目次
1. 除脂肪体重とは?

「除脂肪体重(LBM=Lean Body Mass)」とは、体脂肪を除いた体重のことである。計算式で表すと「除脂肪体重=体重-体脂肪量」となる。人間の身体は脂肪のほかに脳・内臓・筋肉・骨・皮膚などの器官によって構成されており、このような体脂肪を除いた器官の重さを表すのが除脂肪体重である。なお、一般的には除脂肪体重の変化は「筋肉量の増減」と解釈することができる。
除脂肪体重を管理する意義・重要性
従来の健康管理といえば「体重や体脂肪率などの管理」が中心であり、「除脂肪体重」を気にすることは少なかった。その結果「筋肉量の減少によって体重が落ちる」という見せかけのダイエットも起きていた。この点、除脂肪体重を見れば「筋肉量を維持できているか」を確認できる。要するに、より正確にダイエットや筋力トレーニングの効果を把握するのに役立つというわけだ。
2. 体重や体脂肪率との違いとは?

ダイエットや筋力トレーニングでは、一般的に体重や体脂肪率などで現在の体型や健康状態を把握することが多い。そこで体重や体脂肪などの意味合いなどについても確認しておこう。
体重との違いは?
体重とは、体重計で把握できる身体の重さの総量のこと。健康管理の基本となる数値であり、人間の体型を評価する「BMI(ボディマス指数)」などの計算にも用いられる。身体の重さの総量であるため、筋肉量や体脂肪量、水分量など、さまざまな要素が体重の増減に反映される。そのため、体重が減少したからといって、必ずしも体脂肪が落ちている訳ではない。
体脂肪率との違いは?
体脂肪率とは、体重に占める体脂肪の割合のこと。体脂肪とは身体に付いた脂肪のことで、内臓周りに付く「内臓脂肪」と皮下組織に付く「皮下脂肪」に分けられる。このうち内臓脂肪は高血圧症・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病と関係があるため特に注意が必要になる。体脂肪率は皮下脂肪を含んだ数値ではあるものの、体脂肪率をコントロールすることは健康管理のために重要といえる。
3. 除脂肪体重の調べ方|測定方法&計算方法

除脂肪体重は、除脂肪体重を測定できる体重体組成計を使うか、体重と体脂肪率を使って計算するかで調べることが可能だ。ここではそんな除脂肪体重の基本的な調べ方について確認しておこう。
1.体重体組成計で測定する
市販の体重体組成計の中には「除脂肪体重(除脂肪量)」を測定できる機種もある。数は少なめとなっているが、例えば「体重体組成計HCF-60(山善)」などで測定が可能だ。簡単に測定することができるため、「体重や体脂肪率などと一緒に確認したい」という人にはおすすめとなっている。
2.体重と体脂肪率から計算する
除脂肪体重を測定できない機種であっても、体重体組成計で「体重」と「体脂肪率」が調べられるなら除脂肪体重を算出することも可能だ。計算式は「除脂肪体重=体重-(体重×体脂肪率)」となっている。例えば、体重が60kg、体脂肪率が20%の場合、除脂肪体重は48kgということになる。
4. 除脂肪体重の標準値|適正体重から計算可能

