1. GI値って何?

GI値とは「グリセミック・インデックス(グリセミック指数)」のことで、食後血糖値の上昇を表す数値をいう。少しわかりやすく説明すると、その食品に含まれる糖がどのくらいのスピードで吸収されるのかを表した、糖の吸収度合いのことである。
このGI値は1990年代に注目を集め始めて、2000年代に入ってからは低GI食品が肥満や2型糖尿病のリスクを下げるのに役立つ可能性があるとわかり世界中で研究が進むようになった。現在ではダイエットや健康管理のために、このGI値を用いた食事コントロールが行われることもある。
2. 血糖値の仕組みとGI値

GI値をより深く知るには、血糖値の仕組みを知ることが重要だ。血糖値は健康診断などで耳にするも多いため、何となく知っている人も多いはずだ。しかし、詳しく知らない人も多いとため、ここで血糖値のメカニズムについて解説しておこう。
血糖値は血液中のブドウ糖の濃度
人の血液は赤血球、白血球、血小板、血漿などで構成されている。このうち血漿とは血管内に流れている液体のことで、この中にブドウ糖(グルコース)などが含まれている。血糖値とは、このブドウ糖が血液中にどのくらい含まれているかを表す濃度のことをいう。食事や運動によって血糖値は上がったり下がったりするのだが、通常であれば食事前は70~100mg/dl程度である。
血糖値は食事によって変化する
血糖値は、食事をすれば上がる。この理由は食事中に摂った炭水化物などが、小腸で消化吸収されてブドウ糖になるからだ。ただし、一度ブドウ糖が高まると、すい臓からインスリンというホルモンが分泌されて、肝臓や筋肉、脂肪組織に貯蔵されるように働き始める。これにより食事により高くなった血糖値は、また元の数値にまで戻るようになっている。
食品の種類により血糖値の上がり方が異なる
血糖値は食事によって上がるのだが、この上がり方は食品によって異なる。これがGI値のところで説明した「糖の吸収のされやすさ」のことである。食後、急に体内に吸収されるものを高GI食品と呼び、緩やかに吸収されるものを低GI食品と呼ぶ。
高GI食品を摂り食後に血糖値が急激に上がると、インスリンが多く分泌されてしまい脂肪の分解が間に合わずに体内に吸収されやすくなるという。一方、低GI食品を選び緩やかに血糖値が上がるようにすれば、インスリンの量は適正となり十分脂肪を分解できるそうだ。これが低GI食品のほうが、肥満になりにくいといわれている理由となっている。
3. GI値の基準

シドニー大学が定義しているGI値の基準によれば、GI値は高GI食品、中GI食品、低GI食品に分類されている。血液に取り込まれるのが速いグルコースの吸収度合いを100とした場合の、それぞれの食品の吸収度合いを表している。つまり、数値が高ければグルコース並みに速いということだ。それぞれの数値は以下のとおりである。
- 高GI食品:70以上の食品
- 中GI食品:56~69の間の食品
- 低GI食品:55以下の食品
一般的にダイエットなどではカロリーに注目が集まるが、GI値も肥満と関係しているので気にしたほうがよい。そして、この低GI食品を摂るようにして、血糖値の上がり下がりをなだらかにする減量法が「低インスリンダイエット」である。具体的なガイドラインなどはないのだが、これを意識した食事をすることで肥満や2型糖尿病のリスクを回避できるといわれている。
4. 代表的な低GI食品と高GI食品

先ほども少し触れたが、「カロリーが高い食品=血糖値が上昇する食品」ではない。たとえば、同じ炭水化物でも食パンや精白米はGI値が高いが、ライ麦パンやおかゆなどは低い。また、一般的には炭水化物のほうが高くて、タンパク質や野菜類、大豆類などは低めになっている。基本的にこしあんやチョコレートなど甘い食品はGI値が高いと覚えておこう。
炭水化物のGI値
- 高GI食品:パン、白米、もち、うどんなど
- 低GI食品:そば、玄米、麦、中華麺など
野菜類のGI値
- 高GI食品:にんじん、かぼちゃ、ジャガイモ、山芋など
- 低GI食品:葉野菜、キノコ類、ピーマン、ブロッコリーなど
乳製品・菓子類のGI値
- 高GI食品:クッキー、チョコレート、ショートケーキ、練乳など
- 低GI食品:牛乳、プレーンヨーグルト、ココア、ゼリーなど
結論
これまでのダイエットといえばカロリー制限ばかりに注目が集まってきたが、GI値はそれと同じくらい重要である。同じ食品グループであっても食品によってGI値は異なるため、上手に食品を選べば無理に食事制限をしなくてもダイエットできる可能性がある。これまでGI値を気にしたことがなかったなら、一回自分の食事を見直すのもいいだろう。