目次
1. 筋肉痛が現れるタイミングに年齢は関係ない

「筋肉痛は加齢ともに遅れて現れるようになる」といった俗説を聞いたことはないだろうか。しかし、これに関する科学的な根拠はない。若くても運動してから2日後に筋肉痛が出ることもあれば、年を重ねても運動してからすぐに筋肉痛が出ることはある。つまり、年齢は筋肉痛が遅れて現れる要因にはならないのだ。
2. 運動してから2日後に筋肉痛が現れる理由

筋肉痛が現れるタイミングには、主に「筋肉痛の種類」と「運動強度」が関係している。ほかにも筋肉痛の要因は挙げられるが、まずは主な要因であるこの2つについて確認しよう。
筋肉痛には即発性筋痛と遅発性筋痛がある
筋肉痛には、運動中や運動後すぐに現れる「即発性筋痛」と、運動後しばらくしてから現れる「遅発性筋痛」の2種類がある。それぞれの特徴を簡潔にまとめると以下のようになる。
- 即発性筋痛...疲労物質の蓄積や筋繊維の損傷などによって生じる痛み
- 遅発性筋痛...壊れた筋肉を修復させる際に起きた炎症にともなう痛み
なお、一般的にいう筋肉痛は、遅発性筋痛であることがほとんどだ。そのため、筋肉痛が運動の翌日に現れても、2日後に現れても同じ遅発性筋痛なのだ。一方、即発性筋痛は短距離走や重量挙げといった短時間で強い負荷がかかる運動をした場合に起こるものをいう。
筋肉痛の発生には運動強度が関係している
筋肉痛の現れ方には、運動の負荷の大きさである運動強度も関係している。運動強度にはMETs、心拍数、主観的運動強度(RPE)などの指標があり、たとえば、RPEとは運動時のキツさを「非常に楽である」から「非常にきつい」までで自己評価して表す指標のことだ。
運動強度上、より負荷の強い運動や非常にきつい運動に取り組めば、それだけ筋肉が傷つきやすいため即発性筋痛が起こる可能性は高まる。一方、強度が低い運動をしている場合には即発性筋痛は起こりにくく、後日ゆっくりと遅発性筋痛だけが起こることになる。
運動強度上、より負荷の強い運動や非常にきつい運動に取り組めば、それだけ筋肉が傷つきやすいため即発性筋痛が起こる可能性は高まる。一方、強度が低い運動をしている場合には即発性筋痛は起こりにくく、後日ゆっくりと遅発性筋痛だけが起こることになる。
「2日後」に筋肉痛が現れる理由は分かっていない
運動内容や運動時間などが、筋肉痛が現れるタイミングに関係していることは分かっている。しかし、「なぜ運動した2日後に現れるのか」を説明するだけの十分な研究結果は出ておらず、そもそも「2日後に筋肉痛が発生する」という事象自体を証明できていないのが現状だ。それゆえ、筋肉痛が2日後に現れるという話が俗説の域を出ることはない。
3. 運動した翌日に現れた筋肉痛が2日後も続く理由

筋肉痛のほとんどは遅発性筋痛であるが、なぜ筋肉痛は数日間続くのだろうか。その疑問を解消するために「超回復」について説明しよう。
筋肉の回復には48時間~72時間程度を要する
運動やトレーニングによって壊れた筋肉(筋線維)は、一度分解されてから強くて新しい筋肉へと修復される。このことを「超回復」という。しかし、この超回復の過程では筋肉に炎症が起きて、それが痛みとなって身体に現れるのだ。すなわち、この超回復が終われば筋肉痛は和らぐのだが、この超回復に要する時間は通常48~72時間程度といわれている。
なお、超回復に要する時間には、年齢や性別、部位などが関係しているという。一般的に加齢とともに超回復に要する時間は長くなり、男性よりも女性のほうが超回復にかかる時間は長くなるといわれている。また、広背筋(背中にある筋肉)、ハムストリングス(腿にある筋肉)といった大きな筋肉は、ほかの部位に比べると超回復までに時間がかかるようだ。
なお、超回復に要する時間には、年齢や性別、部位などが関係しているという。一般的に加齢とともに超回復に要する時間は長くなり、男性よりも女性のほうが超回復にかかる時間は長くなるといわれている。また、広背筋(背中にある筋肉)、ハムストリングス(腿にある筋肉)といった大きな筋肉は、ほかの部位に比べると超回復までに時間がかかるようだ。
長期間痛みが続くようなら受診を検討する
一般的に筋肉痛は長くても1週間程度で緩和することが多い。しかし、1週間以上も痛みが続くようなら、肉離れや骨折などのケガ、線維筋痛症やリウマチ性多発筋痛症などの筋肉の病気の可能性があるかもしれない。もし心配であれば我慢せずに医療機関へ受診することも検討すべきだろう。
4. 2日後も筋肉痛が続くようならセルフケアに努める

運動してから2日経っても筋肉痛が続いている場合は、無理をせずにセルフケアに努めるべきだ。筋肉を早く回復させるのに役立つ具体的なケア方法について説明しておこう。
その1:睡眠をとる
タンパク質の合成は睡眠中に活発になるため、筋肉の回復を促したいのであれば、十分に睡眠をとる必要がある。できる限り短時間睡眠は避けるようにし、少なくとも6時間程度は睡眠をとるように心がけよう。
その2:マッサージをする
筋肉痛が続いている部位をマッサージするのもよいという。マッサージの方法は手のひらや指で、痛みがある部位を1分程度もむという簡単なものだ。また、膝の裏といったもみにくい部位であれば、テニスボールなどを使ってコロコロともむのもおすすめだ。
その3:栄養のある食事をとる
超回復を早くするには、タンパク質、糖質、ビタミンB群などの摂取が重要である。できる限りバランスのよい食事を心がけると、筋肉の回復が早くなるだろう。また、食事でとるのが難しい場合はプロテインやサプリメントなどで補給するのもよい方法である。
結論
運動してから2日後に筋肉痛が現れると「年をとった...」と感じるかもしれない。しかし、筋肉痛の発生と年齢の関係性はあまりなく、運動内容や運動時間などのほうが関係しているようだ。筋肉痛が起こると48~72時間は回復に時間を要するため、もし筋肉痛が続いているようなら、十分にセルフケアに努めるとよいだろう。