除脂肪体重の適正値・標準値は設けられていないが、体脂肪率の標準値などを参考にある程度の標準値を知ることが可能だ。ここでは体脂肪率の標準値と除脂肪体重の適正値の目安を確認しておこう。
一般的な体脂肪率の判定基準
体脂肪率の判定基準は「低い」「標準」「やや高い」「高い」の4段階程度に分かれていることが多い。男性と女性でそれぞれ判定基準が異なるため、以下にそれぞれの判定基準をまとめておく。
【男性の体脂肪率の判定基準】
・10%未満:低い
・10~20%未満:標準
・20~25%未満:やや高い
・25%以上:高い
・10~20%未満:標準
・20~25%未満:やや高い
・25%以上:高い
【女性の体脂肪率の判定基準】
・20%未満:低い
・20~30%未満:標準
・30~35%未満:やや高い
・35%以上:高い
・20~30%未満:標準
・30~35%未満:やや高い
・35%以上:高い
除脂肪体重の標準値の目安
体脂肪率の標準値は、男性は「10~20%未満」、女性は「20~30%未満」となっている。言い換えると除脂肪体重の標準値は、男性は「80~90%」、女性は「70~80%」となる。そこで体重別に除脂肪体重の標準値を以下にまとめておく。
【男性の除脂肪体重の標準値の目安】
・体重50kg:除脂肪体重40〜45kg
・体重60kg:除脂肪体重48〜54kg
・体重70kg:除脂肪体重56〜63kg
・体重80kg:除脂肪体重64〜72kg
・体重60kg:除脂肪体重48〜54kg
・体重70kg:除脂肪体重56〜63kg
・体重80kg:除脂肪体重64〜72kg
【女性の除脂肪体重の標準値の目安】
・体重40kg:除脂肪体重28~32kg ・体重50kg:除脂肪体重35〜40kg
・体重60kg:除脂肪体重42〜48kg
・体重70kg:除脂肪体重49〜56kg
・体重60kg:除脂肪体重42〜48kg
・体重70kg:除脂肪体重49〜56kg
5. 除脂肪体重を標準値に近づける|ダイエットと筋トレのポイント

除脂肪体重を標準値に近づけるためには、「体脂肪を減らすこと」と「筋肉量を増やすこと(維持すること)」を意識するのがポイントだ。以下で、具体的に何に取り組めばいいかを確認しよう。
1.体脂肪を減らす|カロリーコントロールと有酸素運動
体脂肪を減らすには「摂取カロリー<消費カロリー(アンダーカロリー)」の状態をキープするのが重要だ。そのためにまずは日々の食生活を見直して、食べ過ぎをしないように注意しよう。また、運動習慣を見直して、必要に応じてウォーキングやジョギングなどの有酸素運動に取り組むのもおすすめだ。このようにアンダーカロリーをキープすることで体脂肪を減らすことができるだろう。
2.筋肉量を増やす|筋力トレーニングとたんぱく質摂取
除脂肪体重が標準値よりも低い場合は、筋肉量を増やすために筋力トレーニングに取り組むのがおすすめだ。クランチ、プッシュアップ、スクワットといった自重トレーニングであれば、トレーニンググッズを使わなくても自宅で取り組むことが可能だ。筋トレ後はたんぱく質・ビタミン・ミネラルなどの栄養素をバランスよく摂り、筋肉を回復させるために十分休息をとるようにしよう。
6. 除脂肪体重に関するよくある質問

最後に、除脂肪体重に関するよくある質問・疑問に回答する。
Q1.除脂肪体重の増減にはどんな意味がある?
除脂肪体重が増えるということは、一般的に「筋肉量が増えた」という意味合いになる。筋肉量が増えると基礎代謝が上がるため、脂肪を燃焼しやすい身体になる。逆に除脂肪体重が減ると筋肉量が減っていることを意味するため、リバウンドしやすい身体になっている可能性が高い。ダイエットに取り組むときは、体重や体脂肪率だけでなく「除脂肪体重」にも注目してみよう。
Q2.除脂肪体重から筋肉量を計算するには?
除脂肪体重には筋肉や骨、内臓、血管などさまざまな器官の重さが含まれる。このうち一般的な筋肉量の割合は「半分程度」といわれている。つまり、除脂肪体重から筋肉量を計算したい場合は「除脂肪体重×50%」をすれば良い。除脂肪体重が50kgの場合、筋肉の目安量は25kg程度ということになる。
結論
除脂肪体重を意識することは、効果的なダイエットや筋力トレーニングに繋がるだけでなく、自分の身体をより正確に知ることにもなる。除脂肪体重を測定できる体重体組成計は少ないため、基本的には体重と体脂肪率から算出すると良いだろう。ぜひ今日から除脂肪体重を意識した健康管理に取り組んでみよう。