。あるいはマウスウォッシュを常に携帯しておき、ササッとうがいをするといった方法もおすすめだ。
5. マスク着用中に口臭が漏れるのを防ぐ方法

マスクから口臭が漏れるのがどうしても気になるという方は、口臭予防とあわせてマスクにも対策を講じるとよいだろう。
こまめにマスクを取り換える
マスクを長時間着用すると細菌が繁殖し、口臭などのにおいがきつくなる。逆をいえば、マスクから口臭などのにおいが漏れる前に新しいマスクに交換すればよいのだ。衛生面も考慮し、少なくとも1日1回、可能であれば移動ごとなどに交換しよう。
マスク用の消臭スプレーを吹きつける
口から漏れる口臭だけでなく、マスク特有のにおいも軽減してくれるのがマスク用の消臭スプレーだ。マスクは口に直接触れるものなので内側ではなく「外側」に吹きつけよう。口臭対策とともにリフレッシュ効果も期待できる、アロマスプレーといった香りつきのものもある。
マスクを顔にぴったりフィットさせる
マスクから漏れる口臭の量を少しでも減らすには、マスクを顔にぴったりフィットさせておくことも大切だ。ただし冒頭で少し触れたように、小林製薬の実験ではマスクを着用していてもしていなくても、漏れるにおい成分の濃度に大差はなかった。そのため気休め程度かもしれないが「ダダ漏れ状態」は少しは防げるだろう。
ろ過率の高いマスクを着用する
布(ガーゼ)やウレタンといったマスクよりも、不織布マスクのほうがろ過率が高い製品が多い。どれくらいウイルスなどをキャッチできるかという、フィルターの性能と考えてよいだろう。パッケージに「BFE試験」「VFE試験」「PFE試験」といった記載があり、かつカット率が高いものを選ぶのがおすすめだ。
ただしにおい成分は非常に微細な粒子であるため、完全にカットすることはできないのでご留意いただきたい。
6. マスク着用中でも口臭は漏れる!「口臭対策」を実践しよう

マスクは本来、細菌やウイルスが体内に侵入するリスクを低減したり、自分の飛沫が空気中に飛散するのを防いだりすることが目的だ。細菌やウイルスよりも微細なにおい成分を防ぐ効果はほとんど期待できない。すなわちマスクから口臭が漏れるのを防ぐのは難しいということになる。
このことからも、マスクに何らかの対策を講じるより、口臭そのものを(病的口臭である場合はとくに)軽減するための対策を講じることが、効率的かつ根本からの解消につながるはずだ。病的口臭の場合、セルフケアよりもまずは歯科医院を受診し、正しい診断と適切な対処方法を相談してほしい。
結論
マスク着用中に気になる口臭は、呼気中の細菌が付着し繁殖すること、そもそも口臭がきついことなどさまざまな理由がある。マスクから口臭が漏れるのを防ぐことはできないので、少しでも軽減するために正しいオーラルケアなどを実践しよう。
(参考文献)